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中小企業診断士の仕事

林業に専門特化し、日本の林業再生に取り組む日々

レポート:坪野 克彦(中小企業診断士)

【第2回】林業再生の担い手となる人財育成事業の取り組み

森林施業プランナー育成研修事業への参画

林業再生や振興の担い手として位置づけられ、その機能強化が喫緊の課題になっている森林組合の経営支援が、私のこの業界での最初の仕事となりましたが、その内容が、森林組合系統の上部団体である全国森林組合連合会(以下全森連)や林野庁の知るところとなり、2005年からは全森連と経営診断等に関する委託契約を締結して、全森連をハブにした活動となり、森林組合経営支援は全国展開になりました。

また、平成18年10月には、林野庁の全国国産材安定供給協議会・全国提案型施業促進部会委員に就任し、平成19年4月からは、全国12地区で始まった「森林施業プランナー育成研修」にメイン講師として参画しています。この研修は、適正な森づくりを行いながら、マーケットが求める材価に適合できるコストで民有林から木材を伐採して搬出するプロフェッショナルを森林組合職員の中から毎年200人程度育成し、3年間で600人輩出しようという国家的なプロジェクトです。

森林組合は、長い間、林業公社や森林整備公団(緑資源機構)や都道府県・市町村等からの公共事業が収益の柱となっていて、組合員が所有する森林整備やそこから出てくる木材の販売事業には積極的に関わってきませんでした。でも、公共事業がどんどん低減し、そのあおりで赤字転落する組合が続出しているのが現状です。そこで、植林後、太くなって収穫期を迎えている地域の森林から木材生産をする機能を強化していく方向を模索しているのです。森林組合の本来の使命を遂行し、かつ経営的な安定を図るということで、その中心となる森林施業プランナーを育成して森林整備事業を進めていくということになりました。その背景には、京都議定書における日本のCO2低減分6.0%のうち、3.8%を森林で吸収するために、今後6年間で330万haの森林を面的整備する必要が国家としても喫緊のものになっているという事情もあります。

森林施業プランナー育成研修は、小規模所有者をまとめて、そこに作業道をつくり、高性能といわれる林業機械を稼働させて、間伐整備で安定した経営基盤を確立している京都の日吉町森林組合での基礎研修(3泊4日×4回)を皮切りに、全国12地区での地域実践研修パート1(2泊3日)、パート2(1泊2日)が実施され、1年目の今年は157組合が参加しました。私も講師やコーディネーターとして、北海道、東北、関東、中部、中国、九州で行われた研修に参加し、主に、提案型集約化施業(小規模所有者に提案書を提示して施業の了解をとり、一定以上の面積を確保した上で作業道を作設し、林業機械を使って低コストで間伐をし、伐りだした木材を市場や製材所等に販売し、その利益を所有者に還元する)におけるコスト管理についての講義や実習を行いました。

研修では講義の他、実際に森林に出かけて、森林の状況を調査し、どのくらいの立木があるのか、そのうちどのくらいを伐採して搬出するのか、そしてその事業費はどのくらいかかるのか、木材売上はどのくらい想定できて、補助金はどのくらい使えて、結果として所有者にどのくらい返却できるのか、また、組合はその中でどのくらいの利益を確保することができるのかといった実務のノウハウを、この研修の中で参加者に身につけてもらうのです。

この事業は5年継続のもので、林野庁が予算化し、全森連が実施団体となり、都道府県にある森林組合連合会が協力して運営しています。研修の効果をあげるために、ワークショップの手法も導入して、従来のこういった研修には希薄だった「成果をあげる」ということを目標にしています。その成果とは、この研修を受けた職員のいる森林組合が、地域の森林管理に真剣に取り組み、コスト意識を高めながら利用間伐事業を進めていくことによって、組合経営を安定させるということです。私自身も、全国の森林組合の職員たちと直接ふれあいながら、日本の林業の将来を背負う人財を育成し輩出していくことの意義を再認識しているところです。