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取材:村橋保春

【第2回】大分が元気な理由 もっと元気にしたい理由

取材日:2009年1月30日

魅力ある大分市を語る

― お伺いした大分市は「豊の国 大分」の県都であり、まさにゆったりとした豊かさを感じています。大分市の魅力についてお聞かせください。

穴井さん

私は学生時代に少し大分市を離れた以外は、ずっと大分市で過ごしてきました。自分たちでは特別でないことを、外の人からはすごくいいことだなあと褒められることがあります。逆に、当たり前に行っていることが、外の人にとっては眉をひそめる内容である場合もあると思います。

ここでは、あくまで私の意見としてお話いたします。

まずは、大分市の概要を整理してご案内してみます。

<大分市の概要>

大分市は大分県の県庁所在地であり、九州でも東部沿岸に位置し、別府湾から瀬戸内方面の海運に恵まれた人口約47万人の中核都市です。

管内の事業所数は約20,000。卸・小売や飲食業が約半数を占めますが、先ほど紹介したとおり製造業を中心とした誘致企業が多く、事業所数の割には製造品出荷高が多いもの特徴です。

― 九州は個性の強い都市や地域が多い中で、大分市はあまり積極的なアピールをしていないようにも感じます。

大分市の特徴をあげると、まずは大友宗麟というキリシタン大名がいたことだと思います。戦国時代から、積極的に西洋文化を取り入れ、いろんなところで根付いています。ものごとを丁寧に考え、自分たちのものを大切にする人たちも多いと思います。地元の人間ばかりでなく、新たに移ってこられた方々にも大変住みやすいところだと思います。

大分市にかぎらず大分県全体で考えると、とにかく食べ物が豊富でおいしいですね。海の幸、山の幸に恵まれています。関アジ、関サバをはじめ、瀬戸内の魚は、それを味わうためだけに県外から来られます。だんご汁やとり天などの郷土料理も、おいしいものばかりです。とり天は単なるとりのから揚げではなく、いろんな手間をかけ、お店ごとに特徴を出しています。大分市に来られたときにはぜひ食べ比べをしていただきたいと思います。

大分市によいところをもうひとつあげると、気候がいいことです。こうした穏やかな気候が、市民をゆったりとさせ、おいしい食べ物に恵まれるのだと思います。こうした大分市に一度暮らすと、大分市出身者で東京などに移っても再び大分市に戻ってきたり、他市出身者で大分を気に入って住み続けたりする人が結構多いです。

大分市が抱える課題

― 魅力ある大分市ですが、課題も抱えておられると思います。穴井さんの目から見た大分市の課題とはどのようなものですか。どのような視点で解決していけばよいと考えますか。

大分市のよいところをお話しましたが、それらが十分に活かせていないことが課題かと思います。特に観光に関して、十分に実力を発揮していません。観光客を呼び込む要素はあるのですが、観光資源にまで高めていないところに問題があります。都市施設、文化、料理など、もっと開拓していきたいですね。

― 大分市はかつての国家プロジェクトである「新産業都市構想」に基づき、企業誘致に成功した都市と捉えています。産業の面ではいかがですか。

確かに、企業誘致に関しては成果をあげています。農業県から新産業都市への脱皮は成功したといえます。ただし、少し贅沢な課題といえるかもしれませんが、大手企業の大工場が来たことにより、どうしても大工場に頼ってしまう雰囲気ができてしまいました。下請け会社として自らを位置づけ、独自性を持った企業として発展していく志があまりなくなったと感じています。

大分市の将来を担うのはやはり産業、特にものづくりだと思います。大分市には豊かな農林水産物があり、良質な労働力があります。気候にも恵まれていることから、生産資源、生産環境は良好であり、生産リスクとなる要素は余りありません。大分発の企業が次々と現れるような、事業者が活躍できる器作りを進めていきたいと思います。

大分市の理想像

― この回のまとめとして、穴井さんの考える理想的な大分市像をお聞かせください。

<大分市像>

大分中心市街地

世界的な景気後退に直面しておりますが、当面は経済的な伸びしろが見込めるアジア新興国からの需要に期待がかかります。九州は地理的にアジアに近く、北部九州を中心とした産業集積は、この方面への製品供給に有利です。また完成品だけではなく、これからは付加価値の高い技術も大切な商品になります。大分市には精密機械工場をはじめ、造船や鉄鋼など大手メーカーの基幹工場が多く立地していますが、抜群の自然環境を活かした研究開発部門を積極的に誘致し、地場中小企業も含めたモノづくりのアイデア発信基地として、世界に向けたシンクタンク機能を発揮できたらいいと思います。

(つづく)

穴井 壯志:大分商工会議所中小企業相談部 専門指導課 課長補佐

穴井 壯志(あない つよし)/1964年生まれ。1989年大分商工会議所入所。90年大分地域商業近代化ローリング事業事務局担当。92年~93年テキサス州オースティン広域商業会議所にてインターンシップ。衰退するダウンタウンを活性化するためのLRT(ライトレール)導入事業などを研修。2006年より中心市街地活性化を担当し、行政をはじめ、各関係機関と活性化基本計画策定のための事務レベル協議を開始。2008年4月大分市中心市街地活性化協議会事務局。商都復活に向けたまちなか開業や個店の魅力アップに日々取り組んでいる。