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中小企業診断士の仕事

企業再生支援のスキルアップに取り組む

レポート:宮崎 洋一

【第4回】いかに現場を動かすことができるか

行動を変え、考え方を変えることが大前提

小林さんは、企業再生を実現するためには、まず、大前提として経営者と従業員の意欲を高めること、すなわち意識改革が重要であると指摘する。

その方策として有効なのは、過去の経験を白紙にする以下に示す「5つのトラ退治」をまず行うことだ。

  1. 過去の経験にトラわれない改革案が求められる。人間は過去の成功体験を持っているために自分の考え方を変えることが出来ない場合が多いからである。
  2. 自分の立場にトラわれないことが求められる。役職が上位にいると自分の立場や上司の立場を考えて、再構築できない場合が多く存在するのである。
  3. 今までのやり方にトラわれない改革案を受け入れる必要がある。人間は変化を嫌う動物であり、今までのやり方をたいていの場合、変更したがらないものである。
  4. 過去のルールにトラわれないルール変更を受け入れる必要がある。前例や慣例主義が横行している企業は変化に対応していけない。それを打破する必要がある。
  5. 過去のシステムにトラわれないことが大切である。情報システム部門も、新しいシステムを入れ替えることには反対する場合がある。自分が使い慣れた開発言語で開発しているような人は、特にそういう傾向が強い。

そして考え方を変えるためには、まず行動から変える必要があり、そのためには5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)運動からはじめるのが効果的だという。

いかに現場を動かすことができるか

最後に、小林さんに再生支援に取り組む際の心構えをお聞きした。これからこの分野に取り組もうとされている方々は、ぜひ参考にしていただきたい。

「経営者にとって大切なのも熱意ですが、支援するにしても熱意がないとダメですね。ただし熱意だけでもダメです。一方では理論的な体系を勉強して、さらに実務経験を積んでいく必要も当然あります。

使命感という言葉に置き換えてもよいでしょう。単に、報酬がいくら貰えるかみたいなことでやっていたら支援者は務まりません。再生の仕事は結構しんどいですから...。優秀な企業のほうが楽です。

再生支援の仕事には、時間と労力の割には報酬が少ないという現実があります。わたしなども、時間あたりの報酬を半分にしましょう、ということで引き受ける場合も多いのです。その割に、大変な仕事をしなくてはならない。ということからみると、社会貢献の一環としてやらせていただく、という気持ちも必要だと思います。」

「もちろん技能と経験は必要ですが、そのうえで心からその企業を再生したいという使命感と熱意がないと、現場は動かないものです。社長さんやその従業員の方をいかに動かすことができるか、そこが重要なポイントなのです。この間も、まず5S運動からやろうということで、朝早くから再生企業のトイレ掃除。もちろんわたしも率先してトイレ掃除をやるんですよ。きれいにクリーニングしようということで、わたしが自分でクレンザーを買ってきた。それで、朝9時から行って『1時間掃除だ、もっとキレイにしないとダメだ』なんて言いながら一緒に掃除をする。そういうふうに熱意を行動で示すことがとても重要なのです。

一緒になってやると、『先生も僕らの仲間なんだな、口だけで言うんじゃなく、一緒になって取り組んでくれるんだな』というように、経営者も従業員も、その気になってくれるわけです。もちろん1つの例に過ぎませんが、そういうところが企業再生の支援でも、やはり大切なんですね。」(この項終わり)

小林 勇治さん:(株)マネジメントコンサルタンツグループ代表取締役

小林 勇治(こばやし ゆうじ)/新潟県出身。1967年富士短期大学経済学部卒業後、日本エヌ・シー・アール(株)勤務を経て、1985年コンサルタントとして独立。現在は、(株)マネジメントコンサルタンツグループ代表取締役としてITシステムの導入・運用のコンサルティングを主におこなっている。イー・マネージ・コンサルティング協同組合理事長、(社)中小企業診断協会東京支部副支部長。『利益を劇的に増やす「ミーコッシュ」導入・活用の具体策』(経林書房、2000年)ほか著書多数。http://www.e-mcg.net