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中小企業こそ、ワーク・ライフ・バランスを!

文:女性コンサルタントネットエルズ

【第2回】ワーク・ライフ・バランス実践は個人の心がけから

ワーク・ライフ・バランスが保てないと......

「ワーク・ライフ・バランスは、企業の経営戦略である」としばしば言われます。この推進によって、企業の生産性の向上、あるいは優秀な人材の確保などが可能になるとされています。

一方、そこで働く個人にとっても、ワーク・ライフ・バランスは喫緊の課題のはずです。現状では主に、子育て中の女性の「仕事と家庭の両立」から語られることが多いのですが、ワーク・ライフ・バランスはすべての人にとって重要なテーマだと考えられています。特に、30~40代前半男性の約2割が週60時間以上の長時間労働をしているという調査結果もあり(図1参照)、彼らの心身の疲弊も懸念されます。

図1:性・年齢階級別就業時間(非農林業)
図1:性・年齢階級別就業時間(非農林業)
(出所:平成20年版少子化社会白書)

心身ともに疲れた状態で仕事をしても、成果は上がりにくいものです。それどころか、「疲労による集中力低下」→「仕事の効率低下」→「さらなる長時間労働」という悪循環に陥ってしまう危険性もあります。加えて長期間の過重労働は、脳・心臓疾患発症のリスクも招き、うつ病をはじめとする心の病の引き金にもなり得ます。最悪の場合、「過労死」あるいは「過労自殺」にもつながりかねません。

セミナーで、ワーク・ライフ・バランスを考える

女性コンサルタントネットエルズでは、このような問題意識のもと、With You さいたま(埼玉県男女共同参画推進センター)に共催をいただき、2009年10月18日に「お父さん、その働き方は危ない! ~男性のワーク・ライフ・バランスを考える」というセミナーを開催しました。

当日集まったのは、7名。赤ちゃんを連れて参加されたご夫婦、就職したお子さんの働き方を心配するお母様、世間のワーク・ライフ・バランスをめぐる動きに戸惑いを隠せない働き盛りの男性、男女共同参画に興味をお持ちの方など、多彩なメンバーが集まりました。ワーク・ライフ・バランスそのものへの関心度も、「切実な問題としてとらえている」という方から、「つい最近、このような考え方を知った」という方まで、実にさまざまです。

最初に、ケーススタディやチェックリストにより、ご自身やご家族のワーク・ライフ・バランスの状況を確認していただいた後、その実践を妨げるものは何か、それを打破するにはどうすればよいかということについて意見交換をしました。

まず、長時間労働となってしまう理由としては、

  • 絶対的な仕事量が多い
  • お客様対応など、仕事の性質上調整がつきづらい
  • 上司が遅くまで職場に残っているなど、早く帰りづらい雰囲気がある
  • 仕事にムダが多い、あるいは自分の能力不足

という4つの主な理由が考えられますが、「個人レベルでも、仕事の仕方を変えようと思えば、何かできることがあるはず」、「勇気を持って帰宅することも大事」というご発言をいただきました。

しかし一方で、1人の問題意識では解決不可能な状況に悩む声もありました。ワーク・ライフ・バランスは、組織的に取り組むべき「システム」の1つです。職場で「ワーク・ライフ・バランス実践のロールモデル」として、短時間で効率的に仕事をして成果を挙げられる人材になれれば理想的ですし、味方をつくりながら上司や人事担当者に仕事の進め方の改善提案をできるようになりたいものですが、それを進めるには相当な時間とパワーが必要、という指摘もありました。

真面目な日本人は、「これくらい、頑張らなくては」と思ってしまいがちです。しかし、その状況が自分や自分の大切な人たちにとって本当にプラスになるのかを見極める力も重要です。「人材を大切にしない企業はいずれ淘汰される」と見切りをつけ、転職するのも1つの選択かもしれません。

2008年7月に内閣府が行った世論調査によると、ワーク・ライフ・バランスについて「名前も内容も知っている」と回答したのは、わずか9.8%だったそうです。

あなたは大丈夫?

さてここで、あなた自身のワーク・ライフ・バランス度をチェックしてみましょう。

<仕事の仕方について>
  • 「自分にしか分からない業務」をつくっていませんか?
  • 不必要な残業を行っていませんか?
  • つねに業務の効率化に努めていますか?
<プライベートについて>
  • 規則正しい健康的な生活ができていますか?
  • 家族がいる場合、そのパートナーと休日の過ごし方について話し合っていますか?

結果は、いかがだったでしょうか。

厚生労働省では、「労働者の疲労蓄積度診断チェックリスト」も提供しています。最近疲れていると思ったら、こちらで自己診断も行ってみてください。特に、「月100時間超、あるいは2~6ヵ月平均で月80時間の時間外・休日労働」を行っている方は、要注意です。

最後に強調したいのが、ワーク・ライフ・バランスは、「怠けても許される」という考え方ではない、ということです。むしろまったく逆で、仕事も私生活も充実してこそ、その相乗効果で楽しく人生を送れる、というものです。「やるべきことはしっかりやり、仕事以外の時間を有益に活用する」という、メリハリのある生活を目指したいですね。

また、このバランスのとり方は、ライフステージによっても変わってきます。ご自身で、「今は何を優先すべきか」を適切に判断してください。ただし、そのご自身の価値観を、ほかの誰かに押しつけることのないよう、気をつけたいものです。

(つづく)

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