経営コンサルタントの国家資格”中小企業診断士”の情報が満載です。 中小企業診断士の広場

中小企業診断士の広場

中小企業診断士の仕事

地域から日本を変えたい!―“農業革命”を目指すスーパーキャリア診断士

取材・文:福島 正人(中小企業診断士)

【第3回】農業のこと、これからのこと

取材日:2010年4月29日

子どもの頃からの「ものづくり」の夢が「会社経営」へと昇華し、今や、中小企業診断士として、経営者として、さまざまな活動を手がける藤井さん。ここでは、農業に対する熱い思いを中心に、藤井さんの今とこれからをご紹介していきます。

目指せ! 農業版シリコンバレー

― 最近、至るところで藤井さんの農業革命への取組みが注目され、話題になっています。(社)中小企業診断協会発行の「企業診断ニュース」に投稿原稿も掲載されていましたね。さて、「ものづくり」の夢が、時を経て「会社づくり」へと発展してきたわけですが、ここでなぜ「農業」なのですか。

診断士仲間と(中小企業診断協会栃木県支部青年部 会合風景)

下地としては、防衛大で学んだ「国のために尽くせ」という教えがあります。ほとんど洗脳に近いのですが(笑)。

マズローの欲求段階説では「自己実現」が最上位ですが、私は、「自己実現」の次に「社会貢献」があると思うんです。これまでの経験を通して、ある程度自分に自信がつき、「やろうと思えば、何だってできるんだ」という「ゼロから1を導く方法」も感覚的にわかったところで、今まさに、「国のために尽くせ」の教えを実践できる段階にきているのではないか、と。

そういう思いであらためて日本を見渡してみると、そこには、過疎化、高齢化、低自給率など、国民生活を脅かす数々の問題・課題が山積している。私は、これらの問題のすべては、「東京への一極集中」が原因なのではないか、と考えています。つまり、変えるには、「地域活性化」しかない。日本を変えたい、よくしたい。これが目的です。

では、どうやって地域を活性化すればいいのか。私なりの1つの提言が、「農業版シリコンバレー」です。農業従事者、大学、大手企業、ベンチャー企業など、シリコンバレーのようにあらゆる組織を集積させ、食と農を中心とした経済構造を創造する。そうして、過疎化、高齢化、低自給率などの日本の根本課題を解決したい、と思っています。そんな折、栃木県でも今年(2010年)から「フードバレー構想」をうたい始めました。私の考えが正しいのか、可能性はどうなのかを見極めるため、2008年末から、自分で田植えなどの農業を実践し始めています。

― 可能性が感じられないと行動できない人が多い中、可能性を探るために行動する。なかなかできないことですね。

「ものづくり」から「国づくり」へ

― 藤井さんの現在、そしてこれからの活動について教えてください。

現在の私の活動は、大きく3つあります。1つ目が、農業経営支援事業で、いわば農業経営に関するコンサルティングです。農業生産法人や農業事業の立ち上げ、農業経営者に対する経営部分での支援、直売所の経営支援などです。最近は、農業関係の事業を立ち上げたい、と思っている方が非常に多いですね。今、いくつかの会社の事業立ち上げをお手伝いしています。

2つ目が、地域活性化のための農業支援事業。いわゆる、農業にかかわるビジネスの企画、マーケティングや調査です。グリーンツーリズムやブライダル企業などから依頼されたりしています。また、農業関係のWebコンテンツ開発支援なども行っています。

診断士仲間と(中小企業診断協会栃木県支部青年部 会合風景)

3つ目が、経営相談事業です。(社)中小企業診断協会の栃木県支部に所属しているのですが、支部入会後、先輩診断士のご紹介で、開業支援や資金繰り支援といった中小企業支援の機会をいただきました。そうして中小企業診断士としての活動をしているうちに、本田技研にいる頃に知り合った多くの経営者との接点が活きてきて、経営支援の声をかけていただけるようになったんです。もともと「ものづくり」系ですので、製造業を中心とした新事業、経営革新、改善計画書、企業再生などの支援を行っています。

「農業ブーム」と現場の乖離

― 農業の現場での、具体的な支援内容をご説明いただけますか。また、支援をしていて感じる問題などはありませんか。

実際に農作業も行う

ここのところ、農地法が大きく変わってきていますが、法律と農業の現場には、大きな乖離があります。たとえば、生産法人でなくても法人が農地を借用できるようになりましたが、実際のところは、市町村の農業委員会などが許可しない限りは認められませんからね。法律が変わっても、手続きは昔と変わっていないんです。だから、たとえば、農業生産法人立ち上げの現場支援となると、行政的な手続きや農業技術の現場支援だけでなく、地域の農家さんといかに仲良くなっていくか、という支援も重要になってくる。でも、行政ではワンストップでそこまで支援する機関もないから、弊社が包括的にアドバイスするだけでなく、現場も含んだ支援をしているのです。

農業ブームと言われるけれど、やめていく人の数に対して新規就農者は少ないし、耕作放棄地は増加している。法律を変えるだけでなく、新規参入したい"良質な"人や企業を多面的にバックアップできるシステムを急いでつくらなければ、なかなか障壁は低くなりません。

― 長時間のインタビューにお答えいただき、ありがとうございました。ところで今日は、これから某国の大使館でのお仕事があるとのことですね。大使館とは、これまた幅が広いですが、いったいどんなお仕事ですか。

現在支援している企業さんの1つが、海外進出を計画しておりまして、そのお手伝いの一環で行ってきます。

― まさに多彩ですね(笑)。これからも頑張ってください。

(おわり)

【こちらもおススメ!】

藤井大介(ふじい だいすけ)
(株)ファーム・アンド・ファーム・カンパニー代表取締役。中小企業診断士。1975年埼玉県生まれ。防衛大、米国テキサス大学院卒。航空宇宙工学を学び、川崎重工業(株)や本田技術研究所(株)に技術者として勤務。2008年中小企業診断士登録、同年、農場運営のほか農業経営への助言も手がける(株)ファーム・アンド・ファーム・カンパニーを設立。(社)中小企業診断協会栃木県支部理事・青年部部長、栃木県経営改善相談窓口登録専門相談員、栃木県中小企業再生支援協議会支援専門家、栃木県商工会連合会エキスパート登録専門家。

会社名 (株)ファーム・アンド・ファーム・カンパニー
代表 藤井大介
所在地 栃木県宇都宮市元今泉5-1-22ユニビル201
ホームページ http://www.farmfirm.co.jp/
E-mail info@farmfirm.co.jp