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中小企業診断士の仕事

中小企業の「ひたむきさ」を実感―販路開拓支援の現場から

レポート:秋島 一雄(中小企業診断士)

【第3回】支援企業の事例紹介(2)

[事例3]すべて商品が気持ちをこめた手作り逸品、匠の技が冴えるオリジナルの工芸品!
  ―境工芸社(工芸品の製造メーカー)

【境工芸社概要】

境工芸社さんは真珠の養殖で知られる志摩市に本拠を構え、技術者である社長が1人で工芸品を作っている会社です。地場で取れる自然の素材をもとに、身に付けるアクセサリーを製造販売してきました。今まで定期的に購入してくれていた問屋が倒産し、かつ従来の販路はその問屋一本だったので新規の販売先を考える必要があり、今後どうすべきかというご相談でした。

【地元商工会の経営指導員同伴でのヒアリング】

地元商工会の経営指導員同伴でのヒアリング    

境工芸社さんへのヒアリングは、地元商工会の経営指導員の方も同伴のもとで実施しました。販路開拓もさることながら、生産体制に不備があることや、原価計算が不十分なまま価格設定を行っていることを、問題点として指摘しました。仮に注文が増えても生産量が追いつかない、それにも増して価格がボランティアの域を出ないため、適正な粗利益を確保できず、人的資源の補充や工場の拡充など今後の社内整備に投資する余裕がないのです。また、ネット販売にも出店していますが、その固定費負担がかなり大きく、ネット経由での売上額(利益ではありません)以上の出費が長期に続く契約であることも判明しました。

速やかに改善に着手しないと大変なことになる、そのためには、まずやれることからという危機感を持ってもらうことを主眼としてアドバイスを行いました。

【製品の課題】

サポート委員会で、小売業に強いベテランBCCから、「商品は良いものがあるが、その周りの付属品(具体的にはアクセサリーのチェーン)の品質が悪すぎる、この部分にわずか数百円高いものを使用すれば、高級感が出て値幅の取れる商品に変わる」との的を射た助言を受けました。現在、同社はその業者を選定中で、附属品やパッケージに関しても製品そのものと同じぐらい重要な位置づけとして見直しを行っています。

また、付属品の改善の必要がない単体商品のサンプルを1セットお借りして、百貨店で装飾品の催事を行っている小生がコネクションを持つ業者さんにアプローチして、その反応を見る予定です。

[事例4]飲食業悩みのタネである廃液処理(グリーストラップ)を、バイオの力で解決!
 ―(有)バイオクリーンシステム(廃液処理メーカー)

【バイオクリーンシステム概要】

バイオクリーンシステムさんは、工業地帯の四日市市に本拠を置く環境機器製造バイオ資材販売の会社です。同社が開発した製品は特許も取得済みで、自然の有用微生物によるグリーストラップの浄化システムがその主力です。社長の積極的なPR活動で、2006年9月には大阪市ビジネスコンテストにも応募、そこで優秀賞を受賞しています。

【同社の課題】

人員不足から社長が開発・製造、さらに営業をも一手に引き受けているので、せっかくの商品を世に問うための営業力が不足です。実績は徐々に上がっているものの、現時点では営業マンを雇うまでの経費は割けない状況です。また、製品に類似品が多く、そのほとんどが効果のあまり期待できないものであるため、顧客に対する説明では、その導入段階で苦労することが多くなっています。

【第3地域でのビジネスマッチング】

第3地域でのビジネスマッチング

小生が経営革新塾の講師を勤めた長野県某市の衛生・清掃関係の会社から、新たな商材を探したいとの相談を受けていたので、同社とのビジネスマッチングを実施しました。バイオクリーン社の社長と小生の2人で昨年末に同社と面談を実施し、まずは製品説明を行いました。その際に、一般の人にも分かりやすいようなセールスツールを作ること、試供品等のサンプルを供給すること、価格表も数量割引を加味して再度ベストのものを作ってほしい、などの要望があり、早速翌月には新たな資料一式を提出しました。

同社社長のこのようなフットワークの良さは、必ずどこかのタイミングで大きなチャンスが訪れるものと考えています。併せて、社長が技術畑出身なために、技術的な話が大半を占め、聞き手を退屈させる懸念があり、営業場面での話題を工夫することもアドバイス致しました。またその後も、小生が三重県出張の際に長野の会社との橋渡し役として、バイオクリーンさんと打ち合わせを実施しております。

[事例5]いつかは自分のオリジナル商品を、社長の長年の情熱で開発にこぎつけた新製品!
  ―(株)スペースアート(ネオン製造業者)

【スペースアート概要】

スペースアートさんは伊勢市の伊勢神宮にも程近い場所に本拠を置く看板・ネオン制作の会社です。大手ビールメーカーとの付き合いも深く、その販促用のディスプレイのネオンも手がけています。さらに、自社のネオンのデザインについて、コンテストで各種の賞をとっています。今回は、「火を使用しない火の演出」というオリジナル商品「かがり火ネオン」を開発し、特許を申請中です。

【サンプルがないと売れない】

今回対象とした商品は、大手メーカーでの安全確認がなされ、同社系列の飲食店の店内ディスプレイ用品としてカタログにも掲載されています。しかし、印刷物で見るだけでは、どこにでもある特徴がない製品と思われてしまいがちです。ですから、実際に現物を見てもらうために、サンプル(結構大きなもの)をどのように配置するかが勝負になってきます。結婚式などに持ち込み、人に見てもらうと好評な結果が出ています。そのため、1対を借り出し、東京の小生のオフィスに置いて、多くの方に見てもらうようにしています。

サンプルがないと売れない

基本的に商品が「かがり火」なので和風であり、そのイメージに合致した販路を開拓していかねばなりません。例えば、今年(2007年)1月に都内の有名ホテルでのある大広間で、新年の御祓いが1000名規模で実施されるとの情報がありました。そこへもいろいろなネットワークを駆使してアプローチし、雛壇の左右にサンプルを置かせてもらい、非常にいい宣伝を行うことができました。また、その当日会場準備の合間に社長と、今後は「洋風」の引き合いが多くなってきているので、その対応が必要などの次期戦略への意見交換も行うことができました。

【展示会出展に向けて】

やはり手っ取り早いのは展示会であり、いろいろな展示会情報を収集する中で可能性が高いものは、BCCの小生が社長の代行として、東京の展示会の企画等を取り仕切っている会社を訪問し、申し込みの手順や予算などの打ち合わせを行いました。この夏東京ビッグサイトで開催される展示会に出展の予定です。このように首都圏在住のBCCを活用して、業者等と打ち合わせを行うことは、時間と費用の両面から有効であり、ぜひとも効率化の観点からも利用すべきだと思います。(この項続く)