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活躍中の独立診断士へインタビュー

最前線の診断士

経営者とコンサルタントの二足のわらじで活躍する中小企業診断士 山崎 泰央さん

取材・文:安野 元人(中小企業診断士)原 慎之介(中小企業診断士)

【第3回】二足のわらじの今後

2019年2月12日(取材日:2018年12月10日)

今回も、中小企業診断士として活躍しながら、日本酒飲み放題のお店「美味しい日本酒nomel」を経営する山崎さんにお話を伺っています。最終回は、中小企業診断士としての現在の活動や、二足のわらじを履くことのメリットなどを伺いました。

中小企業診断士としての活動

―現在、中小企業診断士としてはどのような活動をされているのでしょうか。

現在は、パン屋やフランチャイズなどの店舗支援や創業塾などの研修講師を中心に活動しています。

―会社員時代のご経験を活かして、パン屋のコンサルティングとかもされているのですか。

パン屋からも、「下がっている売上を上げたい」と支援の依頼がありますが、「短期間で売上を伸ばすことは難しいので、体質改善をして売上を上げていきましょう」というスタンスで支援を行っています。

―短期間で売上を伸ばすことは、やはり難しいのでしょうか。

組織としての体質改善が行われない限り、売上を伸ばすことは難しいと思います。たとえば、ポスティングなどの販促施策を行っているお店は多いのですが、ほとんどの場合、振り返りは行っていません。つまり、PDCAサイクルを回していないわけです。施策の効果について地道に振り返りを行う体質へと組織を改善することで、売上は上がっていくと考えています。

―研修講師の仕事を通じて、気づかれたことがあれば教えてください。

個人的に、スライドを1枚ずつ流すだけの知識付与型の研修には疑問を感じています。
「大人の学びを科学する」をテーマに、企業・組織における人材開発・組織開発について研究している立教大学・中原淳教授の調査によると、受講生に「研修で学びを得ることができたか」と尋ねたところ、「学びを得ることができた」と答えたのは1割だったそうです。それであれば、研修講師は知識付与型ではなく、相互啓発的に学びを得やすくするための研修を行うべきだと考えています。たとえば、PDCAサイクルを教えるのであれば、単に知識を教えるのではなく、PDCAサイクルをうまく回すためにはどうしたらよいかを考える力こそ付与すべきではないでしょうか。

二足のわらじを履くメリット

―店舗経営のご経験は、中小企業診断士としての活動にも役立ちますか。

その当時は意識していませんでしたが、可視化することが重要だと考えています。具体的には、どこが優れていて、どこが負けているのかという視点や、どのようなサービスがあって、どのようなサービスがないのかを可視化することです。
また、他業態に目を向けることも必要です。同業態だけを競合と考えがちですが、実際はコンビニなど他業態のお店に顧客を取られている可能性もあります。飲食店の場合、もし隣の酒屋が角打ちを提供しているのであれば、その酒屋とも競合している可能性があります。

日本酒業界の展望

―山崎さんは、今後の日本酒業界の展望をどのように見ていらっしゃいますか。

経営者の立場では、店舗は経営知識を実践する場ですので、アウトプットの場になります。しかし、中小企業診断士の立場では、実践的なインプットを得られる場になります。
店舗経営を通じて得られた経験や学びは、企業支援や研修に役立てることができます。たとえば、支援先企業の経営者とも同じ目線で話をすることができます。経営者としての苦労など共感できることも多く、さまざまな悩みを打ち明けていただけるため、支援に役立っています。また、研修でも店舗で実践した経験をベースに講義ができるため、説得力の高い講義ができています。

今後の展望

―最後に、店舗経営と中小企業診断士としての活動において、今後の展望をお聞かせください。

店舗経営においては、日本酒をあまり飲んだことのない人がお店に来ることで、日本酒に興味を持つきっかけになればと考えています。日本酒の啓蒙であれば、日本酒セミナーを開催するなどさまざまな方法があると思いますので、今後チャレンジしたいと考えています。
また、中小企業診断士としての活動においては、店舗経営の経験を活かした研修コンテンツを作成し、提案していきたいと考えています。

(おわり)

【お役立ち情報】

【関連情報】

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プロフィール

山崎 泰央(やまざき やすお)
東京・神田にて「日本酒セルフ飲み放題 美味しい日本酒nomel」を経営し、定期的にイベントも開催。中小企業診断士としては、企業研修や人材アセスメントなど多方面で活躍している。コンサルタントとして、食品・外食・店舗ビジネスに関する多店舗展開支援、フランチャイズ本部構築支援、販路開拓・営業支援、店舗ビジネス経営支援を手がけるほか、中小企業基盤整備機構人材支援アドバイザーとして、「ちょこっとゼミナール」などにも企画立案・講師として参画している。