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中小企業診断士の仕事

理系大学内診断士現れる!

文:谷口 忠大

【第2回】中小企業診断士への道(1)

簿記、株、起業志望、学べ経営!いくぞ中小企業診断士!

博士課程のラストランである学位論文執筆を終え、私もなんとか「博士号」の取得を果たし、大学院を修了した。一つの区切りを得た私は既に「次の何か!?」を探していた。すぐ何かをやりたがる・・・言ってしまえばただの貧乏性である。

さて、そんな折に全くの偶然なのだが、当時大学の修士課程の後輩が勉強していた資格の教科書が目に入った。その教科書は......

「簿記3級」

そう。ご存じ会計系資格の入り口である。当時の私は簿記が何であるかを全く知らず、趣味で受ける資格にしても失礼な話「名前が格好悪いから遠慮します。」などと思っていた。しかし、何故かこのときは違った。タイミングもあったが、「ちょっと、つきあって勉強してみよう」と思って、勉強を始めた。すると......

「簿記、面白い!!」

学習資料

これは衝撃的だった。経済の等価交換の原則を如実に表す複式簿記と、日常の取引から会社を表象する決算書が形成されていく姿が見え、会計の世界の見事なまでの論理性が見えたのだ(注1)。何か私の好奇心を司る直感が叫んだ。「この道には何か宝がある!」

簿記三級に合格した私は好奇心に従うがままに、次は株を始めた。そうするとファンダメンタルズ分析で企業決算書を読む必要がある。簿記二級の勉強をしつつ決算書の分析を独学で勉強した(注2)。決算書を「フムフム」と読めるようになった私は、その決算書が全てを物語っていない事もよく分ってきた。決算書の向こう側には実体としての企業がある。そしてそれは社会、経済、政治のダイナミクスの上で揺れ動いているのだ!当時の私にとっては、「会計」が自分を生きた社会と結びつけてくれる「窓」に思えたのだ。

一方で、今後の人生についても真剣に考えていた。学位取得後一年は研究員としての雇用があったので、とりあえずは研究活動はちゃんと続けていたが、よりダイナミックな活動を起こしたかった。その上で、大学の世界の制約というのも気になってきていた。どうしても研究に主に取り組む大学院生はすぐ卒業してしまうし、人事上もポスト数が限られていて柔軟性に欠けるといった組織上の制約がある(注3)。継続的に成長しながら世の中に貢献していくためにはより柔軟な組織と活動形態が必要だ。当時のベンチャーブームも手伝って私は無謀にも起業を意識しだしたのだ......。

実は博士進学の前にも起業を意識したことはあった。しかし、当時の自分には「売り物」が無かった。ところが博士課程で学んだことは無駄ではなく、知能情報処理技術については既に一定の強みを持っていた。AmazonやGoogleを始めWeb上の様々なサービスでも徐々にそのような技術を使い始めており修士時代とは、現実味が違った。実際、同じようなビジョンを持った友人と共にビジネスモデル、サービス・製品の検討などを進めた。しかし、やはりそこで気付いたのは、「ビジネスにとって技術は十分条件ではない」ということだ。大学の工学系、情報系の研究者は往々にして技術中心主義に陥る事がある。しかも、ニーズではなくシーズに基づいた技術である。しかし、シーズがあることとビジネスとして成り立つかどうかとは別問題である。当時、私も御多分にもれずそんな傾向があったのだ。

会計に目がハートになっていた私は公認会計士や税理士の資格について少しまじめに調べていた。それぞれ、やはり仕事をしながら受験するのはヘビーな資格で時間もかかりそうだった。当時、起業の知識を入れるために、商工会議所のセミナーなどにも参加しながら、ふと気付いたのだ。

「待てよ、そういえば中小企業診断士っていう資格があったよな。」。

2006年、夏、調べると某資格の予備校Tが「1次・2次ストレートコース・中小企業診断士講座」の説明会をやるというので行ってみることにした。ま、タダやし。そこでのM先生の説明が良かったからかどうかはわからないが、私には自分勝手なビジョンが見えたのだ!「中小企業診断士は私の学びたかったスキルを網羅している」と。予備校の受講料は薄給の私には重かったが、長く通っていた英会話教室を辞め捻出。さらに、「1年間でストレート合格できるコースです☆」という予備校の甘言にもまんまと乗せられ診断士の勉強をスタートしたのだった(注4)。予備校に通い出すだけと言えば、ただそれだけの事だったが、当時のブログにはそのときの決断が人生を変えるほどの大きな決断だったと書いていた(注5)。

注1:
このあたりのリアクションはいかにも理系の学者さんである。
注2:
これは後に完全に、中小企業診断士試験の財務会計の強みとなったのだが。
注3:
特に公立大学ではお役所的な風土が色濃いという。アメリカのシリコンバレーなどは産業のダイナミズムとリンクしているといわれ全く異なる。立命館大学は日本の大学にしては非常にビジネス風土がありその点では良い大学である。
注4:
40人ほどのクラスで結局、最後まで残って1年で合格したのは僕一人だったように思う。まぁ、現実はそういうもんです。
注5:
http://blog.goo.ne.jp/tanichu0624/e/26fe7cee2c048ef60cbd529ea84612f4

(つづく)