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中小企業診断士の仕事

中小企業の「ひたむきさ」を実感―販路開拓支援の現場から

レポート:秋島 一雄(中小企業診断士)

【第1回】再び営業に! ビジネスチャンスコーディネーターとして

中小企業新事業活動促進法に基づく、経営革新計画が承認された企業様に対する支援のひとつとして、販路開拓コーディネート事業があります。小生は、中小企業基盤整備機構ならびに三重県産業支援センターにおいて、販路開拓のコーディネート事業に参画させていただきました。ここでは4回に分けて、その具体的な活動内容について、特に企業様といろいろな局面で接点を持つ機会に恵まれた三重県下5企業の例を中心に、ビジネスチャンスコーディネーター(BCC)の活動現場の実例をレポートします。

再び営業に! ビジネスチャンスコーディネーターとして
 ―三重県産業支援センター販路開拓コーディネート事業に参加して

いきなり私事で恐縮ながら、小生は中小企業診断士の資格取得前は大手商社で10年ほど海外駐在を含んだ営業畑を歩み、さらに半導体関連メーカーに転職後も5年ほど営業に携わっていました。小生が今回、三重県産業支援センターさんの事業に参画したことで、再び自分の営業の血が騒ぎだしました。商売は「無いところに新たな商品を持っていく」ということ、つまり「競争のないところに新商品をもっていく」というのが基本のひとつになると思います。

そのような意味では、この事業は三重県で開発された商材を、関東・関西という大消費圏で販路開拓をしていくといったやりがいのある仕事でした。そして、営業原点はやはり「足で稼ぐ」ということを、自分自身再認識することにもなりました。地元でがんばっている企業様の紹介を兼ねながら、この事業を、私なりの捉え方を含め以下のようにご紹介したいと思います。

1. 販路開拓支援事業

平成18年5月10日、三重県津市にある三重県合同ビルの一室で、財団法人三重県産業支援センターのビジネスチャンスコーディネーター(以下「BCC」と略)の任命式および販路開拓支援事業第1回サポート委員会が開催されました。今回任命されたのは、関東地区4名および関西地区4名の合計8名で、選考されたのは、商社OBを中心に販路開拓の専門家ばかりの集団でした。関東・関西地区ともその半分の計4名が中小企業診断士で、その面々は平素から講演会やセミナー講師を務めるとともに、営業経験も豊富なメンバーでした。また、昨年よりの継続参加の方が4名に対して、小生を含めた新規参加が4名と、非常にバランスの取れたスタッフ構成となりました。

この事業は、経営革新に取り組む三重県内中小企業の大都市(関東および関西)の販路開拓活動を支援するために、必要な相談・情報提供等の体制を整備するものです。そのために、BCCへの応募資格を次のように定めています。

1)中小企業の経営実態に精通し、同県内の中小企業への支援に熱意のあること

2)関東圏または関西圏に在住し、業務に従事できること

3)支援対象企業への販路拡大支援にかかる必要な情報を収集できるともに、多くの企業とのネットワークを持ち、あっせん紹介・助言等が可能な知識と経験を有すること

また、BCCの主な業務内容は下記のとおりです。

1)関東圏および関西圏での企業訪問等により販路開拓とあっせん紹介、市場情報の提供

2)支援対象企業に関連する新たな販路開拓先企業への訪問

3)産業支援センターが召集する委員会等への出席

4)業務に関する報告書の提出

(※注:上記の応募資格および業務内容は平成18年度用のものです。)

2. サポート委員会

1ヵ月に1度、産業支援センターで「販路開拓支援事業 サポート委員会」が開催されます。サポート委員会は財団法人三重県産業支援センター、三重県農水商工部産業支援室、およびBCCで構成されます。委員会では、まず県内企業が抱える課題の認識や対策に向けての意見交換を行った後に、活動報告と今後の活動方針のすり合わせを行います。そして、委員会のメインイベントとして、この事業に真剣に取り組む意欲のある県内企業の商品説明会が、質疑応答を含めて1社約30分程度で行われます。

サポート委員会毎回のサポート委員会への参加企業は5社程度で、自社商品のサンプルを持参の上、その商品に賭ける思いや、販路開拓の必要性についてプレゼンテーションを実施します。プレゼンには慣れ不慣れがありますが、中小企業の一番の商品である社長さんの「人となりや熱意」を、BCCを含めたスタッフが直に受けとめる場であります。そこで、共感を得ながら、販路開拓支援の方向性を探っていく場です。時には、BCC側から真剣であるがゆえの辛辣な質問や意見が出ることもありますが、その商品を世に問うことはどんなことか、市場で失敗するよりも、ここで恥をかいたほうがベターであるという熱意ある社長さんも少なくありません。何でも吸収することで、これからの商売の「肥やし」にしようとする志は、近い将来に必ず結実すると確信しております。

さらに、三重県で実施されるサポート委員会以外にも、関東地区・関西地区での分科会もあります。その会議では、三重県のスタッフおよび企業1社が原則として出張・参加されるので、別の雰囲気の中で、現場での事情報告や種々情報の交換なども行っています。

販路開拓支援が「しやすい」企業と「しにくい」企業

今回、数十社の県内企業が臨んだ商品説明会に参加した結果、BCC側から見た「支援しやすい企業」と「支援しにくい企業」の概略をお話し致します。「支援しやすい企業」の裏返しは「支援しにくい企業」ですので、重複を避けた記述にしました。つまり「支援しやすい企業」の項目の内容を、否定形にすれば「支援しにくい企業」という意味になる訳です。

(1)支援しやすい企業

・ 社長がヤル気や情熱をしっかり持っている

・ 契約の観念がしっかりしている

・ 自分の商品へのコンセプトがしっかりしている、また商品も個性がある

・ 納期厳守やクレーム対応の準備もできている

・ 生産数量も柔軟に対応できる

(2)支援しにくい企業

・ 社長が自分の意見が絶対と思い込み、人の意見をきかない

・ 経営革新の認定をとったので、県やBCCの支援は当然という態度で臨む

・ 販売促進のための価格交渉の余地を残していない(ぎりぎりで勝負をしている)

・ 連絡がとれないことが多く(メールの返事がない)、フットワークも悪い

・ 売れればいいという考え方で、誰に売るかのターゲットが不明瞭である

(この項続く)