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中小企業診断士としての創業支援とのかかわり方とは

レポート:大森 啓司(中小企業診断士)

【第3回】創業塾での支援事例 Before/After

本シリーズ3回目となる今回は、創業支援事例のBefore/Afterです。事例を通じて何ができていなかったか? 支援で何が出来るようになったか? また、支援者として心掛けることはなにか? を明確にしていこうと思います。

融資の課題を創業塾でクリア[A社]

【Before】
 夫婦で小規模のジーンズShopを開業予定。某市内で10坪程度のお店を予定。長年、同業態の店舗で店長をやっていたこともあり、仕入・販売・販促・接客そして店舗管理という点からのキャリアとノウハウは有していました。年齢は32歳。某公庫に設備資金の借入に行かれましたが、事業計画が雑すぎるということで却下。某公庫さんからの勧誘で創業塾に来られました。

【Process】
 創業塾では、「事業計画が雑すぎる」という意味(ポイント)を3点に絞り、グループワーク及び個別意見交換の中で徹底的に洗脳しました。

  1. ショップコンセプトがあるけどない。これはどういう意味かと言いますと、口ではあると言っている(まとまっている)が、魂が入っていない。換言すればイメージが伝わってきません。相手にそのイメージが湧いてこないために、店としてもしくは経営者としての魅力を感じない。「言葉(表現)」と「視覚(オーラ)」の両面から固めてもらうことを意識しました。
  2. ターゲットと商品構成、客数と客単価、月毎のイベントスケジュールと売上目標、及び達成に向けての具体的な課題の明確化。幸いにして、奥さんはしっかりとしておられましたので、この辺の数値計画をきっちりとつぶし込み、利益と減価償却から返済できる計画の作成支援を行いました。
  3. お2人のショップ経営のための役割を明確にしました。前述の通り奥さんは数字に長けており、経営者向きなので店づくりと会計・資金管理、ご主人は店頭での接客と仕入れに注力してもらうようにしました。従前はご主人=社長という世の中によくある構図だったのですが、ここは断言して役割を変えることを要望、受け入れてもらうことができました。

【After】
 創業塾終了後、奥さんが某公庫に創業塾で作成した事業計画を持参して申込み、一部他行さんとの協調融資を得て、満額の融資を受けることができました。

大森啓司さん

創業塾のカリキュラムで某公庫さんから、融資制度の紹介を受講生に説明されることが多いと思いますが、この例も、以降の創業塾を活用した良い例として取りあげられています。

行政の支援メニューの活用方法を指南[B社]

【Before】
 婦人服・服飾雑貨の販売、小売店の開業を希望、40歳の主婦。元看護師で同業界でのキャリアはなし。非常に勉強熱心だが、逆に理屈っぽいところあり。どちらかと言うとまだコンセプトは甘い。業界に疎いこともあり、少し心細いまた不安感がある。創業塾を通じて固めていきたいとの希望で来られました。

【Process】
 創業塾では、本人も開拓していましたが仕入先の選定が必要な点をアドバイス、一方でコンセプトが固まっていないので、数度の個別相談を通じて固め、方針を決める。市場調査・数値計画・損益分岐点分析・月別売上・販促計画・長期目標・ファッション分野におけるポジショニングマップ等、日頃の勉学の中から計画自体は成熟度の高いものができていました。課題は資金調達をはじめとする事業の具体化策でした。支援施策については全く考えていなかったため、行政機関の効果的な支援メニューを検討するようアドバイスを行いました。

【After】
 創業塾を通じて本人が活用できた支援メニューは以下の通りです。

  • 融資
    塾卒業後に県の融資制度を活用して満額融資。
  • 助成金
    県の空き店舗事業を活用して、開業時の内装と家賃補助を2年間受ける。
  • 専門家支援
    アパレル系業界に特化したOB及び専門家もしくは同業者を数名紹介し、幅広い知識の収集を行ってもらう。

本人の能力を考慮して、できるだけたくさんの情報を提供し、取捨選択するスキルを向上させました。支援させていただくものとして、支援する例として、芯がしっかりしているか否かの見極めが重要、状況によっては応援ではなく見合わせることを真剣に助言するのも必要ですが、同氏の場合には老婆心でした。

創業に必要な「経営者としてのご自身のスキル能力の把握」「お金」「顧客」「人間関係」の中で、創業塾を通じて何をクリアしたいのか、はっきりとさせることが必要です。

(つづく)