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活躍中の独立診断士へインタビュー

最前線の診断士

事業承継のトップランナーを追う(3)五島 宏明さん

取材・文:鯉沼 和久(中小企業診断士)寺田 孝雄(中小企業診断士)

【第2回】自分の体験を活かした事業承継支援

2018年2月6日(取材日:2017年9月26日)

本シリーズでは、積極的に事業承継に取り組む3名の中小企業診断士の方に、その活動内容や中小企業診断士に求められていることなどを伺っています。前回に引き続き、元企業経営者の独立診断士で、事業承継や事業再生の支援を中心に活動している五島さんに、自身の体験を活かした事業承継支援手法を教えていただきました。

五島さん独自の事業承継手法

―五島さんは事業承継支援に知的資産経営の考えを取り入れられていますが、ご自身の考える知的資産経営とはどのようなものでしょうか?

知的資産経営とは、強みを明らかにして引き継ぐことです。このことが皆さん、わかっているようで実はわかっていません。知的資産経営では、「自分たちが認識している強みとは異なるところが強みである」ことや、「弱みが強みになる」ことを教えてくれる点に魅力を感じています。
強みの構成要因を掘り下げていくと、その本質が見えてきます。具体的には、強みを構成している要因が人的なものか、システム・構造か、もしくは関係資産と呼ばれる関係者から生み出されるものかを分析します。たとえば、「うちの強みは父親(創業者)だけか。父親がいなくなったら、どうすれば良いのか」といったことが見えてきます。

―事業承継で引き継ぐ「強み」とは何でしょうか?

これまでの経験から言えば、本当の強みは、自身の中にあるコンプレックスや触れてほしくないところにあります。これまでに味わった悲哀や苦労から醸成されたものが本当の強みで、決してきれいごとではありませんし、きれいごとでは人に響きません。事業承継の場面も同様で、強みには「あなたらしさ」が必要で、「あなたらしい承継」を行うことが肝要です。

事業承継で中小企業診断士が果たす役割

―事業承継支援における中小企業診断士の強みは、どこにあるのでしょうか?

事業承継支援を行う際にまず考えることは、「自分の会社の強みは何か」、「お客様は誰なのか」ということです。企業診断により、問題点や課題を正しく把握し、対応策を助言する内容は、まさに中小企業診断士のフィールドです。ですから私は、事業承継サポートには中小企業診断士がもっとも向いていると思っています。

―事業承継において経営者に共通する悩みとは、どのようなものですか?

経営者から、「先生から息子に言っておいてよ」と言われるケースがよくあります。社員に対しては厳しいことを言える経営者が、なぜ息子に対しては言えないのかと不思議に思いますが、おそらく言うとケンカになってしまうのでしょう。経営者は本来であれば、自身が体験してきた苦労や悩みをすべて息子に引き継ぐべきですが、わが子に自分がしてきた苦労をあえてさせたくないという思いがあるのだと思います。

―それらの悩みに、中小企業診断士としてどのように対応するのでしょうか?

経営者の頭の中にあるビジネスモデルを「見える化」することです。経営者からヒアリングした複雑な内容を解きほぐし、定性的なものを定量化し、現状分析をします。「あるべき姿=理想」を考え、現状と照らし合わせることにより、会社の進むべき方向性を定めていきます。

―事業承継にはさまざまな専門家がかかわりますが、中小企業診断士の立ち位置をどのようにお考えですか?

立ち位置は「ど真ん中」です。私は、自分が直接かかわる顧問先に対する「主治医」です。企業診断により方向性を定め、税務面、法律面、資金面などの細部については、専門医の意見を聞きながら全体をとりまとめていくことが、中小企業診断士の役割だと考えています。

―事業承継においてご自身のあるべき姿について、お聞かせください。

ブランディングデザイナーでありたいですね。その企業の強みを高く売り、ブランド価値をアップさせたい。企業にとって身近な存在でありながら、しっかりとブランディングの方向性を決め、ブランド価値を高めるためのお手伝いをしていると思っています。

(おわり)

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プロフィール

五島 宏明(ごしま ひろあき)

1962年岐阜県生まれ。青山学院大学を卒業し、婦人服大手チェーンにて修業後、家業の子ども用品専門店の三代目社長に就任。24店舗まで成長させたが、2007年に会社は倒産。「自分と同じ経験をする人を作ってはならない」との思いから診断士資格を取得し、現在は、知的資産経営メソッドを活用したブランディングで個人事業主から中堅企業までを支援している。