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中小企業診断士の仕事

中小企業診断士としての創業支援とのかかわり方とは

レポート:大森 啓司(中小企業診断士)

【第4回】これからの創業支援のあり方

現在、創業塾・起業塾・創業支援セミナー等名前は違いますが、これから独立する人を応援する勉強会は日本商工会議所さん主催で年間700回、商工会議所単独での実施、民間のベンチャー育成支援等を含めると全国で1,000回を越すのではないかと思います。

 先日全国で創業支援を企画する経営指導員の会議資料を見せてもらいました。当然ですが皆さん企画にひと工夫もふた工夫もしています。私も現在は単なる一講師の役割よりも、企画段階(ちらし作成や講師の手配等)からご支援をさせていただくことのほうが多くなってきています。

 特に最近は、若手(30代)や独立まもない診断士の方にできるだけ機会を与え・育てていくことを私自身のミッションにしていこうと心掛けています。特に受講生が若い方や女性の方の場合には、年配の方が前に立つだけで威圧感が出てきます。最終回は私「中小企業診断士の大森」が考えるこれからの創業支援のあり方をまとめてみました。

受講生間の交流を盛りあげることが重要

2007年問題(団塊世代の大量定年退職)が言われて久しいですが、去年から某会議所が団塊塾を開催しています。人数は決して多くはないですが(10名前後)、雰囲気はとても良い感じです。当然の話ですが、同世代の人たちが集まりますと昔話に花を咲かせてくれます。

創業塾の1番のメリットは全く見知らぬ人が懇意になって今後の事業を進めていく中での良き仲間もしくはアドバイザーを見つけることができることです。これは、われわれ講師からの講義以上に大きな資産になると思っています。ここからが講師もしくはコーディネーターとしての中小企業診断士の腕の見せどころ!

大森啓司さん

どうマッチングさせるとお互いが刺激しあうか?

また参加されている方以外で、この方に刺激を与えることができる人がいるか?

私は創業塾が開催されている期間ずっとこのようなことを考えています。

講師は単に指針を検討してもらう気づきを与えるだけです。受講生間の新たな交流、その中からアイデアが出てくる雰囲気を創ることができる人が、本当に大切な創業支援なのです。知識は後からいくらでも吸収できます。

大切なのは塾終了後かもしれません

このシリーズの第1回で紹介した創業支援をさせてもらっている創業塾は7年が過ぎようとしています。実は、去年からやっとOB会を開催しています。個人的には創業塾後のフォロー(情報収集)も含めて「力」を入れているのですが、参加人数も含めてなかなか苦戦しているのが現状です。過日も別の会議所さんからOB会の組織化支援についての企画・アドバイスの依頼を受けました。最近はIT(インターネット)を活用したコミュニティが非常に活発化してきていますので、メーリングリストやBlog等でのコミュニティづくりを図っています。しかし、最初の1~2ヵ月は気合と目新しさがあって活発ですが、3ヵ月も経つと多忙と面倒くささが重なり合って、自然消滅をするのがほとんどのようです。

大森啓司さん

しかし、継続している会もあります。7年前から、とある会のメンバーは年に1回、1泊2日の合宿で、1年間の反省と今後1年間の事業方針・計画の発表会を行っています。それも試算表や決算書を回覧しての発表です。試算表や決算書を持参するとなると自分の事業の1年を「さらす」ことになります。自然と1年間頑張るぞという気持ちをもつことができます。この会が真剣にお互いの事業の成果を語り合えて持続できるパワーがでるのは、そこからくるのかもしれません。私も「顔を見に来なさい」と言われて手弁当で参加させていただきます。メリハリそして強と柔のバランスのとれたとってもよい会で、私も一緒に勉強をさせていただいています。

創業塾は、しょせん出会いの場、終了してから継続的に気の合う仲間と切磋琢磨して細く長い関係を持っていただける環境を提案することが創業支援にかかわる中小企業診断士として最も重要な職務かもしれません。

創業支援とは気持ちの整理をすること

中小企業診断士は、コンサルタントとしての唯一の国家資格です。ではコンサルタントとは何か? 今回の創業支援というテーマで考えた場合には、「創業される方の夢を実現するお手伝い」と訳されるかもしれません。では、夢を実現するお手伝いとして何ができるのか?

話は少し変わりますが、中小企業診断士は国家資格を取っただけであって、プロのコンサルタントではありません。単なる資格を取っただけで価値(端的に言えばお金)を生む資格ではありません。 私がはじめ、創業支援のお手伝いをさせていただいた時は、何の実績もありません(当然ですが)。ただ相談者(参加者)が望む夢を真剣に聴き表面的な課題だけでなく、その心の奥にあるまとまっていないモヤモヤを、可能な限り整理させていただくことを心掛けました。

先日もある創業者の方の窓口相談を、中小企業基盤整備機構さんで対応させていただきました。「貴殿のやりたいことは企画屋でしょ」と言うと突然目の色が変わり「そうです、そうだったんです!」と言われ元気になって帰られました。

創業支援からみたわれわれの本当の仕事は「気持ちの整理に向けてのアドバイス」と「元気とやる気の充電」を与えることだと心得ます。