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中小企業診断士の仕事

地域に活力を 若手診断士が駆け巡る

取材:村橋保春

【第5回】診断士であることの自信と責任感

取材日:2009年1月30日

診断士であることが活動を勇気付ける

― 中小企業診断士であることは、自信になるとともに、責任も大きくなると思います。診断士であることで、穴井さんの活動内容はどのように変わりましたか。

穴井さん

平成14年に専門経営指導員になり、経営安定特別相談室を担当することになりました。これは、経営不振に陥り倒産の恐れが生じた中小企業者に対し、債権者への協力依頼や融資斡旋など、あらゆる角度から倒産回避の方策について検討、支援する制度です。

担当してすぐ、何年も続いた老舗が、ちょっとした環境の変化に対応できず倒産していくことが多いのに驚きました。しかもそれらは、もっと前に相談に来てくれれば、対処できたと思うことも少なくありませんでした。

相談室は商工調停士を中心に弁護士、公認会計士、税理士、中小企業診断士、企業再建コンサルタント等により構成されており、まずは相談者から依頼を受け、これら専門家との調整を図ってから現地で調査することになりますが、ほとんどの相談が、手形期日が迫っているなど、一刻の猶予もない状態です。まず相談を受けた時点から、自分に知識があり、その場で助言することができたなら。当面の方策をすばやく判断し、そののち専門家と一緒に改善策を練ることができたなら。こう思ったのが、中小企業診断士を目指すきっかけでした。

倒産の要因は多岐にわたり複雑なことが多いのですが、まずは喫緊の問題を整理し、診断士としての知識を活かしながら、速やかに対応することを心がけています。

診断士が持つべき責任感

― 中小企業診断士であることは、自信になるとともに、責任も大きくなると思います。

たしかに、事務担当者というだけではなくなり、再建チームの一員となりますから、責任がありますよね。しかし、当面の問題をクリアし、事業が順調に進捗しはじめると、その会社の社長との信頼関係も強くなり、新商品の開発など今後の展開についても相談されるようになります。今度は成長に向けての支援ですから、やりがいは倍増します。

ともに高めあう 先輩 仲間

― 穴井さんの活躍には、ともに活動し、励ましあう先輩、仲間の方が多くおられると思います。どんな方々と活動されているのか、お話をお聞かせください。

平成20年7月に中心市街地活性化基本計画が認定されました。中活事業にはその2年前から係わりましたが、それまで大分市の職員さんとは、あまり仕事上でお付き合いすることはあまりありませんでした。都市計画課とは畑違いでしたのでなおさらだったのですが、大分市が中活に取り組むにあたり、実務者レベルで検討チームをつくることになって、私も参加させていただくようになりました。議論を重ねていくにつれ、お祭りだけではだめ。カラー舗装だけではだめ。ハードとソフトが一体となった「まちづくり」でないと機能しないことが本当によくわかりました。

最近は各方面で診断士の方が活躍されているのを目にするようになりました。特に金融機関では積極的に取得を呼びかけているようで、政府系金融機関や地元銀行でも企業内診断士が増えています。また、税理士や社会保険労務士など、違う士業の方も診断士を取得されることも多く、相談業務でご一緒するときなどは、診断士同士の連帯感からか、仕事がスムーズに運びます。組織や役職を超えて、診断士として共通の言語でしゃべれることが、とても心強く感じます。

職場には同年代の診断士が2人います。それぞれ金融、情報のスペシャリストです。私が一番資格の取得が遅かったことから、いろいろ教えられることも多いのですが、職場の後の一杯の時は、「大分の中小企業の問題解決に取り組んでいこう」と盛り上がります。

診断士を活かした将来像

― 穴井さんが想い抱く将来像をお聞かせください。その際、診断士の活かし方についてもお話ください。

これまで日本経済を牽引してきた大手製造業の業績が軒並み悪化して、先行き不透明感が蔓延しています。

地方の中小企業を取り巻く環境はますます厳しさを増していますが、オイルショック以来、日本の中小企業は、独自のアイデアと技術力で、幾多の試練を乗り越えてきました。今こそこの強みを活かし、異業種が連携しながら、新たな市場ニーズを積極的に取り込んでいくことが必要です。そのためのコーディネーターとして、多方面から支援できる「頼れる」診断士を目指していきます。

― 本日はお忙しい中、長時間にわたる取材に応じていただきまことにありがとうございます。今後とも穴井さんをはじめ、大分市の皆様のご活躍を大いに期待しております。

(おわり)

穴井 壯志:大分商工会議所中小企業相談部 専門指導課 課長補佐

穴井 壯志(あない つよし)/1964年生まれ。1989年大分商工会議所入所。90年大分地域商業近代化ローリング事業事務局担当。92年~93年テキサス州オースティン広域商業会議所にてインターンシップ。衰退するダウンタウンを活性化するためのLRT(ライトレール)導入事業などを研修。2006年より中心市街地活性化を担当し、行政をはじめ、各関係機関と活性化基本計画策定のための事務レベル協議を開始。2008年4月大分市中心市街地活性化協議会事務局。商都復活に向けたまちなか開業や個店の魅力アップに日々取り組んでいる。