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中小企業診断士の仕事

2人3脚で“いい会社”を目指す

取材・文:大石 幸紀(中小企業診断士)

【第2回】LLP設立を経て、「株式会社そだてる」が誕生

取材日:2009年5月16日

それぞれの歩みを経て、独立の道を選んだ小畑さんと田邊さん。第2回となる今回は、そんなお2人が、LLP設立の後、「株式会社そだてる」の法人化にこぎ着けるまでの経緯をお聞きしました。

研究会での発表の場が契機に

― 「株式会社そだてる」にお2人で参画した経緯を教えてください。

小畑:私は独立当初から、同期の中小企業診断士3人で「戦略事例研究会」という会を主催していました。この研究会は、関西の若手中小企業診断士が、自らのスキルアップを図ることを目的に設立したもので、メンバーは10人を超えていました。

中小企業診断士のインキュベーション施設であるAGE

研究発表を行った際、東京で調査会社を経営している辻井啓作さんという方が、若手の中小企業診断士を「独立開業研究会」という会によって組織化し、自ら受注した業務を下請けしてもらうことで、事業を展開している事例を発表したんです。この話が契機となり、「戦略事例研究会」も法的に組織化することで、メンバーが協働してコンサルティング事業やセミナー事業を受託できるようにしよう、という話が進みました。当時、LLPの仕組みが日本に入ってきたばかりだったので、注目度も上がるだろうとLLPを設立することにしたのが、現在も当社の1つ下のフロアに事務所がある「AGEコンサルティング有限責任事業組合」(以下、AGE)です。

AGEを結成するために、理事希望者を募ったところ、メンバーからの立候補がない。このままでは、前身の研究会を立ち上げた私と同期の2人がそのまま理事になってしまい、今までと同じではないかと、新しく理事になってくれる人材を探しました。

田邊:私は、ちょうどその頃、「戦略事例研究会」に顔を出し始めたんですが、ある日、小畑さんに飲みに誘われました。小畑さんと私は、同じ「営業組織活性化支援」というテーマでコンサルティングを提供していたので、情報交換程度はしていたものの、まだ一緒に仕事をしたことはなかったんです。

その日は、AGE設立の課題について議論になりました。最大の課題は、AGEのメンバーに継続して会に参加してもらえるだけの仕事を継続受注することだ、と話が一致しました。

小畑:そうなると、研究会のメンバーの中で、受注力があるのは田邊さんしかいない。AGEの受注力強化のために、理事に参加してくれるよう、私から頼みました。快くかどうかはわかりませんが、引き受けてもらい、田邊さんを加えた4名を理事として2006年5月にAGEを立ち上げました。これが、私と田邊さんが一緒に仕事をするようになったきっかけですね。

AGEが立ち上がり、個ではなく組織として中小企業診断士の活動をする場が広がりました。その後、いくつかの事業の受注にも成功しました。たとえば、ある調査会社が主催する中小企業経営者向けの経営改善セミナーを受注し、毎月の講師をAGEのメンバーの中から派遣しています。派遣前には、セミナーの品質を担保するために、デモ会を実施します。担当講師が他のAGEメンバーを相手に、デモセミナーを行うのです。受講したメンバーは、講師スキルやセミナー内容を講師にフィードバックしたり、アドバイスしたりします。こうして、メンバーのセミナースキルの向上を図っています。

田邊:理事4名が家賃を分担して事務所も借り、AGEのメンバーに開放しました。若手中小企業診断士や、中小企業診断士を目指す若者が集まるステーションとなり、自然と情報交換の場になったのです。メンバーの1人が受けた仕事で自分ができなければ、その場で適任者を紹介できる場合もあります。

AGEは、若手中小企業診断士育成の場と、中小企業診断士であるなしにかかわらず、人と人をつなぐ場としての位置づけになりました。また、若手中小企業診断士のインキュベーション的存在にもなっています。現在も、この位置づけで活動を続けています。

LLPとしての限界を感じ、法人化への道を模索

小畑:一方、AGEとしての活動が進むにつれ、LLPとしての限界もみえてきました。当時の理事の仕事内容を振り返ると、8割~9割は各々が個人の中小企業診断士として受注した仕事、1割から多くて2割がAGEとしての仕事だったのです。

当時、AGEとしてコンサルティングを受注しようと、コンサルティングメニューの商品化を進めていました。ところが、いつになってもメニューが完成しない。当然、営業も進まない。皆、個人で受けた仕事の納期に追われて、AGEとしての活動に時間が割けませんでした。

AGEは理事と会員に分かれていたものの、基本的に全員の立場は対等、という考えで組織されていたので、指示命令系統がありませんでした。そのため、業務に遅れが生じても、誰かが指示をして遅れを取り戻すといったこともありません。長期的な戦略を持って、業務を拡大するというスタイルに、AGEは適合できなかったのです。

株式会社そだてる

田邊:この限界をどうやって打破するのか、2007年の年末に、小畑さんと2人で飲みながら相談しました。その席で、私は「上下関係を明確にした組織をつくり、指示命令系統をつくれないかぎり、コンサルティング会社としてはうまくいかないと思う。すでにでき上がったAGEにそれを要求すれば、組織は崩壊するかもしれない。AGEはAGEの役割として残し、別の組織をつくったほうがいい。幸い僕と小畑さんは、『営業組織活性化支援』という共通のテーマでコンサルティングをしている。小畑さんがきちんとマネジメントを担当してくれるなら、小畑さんの屋号である『そだてる』を法人化し、自分はその下で働いてもいい」と申し入れました。

小畑:自分もいずれは、法人化したいと考えていました。一方で、共同経営の難しさも知っていた。そこで、法人化に際しての出資は、自分だけが行うとともに、代表取締役には自分が就任し、田邊さんには平の取締役という形で参加してもらいました。上下関係を明確にしたうえで、「そだてる」の法人化に踏み切ったのです。

(つづく)

小畑秀之(おばた ひでゆき)/株式会社そだてる代表取締役。
1971年兵庫県西宮市生まれ。関西大学経済学部卒業。1995年食品会社に入社。小売店、飲食店、加工卸業者等に対する提案営業に従事。2004年中小企業診断士取得にともない独立。2008年株式会社そだてる設立、代表取締役に就任。消費財製造業・卸売業、サービス業の経営戦略策定コンサルティングおよび営業組織活性化コンサルティング等を提供する。


田邊佑介(たなべ ゆうすけ)/株式会社そだてる取締役。
1976年フランス・パリ生まれ。早稲田大学卒業。1999年中堅メーカーに入社、ソフトウェアの開発等に従事。2003年中小金型工場に入社し、工場経営に従事。2004年右腕プロジェクト創業。2008年株式会社そだてる設立、取締役就任。製造業・卸売業・広告代理店・商社の経営戦略策定コンサルティングおよび営業組織活性化コンサルティング、中期経営計画策定コンサルティング等を提供する。

会社名 株式会社そだてる
設立 2008年2月29日
代表取締役 小畑秀之
所在地 大阪府大阪市中央区本町橋7-18
TEL 06-6942-7572
FAX 06-6942-7582