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活躍中の独立診断士へインタビュー

最前線の診断士

最前線で活躍する中小企業診断士が語る「私の3か条」(1)松林 栄一さん

取材・文:神原 哲也(中小企業診断士)前村 知夏

【第1回】「自分も周りも幸せに」

2018年6月12日(取材日:2018年4月28日)

本シリーズでは、最前線で活躍する3名の中小企業診断士の方に、試行錯誤の末にたどり着いた中小企業診断士としての信条やルールを伺います。
1人目は、紆余曲折を経て、「自分も周りも幸せに」という強い思いを抱くことになった松林栄一さん。第1回は、「私の3か条」にたどり着くまでの足跡をたどりました。

裁判所に2年、受験予備校に20年

―松林さんが中小企業診断士になるまでの経緯を教えてください。

私は、弁護士になりたくて早稲田大学法学部に進学しましたが、1年間の留年を含めて5年間の在学中は、司法試験に合格できませんでした。弟が2人いましたので、留年を続けると親の迷惑になるだろうと、裁判所の職員採用試験を受験したところ、合格しました。ところが、裁判所の事務官は、規則に従ってこなすだけの仕事が多く、業務改善を提案してもとりあってもらえず、そこでの2年間は息苦しい日々でした。

そうした中、受験予備校の人材募集の新聞広告がたまたま目に入り、応募したところ、すぐに採用されました。当時、その予備校は仕組みが整っておらず、新しい提案がどんどん採用されておもしろかったですね。合格を目標に、生徒たちと一緒に頑張ることはやりがいもあり、その予備校には20年間勤務しました。

希望退職に手を挙げて独立

―その中で、中小企業診断士になろうと思ったのはなぜですか。

その予備校は第2次ベビーブーム世代の大学受験とともに急成長し、1999年には店頭公開をしましたが、私は、上場に必要な管理会計や内部統制の整備をするように言われ、本部に移りました。その後も経営スタッフをやっていました。そうした中で、経営を体系的に学びたいと思ったのです。

また、ある中小企業診断士の存在も頭の中にありました。私の父は青森の酒造会社に勤務していましたが、バブル崩壊で会社が経営危機に陥りました。そのとき、メインバンクがオーナーにはいったん手を引いてもらう一方で、専務だった父を社長に据えました。その当時の父の相談相手が中小企業診断士の方でした。その頃から、いずれは中小企業診断士になって困っている企業の力になりたいという思いがありました。

―中小企業診断士登録からわずか1年で独立した理由をお聞かせください。

予備校は、少子化の進展と大手との競合により、業績が厳しくなっていました。私は経営企画室にいましたので、責任を感じていました。

そうした中、校舎の撤退や人員削減などのリストラ計画案が作られ、会社が希望退職を募ることになりました。診断士試験に合格し、実務補習などで中小企業の現場を体験する中で、「より幅広く世の中の役に立つ仕事がしたい」という思いが大きくなっていた私は、希望退職に手を挙げました。

私は、「自分も周りも幸せになるイメージがわくかどうか」を物差しに、そのイメージを持つことができれば、速やかに意思決定をするタイプです。妻もそのことはわかっていますので、特に反対はされませんでした。

縁や感謝の気持ちを大切に

―独立後はいかがでしたか。

当初は「無職」のような状況でしたが、東京都中小企業診断士協会の城南支部コンサル塾を受講したご縁で、ある方から「仕事があるけれど、行ってみないか?」とお声掛けをいただき、東京商工会議所の「経営力向上TOKYOプロジェクト」事務局の仕事に就くことができました。その後、横浜市中小企業支援センターの相談員も務めることとなり、それぞれ1週間に2日の勤務で、独立後の柱ができました。ゼロをイチにすることが難しい世界ですので、ありがたいことでした。

私が一番に心がけているのは、「人との縁や感謝の気持ちを大切にすること」です。いまでは、中小企業の社長にとって身近な相談相手、いわば「町のお医者さん」のような中小企業診断士になることができたと思います。収入面では前職時をかなり上回り、家族との時間も十分にもつことができています。苦しかった当初に声を掛けてくださった方々のことを忘れず、恩返しをしていきたいと思っています。

―次回は、自分と自分の周りが幸せになるために、松林さんが大切にしている「中小企業診断士として仕事をするうえでの3か条」についてお聞きします。

(つづく)

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プロフィール

松林 栄一(まつばやし えいいち)

1964年青森県生まれ。1983年青森県立八戸高校卒業、1988年早稲田大学法学部卒業、同年横浜地方裁判所入所。1990年受験予備校に入社。2009年中小企業診断士登録。2010年に受験予備校を退職し、個人事務所OfficeMCCを開業。