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中小企業診断士の仕事

2人3脚で“いい会社”を目指す

取材・文:大石 幸紀(中小企業診断士)

【第1回】独立のきっかけ

取材日:2009年5月16日

大阪に、若手の中小企業診断士2人が代表取締役と取締役を務める元気な会社がある――そんな噂を聞きつけて、筆者が向かったのが「株式会社そだてる」です。お互いの強みを活かし、大いなる夢を持って日々奮闘する小畑秀之さん(代表取締役)と田邊佑介さん(取締役)にお話を伺いました。

中小企業診断士への思いが止まらない

― 中小企業診断士として独立された経緯を教えてください。

田邊佑介さん

田邊:私はもともと、FAメーカーのソフトウェア開発者としてプログラムを書いたり、開発プロジェクトを管理したりしていました。それなりに充実した日々を過ごしていたのですが、2001年の設備投資不況が自分を変えました。自分が開発を手がけた設備が、まったく売れなくなったのです。不況とはいえ、なぜ営業担当者がこんなにいい設備を売ることができないのか理解できず、彼らをつかまえては話を聞いていました。

当時の自分は技術屋だったので、営業担当者が話してくれる経済や企業経営の話が、さっぱり理解できなかったんですね。だんだんと、自分は世の中がまったくわかっていないことに気がついた。焦りを感じて、勉強する方法を調べるようになり、その過程で中小企業診断士の存在を知ったのです。すぐにテキストを買って勉強を始めると、自分が知りたかったことの答えがすべてこの中にある気がして、夢中になって勉強しました。

勉強の過程で、中小企業白書に触れる機会がありました。そして、中小企業は経営資源が不足していて、不自由な経営をしていることが強く心に残ったんですね。「よし、キャリアチェンジをしよう。自分は中小企業診断士になって、中小企業の不足している経営資源を供給できるコンサルティングをしよう」――直感的に、中小企業支援がとてもやりがいのある仕事に思えました。この思いがどうにも止まらなくなって、中小企業診断士に合格していないにもかかわらず、先に会社を辞めてしまいました。25歳のときでした。

会社を辞めてからは、フリーのプログラマーとして生活を維持しながら、中小企業の経営者が集まる交流会やセミナーに顔を出していました。そこで知り合った金型製造の社長に経営の勉強をしていることを話したところ、「経営の勉強をしたいのなら、経営者になるのが一番だよ」と教えてくれたんです。その言葉に惹かれ、その会社に契約社員として入社しました。工場改善の経験などまったくありませんでしたが、中小企業診断士の勉強で身につけた知識をもとに、設計業務フローの改善、工場レイアウトや作業工程の改善を提案することで、その会社の経営改善に貢献することができました。

自分が、社長の右腕として経営に携わることで、今までできていなかった改善を実現することができた。こんな自分を右腕として必要とする社長は、世の中にもっともっといるはずだ。そんな思いを強くしました。

その企業との契約が切れると、経営コンサルタントとして独立しました。独立後、自分を右腕として必要とする企業を探しているうちに、中小企業の社長が一番困っていることがみえてきたんです。彼らは、親会社との契約が切られてしまうことにおびえていました。安心感を与えるには、生産ラインの改善よりも受注力、営業力の強化が必要です。つまり、自分が社長の右腕になって一番喜んでもらえるのは、営業力を高めることだ、と気づいたのです。その頃から、営業の仕組みづくりや営業組織の活性化というテーマでのコンサルティングを研究し、提供を始めました。そして、中小企業診断士試験に合格して、2005年4月に中小企業診断士登録をしました。

営業からクロージングにまで携わりたい

小畑秀之さん

小畑:私は大学卒業後、食品メーカーに入社しました。仕事は、お客様への配送を兼ねたデリバリー営業です。生鮮食品を主に扱っていたので、配送業務にはスピードが求められ、朝は早く夜は遅い。休みの日にも、携帯電話にお客様からひっきりなしに電話がかかってくる。そして、上司である係長や課長も、自分と同様にデリバリー営業をしている――当時の私はそんな将来に疑問を感じ、30歳になった頃に転職活動を始めました。

転職コンサルタントに相談しても、紹介される仕事は食品会社の営業職ばかり。周囲に相談すると、キャリアチェンジをするにはそれなりの資格取得が必要、とのことでした。とは言え、30歳までろくに勉強をしていなかったので、さまざまな資格の参考書を見てもさっぱり理解できません。唯一理解できたのが、中小企業診断士でした。と言っても、実際はマーケティングと店舗施設関連くらいでしたが。にもかかわらず、なぜだか「集中さえすれば、この資格は取れる」という自信がありました。

当時、すでに子どもも2人いましたが、思いきって2002年1月で会社を退職し、受験勉強に集中することにしたんです。その結果、1次試験はストレートで合格しましたが、2次試験はダメでした。2年目はさすがに働かないと生活に不安があったので、合格後のことも考え、中小コンサルタント会社を対象に就職活動を始めましたが、1次試験に合格したという実績が功を奏し、3人のコンサルタントが運営する会社に営業担当として就職できました。

コンサルタント会社の営業をしていて、お客様がコンサルタントに何を望んでいるのかをつかむことができましたね。また、どんなに営業がうまくいっても、最後のクロージングはコンサルタント次第だということもわかりました。営業するだけでなく、コンサルタントとしてクロージングできる立場になりたい。独立して、営業からコンサルティングまで自分の力でやってみたい。そんな思いを強くしました。

そんなときに、中小企業診断士の2次試験合格通知を受けました。独立への思いが強まっていたので、中小企業診断士に登録するまで待ちきれず、即日、独立してしまいました。

独立当初はこれまでの営業経験を活かし、営業代行のようなことをやっていましたが、自分が動いて営業しても、結局中小企業には何も残りません。中小企業自身の営業力が高まらなければ意味がない。そう考え、自分が営業をする支援から、先方の営業担当者を組織的に動かす仕組みづくりの支援へとシフトしました。そして、自分のドメインを営業組織活性化支援に絞り込み、中小企業診断士としての活動を開始したのです。それは、2004年の4月のことでした。

(つづく)

小畑秀之(おばた ひでゆき)/株式会社そだてる代表取締役。
1971年兵庫県西宮市生まれ。関西大学経済学部卒業。1995年食品会社に入社。小売店、飲食店、加工卸業者等に対する提案営業に従事。2004年中小企業診断士取得にともない独立。2008年株式会社そだてる設立、代表取締役に就任。消費財製造業・卸売業、サービス業の経営戦略策定コンサルティングおよび営業組織活性化コンサルティング等を提供する。


田邊佑介(たなべ ゆうすけ)/株式会社そだてる取締役。
1976年フランス・パリ生まれ。早稲田大学卒業。1999年中堅メーカーに入社、ソフトウェアの開発等に従事。2003年中小金型工場に入社し、工場経営に従事。2004年右腕プロジェクト創業。2008年株式会社そだてる設立、取締役就任。製造業・卸売業・広告代理店・商社の経営戦略策定コンサルティングおよび営業組織活性化コンサルティング、中期経営計画策定コンサルティング等を提供する。

会社名 株式会社そだてる
設立 2008年2月29日
代表取締役 小畑秀之
所在地 大阪府大阪市中央区本町橋7-18
TEL 06-6942-7572
FAX 06-6942-7582