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中小企業診断士の仕事

中小企業診断士としての創業支援とのかかわり方とは

レポート:大森 啓司(中小企業診断士)

【第1回】中小企業診断士として留意すべきこと

中小企業診断士の大森啓司です。早いもので独立して9年目になりました。独立する際に決めた「創業支援」「IT活用」この2つをキーワードにこれから創業される方や中小企業の皆さまを応援しています。人(社長)の心をどうやったら動かせるのか、ただアドバイスするだけでなく、一緒に行動するアドバイザーを目指そう、という意味で社名にした「アクトコンサルタント」と経営理念の「毎日泣きたい」は変わっていません。
 今回は中小企業診断士として創業支援に係わらせていただき、感じたことを、
  第1回 中小企業診断士として留意すべきこと
  第2回 創業者のタイプとその対応策
  第3回 創業塾での支援事例
  第4回 これからの創業支援のあり方
にまとめてみました。これから独立する中小企業診断士もしくは創業支援に取り組む診断士の皆さんに参考になれば幸いです。

創業支援と中小企業診断士

先日創業支援を過去6年、回数にして14回、のべ71日ご支援させていただいた某商工会議所の経営指導員から以下のようなメールがきました。

――――――以下 引用

今日はうれしいうれしいお知らせです。
日本商工会議所から連絡があり2006年夏期実施の創業塾CSアンケートで当所がダントツの1位を獲得したとの ことです。

ちなみにその評価項目ですが、

  • 担当職員の応対
  • 開催告知の充実度
  • 研修内容の充実度
  • コース全体のメリハリ等
  • コース開催曜日や開催時間帯
  • クラスの雰囲気
  • 交流機会の有無・充実度
  • 受講料
  • コース全体の総時間数の適切性
  • 参加している受講者数の適切さ


というものでした。

―――――引用終わり

大森啓司さん

全国700箇所で開催される商工会議所の創業塾(起業塾)でこのようにご評価をいただけたことはうれしいことですが、自分に力があるとは決して思っていません。ただ、年間10数回の起業セミナーをこなしていく中でいつも留意していることがあります。

今回は中小企業診断士として創業支援にかかわってきた者として、その一端を皆さんと共有できればうれしく思っています。

創業は人生で一度は挑戦してみたい自分の夢です

中小企業診断士も独立する時は起業ですから、受講される方と同じ立場です。現に過去に中小企業診断士の方が受講されたこともあります。ちょっとやりづらいですが...。

人間だれでも、一度は自分のしてみたいことを実現したい。でも、お金もないし協力者もいない。そんな中でこれからどう考えていけばいいのだろう? 自分の夢の実現のためにはどうすればいいのだろう? たぶん、1度や2度はそのようなことを考えたことがあると思います。そういったたくさんの人の中から実際に1歩踏み出した方のお話をさせていただくのですから、当然、心に訴えるお話をしなければ意味がありません。たった1度の人生の中で貴殿は何がしたいのですか? なぜ、それをやりたいと考えたのですか?

ここは、参加者の心に響く言葉を選ぶように心がけています。

【チェックポイント その1】 事業に対する想いの奥を掴む

「なぜ自分は創業したいと思っているか? 心の奥底からしっかりとした考えを持って説明できますか?」と質問させていただいたとします。意外と難しいものです創業の動機とは。「リストラにあったから」「そろそろ自分のやりたいことを自由にやってみたいから」「自分の力を試してみたいから」などなど。本人は決して安易な想いではないと思うのですが、でもやっぱり私に言わせていただくと安易。安易が決してだめなわけではないのですが、安易な点だけしか見ることのできない方はだめです。そういう意味では「なぜ自分は創業したいと思っているか?」この答えで心の響きを訴えることができない方は成就するとは思えません。中小企業診断士としてもしくはプロの創業支援者として、この辺を感じとることができるか否かが大切です。

【チェックポイント その2】 事業計画を「書く」本質を伝える

創業者だけに限らず、だれでも紙に書いてくださいというと、「いや、それはちょっと」と言われます。でも、口では何とでもいえます。事業を起こすことは夢物語ではいけません。どうすればいいか?地に足をつけて考えることがとってもとっても大切なのです。口で言っていることは一晩寝たら、「私そんなこと言いましたっけ?!」といえば無罪放免です。が、文書になったとたんそれは許されなくなります。言い換えれば、発言に責任をとらなければいけなくなります。だから、いつも真っ白な紙にあなたの考える計画を自由に(漫画でも、文書でも、ぽんち絵でも何でもOK)描いてくださいとお願いしています。

この際、中小企業診断士として気をつけなければいけないことは、自分の得意分野に導かないように注意することです。例えば数値計画が得意な診断士は、数値計画ができていないとアドバイスされます。でも、数値計画ができていない理由をあまりしっかりと見つめようとされません。市場調査が弱いのか、予測の立て方に考え方がないのか、はたまた事業のビジョンが弱いのか、この辺をしっかりと見極めた中での助言が大切です。

【チェックポイント その3】 相談者の夢と身の丈の違いをしっかりと把握する

ここが、実は一番大切なポイントかもしれません。自分が実現したい夢は皆さん、それは結構書いてくださいます。というか、想いの中で充足されたものがアウトプットされます。問題は、その具体的な計画です。本当に今までの自分を直視して計画を作成することができるか否かです。

今までの経験から申しまして、10人中8人は論旨展開(考え)が甘い、もしくは市場環境を甘く見ている場合が散見されます。そういう意味で事業計画を書いてみて、その内容が自分の身の丈にあっているか否かをしっかりとチェックしていただくことはとっても大切だと思っています。

(つづく)