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中小企業診断士の仕事

女性起業家のプラットフォームづくりを通した、きめ細やかな起業支援を目指して

取材・文:渡辺 まどか(中小企業診断士)

【第2回】女性起業家支援を主軸に武蔵小山創業支援センター長へ

取材日:2011年8月10日

女性起業家支援に力を入れる武蔵小山創業支援センターが立ち上がったのは、2010年のこと。今回は、立ち上げの経緯から、実際の仕事の内容までをお聞きしました。

ゼロからのセンター立ち上げに奔走

大江栄さん
大江栄さん

― 現在は、武蔵小山創業支援センターのセンター長としてご活躍ですが、そこに至るまでの経緯を教えてください。

以前、独立開業研究会で名刺交換をした方にお声がけいただいたのがきっかけです。懇親会の席でお隣になったときに、「女性の起業家支援をしたい」とポロッと言ったみたいなんですね。実は、あまり記憶にないんですが(笑)。そして、忘れた頃にその方から電話がかかってきて、「品川区で女性起業家支援をするセンターが立ち上がるという情報を入手した。ついては、プロポーザルを上げたいので、一緒につくってほしい」というオファーをいただいたんです。

それをお引き受けして、ちょうど私がプロポーザルを書いていた頃、今度は次男が交通事故に遭ってしまったんです。いまはすっかり元気ですが、当時はかなりの重症で、「車椅子も覚悟してくれ」と言われていました。そうした状況の中、病院に詰めながらも、必死でプロポーザルをつくりました。その後、2010年2月の選考を経てプロポーザルが採用され、センター長に就任することとなりました。

― お子さんの交通事故もあった大変な状況の中、センターの立ち上げには苦労なさったのではないでしょうか。

本当に大変でした。建物もまだ建築中だったので、まずは入居者の選考から始まり、2010年の4~5月くらいには備品や内装のリストアップと購入、パンフレットやホームページの作成、それにアドバイザー募集のための契約書作成や入居者向け説明会など、細々した仕事を行っていました。さらに、2010年8月1日のオープ二ングセレモニーの準備も並行して進めていたので、記憶にないくらい忙しかったですね。空いている時間は、ひたすら集客です。ゼロからのスタートでしたから。男女共同参画センターや商工会議所に行ったり、同友会のミーティングでご挨拶をさせていただいたり、さまざまな起業家交流会で名刺を配ったりもしました。その後、集めた名刺の方をすべてメルマガに登録して、情報発信を行いました。

武蔵小山創業支援センター長としての仕事

― 2010年8月から、本格的にセンター長としての仕事がスタートしたのですね。どのような取組みをされているのでしょうか。

大江栄さん

現在、マネージャーが3人いるので、役割分担をしつつ、さまざまなことを相談しながら業務を進めています。まずは、セミナーや交流会イベントの企画・運営、他の会社や機関が運営するセミナーに出かけ、講師とのコネクションをつくっての依頼や、利用者様に対するPR、スタッフの育成、行政関連の報告書作成などですね。センター長は公職なので、「センター長の肩書きで話をしてほしい」というお話もいただきます。先日は、日本ベンチャー学会でセミナー講師を務めました。

― センター長の仕事をするようになって、どのような変化がありましたか。

私自身にとってもすごく勉強になりますし、人脈も広がりますよね。それは大きなメリットです。ただ、会社員歴が2年半しかないので、部下を持ったことがないんです。ですから、スタッフの育成に対する戸惑いがあって、当初はどうすればいいのかわかりませんでした。

― その戸惑いは、どのように克服されたのですか。

やっぱり、距離を縮めることですよね。個性もバラバラですから。まずは、自分が歩み寄ることが大事だと学びました。

― センター長ならではの苦労やトラブルはありますか。

大江栄さん

お客さまへのクレーム対応は、どうしても避けられません。民間人でありながら、公的機関を預かっている立場なので、「お客さま誰もが不快にならない接客」は必要です。今度、一緒にマネージャーをしていただいている方の旗振りで「お客さま視点ミーティング」を立ち上げ、スタッフ全員でやることになっています。自分たちを客観視することからスタートし、「日本一のセンター」を目指すためにどういう視点でセミナーをつくっていくのか、セミナーにいらっしゃったお客さまにどういったおもてなしをするのか、こうしたことが切り口になってくると考えています。

― 「日本一のセンター」の定義とは、何でしょうか。

具体的には、女性起業家支援での日本一ですね。量と質の側面から、たとえばセミナーの本数や質もありますが、最終的には「何人の起業家を輩出できるか」が指標になるかと思います。とは言え、自分たちが「日本一のセンター」を名乗るのではなく、「女性の起業家支援なら、武蔵小山が一番だよね」とお客さまに言われるようになることを目指していくべきだと思っています。

(つづく)

【参考ホームページ】

大江 栄(おおえ さかえ)
エフ・ブルーム株式会社代表取締役。大学卒業後、オリックス株式会社に就職。不動産担保の資金融資営業を担当し、経営に興味を持ち始めるが、結婚・出産を機に退職。8年間の専業主婦生活に入る。2003年診断士資格を取得し、個人事務所を開業。2010年8月より品川区武蔵小山創業支援センターの初代センター長に就任、年間100名以上の女性の起業相談を受ける。2011年6月会社設立。