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中小企業診断士の仕事

企業再生支援のスキルアップに取り組む

レポート:宮崎 洋一

【第2回】効果を定量化して示すのがプロ

ミーコッシュ手法を企業再生に応用

小林さんの著書に『利益を劇的に増やす「ミーコッシュ」導入・活用の具体策』(経林書房刊、2000年)がある。情報システムベンダーとしての経験およびコンサルティング体験を基に、仮説・検証を繰り返し成功事例を凝縮して、オリジナルの手法を提唱したものである。それは、経営革新手法であり、IT・システム構築手法でもある。

「ミーコッシュ」(MiHCoSH)とは、(1)マインドウェア、(2)ヒューマンウェア、(3)コミュニケーションウェア、(4)ソフトウェア、(5)ハードウェアの頭文字だ。その意味するところは、

(1) マインドウェア=考え方

(2) ヒューマンウェア=やり方・使い方

(3) コミュニケーションウェア=約束ごと

(4) ソフトウェア=プログラム

(5) ハードウェア=機器

であり、この5つの視点から経営システム要因を分析し、劇的な経営革新をはかろうとする。

また、システム構築でいえば、ソフトウェア、ハードウェアのいわゆるシステムインテグレーションだけではなく、考え方、やり方、約束事の部分、すなわちビジネスインテグレーションを同時に構築しなければ失敗する可能性が高いということである。

図

この「ミーコッシュ」の手法が、企業再生支援にうまく応用できる、というのも小林さんの持論の1つである。

「もともとわたしは、ITコーディネータという制度ができる前からITコーディネータの仕事をしていた人間なんです。だから、どうしたらコンピュータがうまく投資効果を出せるのかを、ずっと分析してきました。その延長線上でコンピュータだけではダメなんじゃないか、考え方や業務プロセス、つまりマインドウェアやヒューマンウェアが大事なのではないか、と言ってきたのです。システムインテグレーションだけではなく、ビジネスインテグレーションも同時にやっていかないと効果が上がらない、と。それは、わたしに言わせると、まさにリストラなんです。考え方のリストラであり、やり方のリストラであり、ルールのリストラであり、ハード・ソフトのリストラですから...。企業再生における業務リストラの局面でも使えるものなのです。」

効果を定量化して示すのがプロのコンサルタント

小林さんの言葉で、具体的なポイントを以下にいくつか紹介したい。

1つは、アズイズ(as-is)モデルとトゥービー(to-be)モデルの作成である。

「アズイズモデルというのは、現状ここに、こういう問題点がありますよと指摘するもので、今のシステムを図解したものです(業務フロー図等)。それで、指摘したらトゥービーモデルで、こういうふうにすれば今のこの問題点を全部解決しますよと、解決案を提示するわけです。

そうでないと、プロのコンサルタントとはいえません。なかには問題の指摘ばかりして解決案を出さない人がいるんですよ。」

それから、「期待効果の算定」の重要性。リストラ効果を目に見えるようなかたちで示すことが、再生実現には欠かせないのだという。

「再生のための期待効果というのを必ず出さなければいけません。定性的なことではなく定量的にはっきりした数字で示す必要があります。そうでなければ、具体性がないでしょう。「原価率を下げてください」とか、「一般の経営指標より高いから販管費率を下げてください」とか、そういうことは誰でも言える。どういうふうにしたら下がるのかということが言えて、初めてプロのコンサルタントなのです。定性的な表現で逃げを打ってはいけません。「こうでなければならない」などとわけのわからない、もっともらしいことをいう。そんなのは役立たないんです。

これをやれば、どれだけ改善するかということを定量的に示す。それが出来なければ中小企業診断士は、おそらくほとんど役立たないと言われるだろう。少し過激な発言かもしれませんが、そういう意気込みで取り組んでほしいと思っているのです。」

再生支援に限らず、中小企業診断士としてコンサルティングの仕事全般において示唆に富む言葉である。(この項続く)

小林 勇治さん:(株)マネジメントコンサルタンツグループ代表取締役

小林 勇治(こばやし ゆうじ)/新潟県出身。1967年富士短期大学経済学部卒業後、日本エヌ・シー・アール(株)勤務を経て、1985年コンサルタントとして独立。現在は、(株)マネジメントコンサルタンツグループ代表取締役としてITシステムの導入・運用のコンサルティングを主におこなっている。イー・マネージ・コンサルティング協同組合理事長、(社)中小企業診断協会東京支部副支部長。『利益を劇的に増やす「ミーコッシュ」導入・活用の具体策』(経林書房、2000年)ほか著書多数。http://www.e-mcg.net