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中小企業診断士の仕事

プロジェクトチームで授産施設の販路開拓を支援

文:大石 幸紀(中小企業診断士)

【第3回】販路開拓終了後はグループインタビューで改善提言

オリジナル商品味噌漬け油揚げ
オリジナル商品味噌漬け油揚げ

メンバー6名による販路開拓が終了し、高橋営業部長に商談を引き渡した後、私は再び、メンバーに集合をかけました。このプロジェクトが始まって以来、試食会と商談を実際に経験した専門家として、はらから福祉会の販売戦略、商品開発について、自由に提言してもらうグループインタビューを行うためです。

私がインタビュアーになり、各チャネル担当者の反応、指摘のあった問題点、どのように改善をすればよいかの具体的な提言を、各メンバーから引き出していきます。

たとえば、「味噌漬け油揚げ」について。これは、油揚げを特製の味噌に漬け込んで製造したオリジナルの商品ですが、初めて目にする消費者がほとんどです。ところが、宮城県の店頭で並んでいる標準の油揚げの大きさは、首都圏の倍なのです。これでは、初めてこの商品に触れる消費者は、この商品がいったい何なのか、想像しにくくなります。この商品の魅力を伝える情報発信を強化するための、具体的な改善提案がメンバーから上がりました。また、首都圏の家族事情を考えると、1回で使い切れる量ではないので、小分けできるパッケージが必要ではないか、という改善提案もありました。

このように、はらから福祉会の商品のよさをもっと消費者に伝えるために、消費者の視点に立った商品づくりをすることについて、各人から提案が行われました。その意見はすべて記録し、報告書を作成して、本事業の最後に提出しました。

市場のすき間を狙った新サービスの開発も

「ゆば入り鯛茶漬け」、「味噌漬け油揚げ」といった既存商品の販路拡大支援のほかに、今回のプロジェクトでは、はらから福祉会が持つ潜在能力を用いて、さらなる新サービスを開発できないか、という検討も行いました。

はらから福祉会が提供している商品には、カレーやパスタソースといったレトルト食品もあります。自社商品の製造だけでは、レトルト製造設備の稼働に余裕があるため、他社のレトルト商品の生産を受託しているのです。

はらから福祉会が高い平均工賃を勝ち得たのは、「単なる下請けはしない、常に付加価値のある商品やサービスを提案していく」という姿勢があったからなのですが、このレトルト商品の生産受託についても、他社が提供していない同会ならではのサービスにしたいというのが、はらから福祉会の考えでした。

一度に大量のレトルト加工が可能
一度に大量のレトルト加工が可能

レトルト加工を受託する一般的なレトルト加工業が、仕事を受託する目安にしている最小ロット数は、3,000~10,000パックです。そのため、一般の飲食店や商店街が気軽に、オリジナルレシピに基づいて小ロットでのレトルト加工を希望しても、引き受けてもらえるところが存在しないというギャップがみえてきました。

そこで、オリジナルのレトルト商品を持ちたいという潜在ニーズのある飲食店、商店街、商工会や商工会議所をターゲットに、同会がレトルト加工を提供すれば喜んでいただけるのではないか、という仮説に至りました。

その結果、これらの方々から依頼を受け、食材とレシピを送ってもらえれば、最小50パックからレトルト加工を受託する『50パックからのレトルト加工、商品開発受託サービス』の開発、提供を始めたのです。

このサービスを広く知ってもらうために、これらのサービスをまとめたパンフレットを作成するとともに、全国の商工会にダイレクトメールを発送しました。また、専用ホームページを立ち上げたほか、プレスリリースを作成し、WEBプレスリリースサービスを活用して、多くのサイトでこの『50パックからのレトルト加工、商品開発受託サービス』を掲載してもらいました。

その結果、検索サイトで「レトルト、小ロット」、「レトルト、委託」というキーワードを検索すると、同会の専用ホームページが上位に表示されるようになりました。今後、小ロットでレトルトの委託をしたいというニーズを持つ顧客が、同会にリーチする可能性を高められたのです。

以上のような、中小企業診断士を中心とする販路開拓と新商品開発サービスの支援を、2ヵ月という短い間に実施しました。一人の中小企業診断士では、短い期間でこれほどの多くの商談を持つことは難しいと思いますが、ネットワークを組み、各々の強みを活かした支援の事例として、ここに紹介させていただきました。

なお、50パックからのレトルト加工、商品開発受託サービスの説明は、こちらにてご確認ください。

(おわり)