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中小企業診断士の仕事

理系大学内診断士現れる!

文:谷口 忠大

【第3回】中小企業診断士への道(2)

中小企業診断士という資格

谷口さん

ご存じ、中小企業診断士は「業務独占」資格ではない。税理士なら税務申告書を書くのが独占だし、弁護士以外は普通法廷で市民を弁護できない。公認会計士、建築士、不動産鑑定士などなど。世の中で「士業」と呼ばれる仕事では殆どその資格を持っていないと出来ない「独占業務」がある。しかし、中小企業診断士にはそれがない。

だから人気がない?いや、違うんです。それは違うのです。独占業務が無いところが、変わった国家資格、中小企業診断士の卓越した点なのです!現在の中小企業診断士資格は既に「公的機関のお仕事をもらって中小企業の診断や評価をする」というものとは違って来ています。それは、主体的に社会で生きる人間の視野とスキルを拡張する、そんな資格なんです。僕が言うのも手前味噌なのですが、中小企業診断士の資格は「独立系診断士」のためだけのものではない。むしろ、それ以外の専門を持っている人が中小企業診断士となり、社会の閉塞に挑戦することに日本の未来が潜んでいる気がする。地方自治体の公務員、小学校の先生、伝統産業を担う人などなど、業種は問わない。

T字図形

「世の中に必要な人間は、どういう人材ですか?」という質問はよくある。ベタな答えになるが、端的に言うとT字型人間だ。T字の縦棒は専門性を、横棒は浅くても幅広い教養を示す。自分の専門性を持ちつつ、他人とつながる事ができ、そのために広い知識を持ちアンテナを張っている人だ。専門性だけを持つ人は近代的な機能的分化社会の中で縦割りの弊害を打破することが出来ない。T字型の横棒が、人と人をつなげ専門性と専門性をつなげる。中小企業診断士は「経営のプロ」という触れ込みもあるが(注1)、それは中小企業診断士の専門性(縦棒)をさしているのではない。中小企業診断士の資格は人の「横棒」を認定する珍しい国家資格なのだ。それゆえに、「中小企業診断士は食えない資格だ」と言われる。それはそうだ。人を食わしてくれるのは基本的には縦棒の方だ。「横棒」にお金が支払われることは、この世の中ではマダマダ珍しい。

縦棒だけにしがみついていた人は、中小企業診断士として横棒を持つことで世界が広がるはずだ。そして、専門性をより大切にする事が出来る。私自身、中小企業診断士登録後より自分の専門性を真剣に考えるようになった。どうあがいたって私のコアコンピタンスはそこにあるからだ。それを捨てる選択肢は経営を学んだ人間ならアリエナイ。

中小企業診断士という資格は「仕事」を規定しない。規定するのは「スキル」であり「視点」だ。だから、診断士のスキルでお金を生計を立てない「企業内診断士」も、もちろん大学内診断士も恐れる事無く誇るべきだろう、自分は「横棒」を持っている中小企業診断士であると(注2)。

診断士合格と経済産業省に登録

さてさて、試験勉強は正直、楽しかった。嘘じゃない。実際、勉強仲間はみんな言う。「中小企業診断士の勉強は楽しい」と。それはなぜだろうか?やはりそれは中小企業診断士の勉強は一つの専門性を深く掘り下げる事で自らの存在を規定し束縛するものではなく、ひたすら世界を広げる浅広型の勉強だからだ。難関・二次試験の勉強は五里霧中な中を彷徨う困難を強いられるが、それもまた一つである。私も本業の仕事を適切にコントロールしながら、一年間の勉強を通してH19年の冬に念願のストレート合格を決めたのである。試験は緊張したが、勉強した事はホントに楽しかった。

大学業界の方でもH20年度からの現職への就職を念頭においていおり、そこで合格しないと忙しくなって大変になるので、是非とも受かりたかったので正直うれしかった(二次試験は絶対落ちたとおもってたいたし......)。年明けの実務補習を終えて、H20年の四月についに経済産業省に登録し、私は中小企業診断士というラベル付きの人間になったのである。

注1:
むしろ一般の人は公認会計士の方を「経営のプロ」の資格だと思っている節があって、悔しいところではあるが。
注2:
とはいえ、ニューラルネットワークの国際会議で配る名刺にも「中小企業診断士」と書いている私はやりすぎなのかもしれないが。・・・どうだろう。

(つづく)