経営コンサルタントの国家資格”中小企業診断士”の情報が満載です。 中小企業診断士の広場

中小企業診断士の広場

活躍中の独立診断士へインタビュー

最前線の診断士

事業承継のトップランナーを追う(2)大島 康義さん

取材・文:鱧谷 友樹(中小企業診断士)齊藤 直子(中小企業診断士)

【第2回】事業承継の「軍師」となるために

2018年1月25日(取材日:2017年9月26日)

本シリーズでは、積極的に事業承継に取り組む3名の中小企業診断士の方に、その活動内容や中小企業診断士に求められていることなどを伺っています。前回に引き続き、株式会社後継者BC研究所の代表取締役で、一般社団法人軍師アカデミー専務理事の大島康義さんにお話を伺いました。

中小企業診断士は事業承継の軍師になれる

―事業承継支援を始められた頃と現在を比べると、事業承継を取り巻く環境は変わりましたか?

事業承継自体が世間から、より認知されていますね。以前は、事業承継というと株式の話だと思われていたのですが、いまは経営自体を良くする必要がある、という切り口が出てきました。
だからこそ、中小企業診断士は事業承継を支援するのに最適な資格なのです。経営の知識で事業を立て直しながら、財務や法務の知識で株式承継の話もでき、企業全体を見られますから。キーパーソンとして、税理士や会計士などの専門家をうまくまとめて事業承継を進めていく。要は、中小企業診断士は事業承継をしようとする企業の軍師になれる、ということです。

―中小企業診断士が事業承継をよりうまく進めるために、必要なことは何でしょうか?

中小企業診断士は、自分が立ち上がることによって、関係する人を幸せにできる仕事です。それは誇りを持てることだと思います。ただ、資格取得は最初のステップで、それからどれだけ成長し続けるかが重要です。
何事も、それを実践している人が言うのか、実践していない人が言うのかによって、相手の受け取り方はまったく異なります。ですから、会社の成長について語るのであれば、自分自身が一歩ずつでも成長することが必要です。
中小企業診断士には、「士(サムライ)」という字が入ります。中小企業やそこで働く人々を守るために、サムライは常に自分を鍛えている必要があります。なまったらダメで、「実は10年前に習った剣術なんです」というのでは困りますよね(笑)。自分の専門分野だけでなく、経営全体が見られるという強みも含め、鍛え続けなければいけない。それは、自分自身の生き方が問われているところでもあります。私も未熟ではありますが、少しでも変わろうという意識だけは高く保つように心がけています。
また、中小企業診断士は企業にいる「人」を支援するわけですから、キャリアやカウンセリングの知識や技術を身につけると良いですね。そこが補強されると、ずいぶんと変わります。切り口が「経営」だけではなくなり、「人」を成長させるとか、「人」に気づきを与えるとか、「人」がしっかりと受け取れるようにアドバイスをする、といった形に変化する。
正しいことを正しく言えば、必ず聞いてもらえるわけではありません。「社長、こうしたほうが良いですよ」、「これはダメですよ」などといきなりぶつけても、社長自身が課題を整理できていなければ、受け入れられません。まずは相手の考えをすべて言葉に出してもらい、考え方を整理してもらうと、助言すべきツボが見えてくる。そのようなスキルを磨くと良いと思います。
いまは、後継社長が増えている時代です。そうした方々の気持ちや陥っているワナがわかり、どのようにそこから脱して本当の経営者に脱皮していけるかがわかれば、事業承継支援の結果も目に見えて変わってくると思います。

世の中を変えていくために

―最後に、今後の展望をお聞かせください。

「事業承継は超友好的なM&Aである」ことを、世の中で当たり前のことにしたいですね。
私自身も来年(2018年)で50歳になります。これまでは研究の時期でしたが、50歳代は軍師アカデミーや後継者BC研究所での考え方と具体的な支援方法を世の中に普及させていくステージになります。私一代ではできないことを目標にしていますので、どこまでできるかはわかりませんが、さまざまな方の力を借りながら先鞭をつけたい。やれるところまでやって、誰かがその跡を継いでくれたら嬉しいな、と思っています。

(おわり)

【お役立ち情報】

【関連情報】

プロフィール

大島 康義(おおしま やすよし)

1968年兵庫県宝塚市生まれ。京都大学経済学部、ボストン大学メトロポリタンカレッジ卒業。老舗ホテルの3代目として父の会社に入社するが、震災で100億円もの借金を背負い、10年間悪戦苦闘の経営を経験する。2003年に会社が倒産後は、自身の経験を活かし、後継者が本当に必要とする支援を行いたいと株式会社後継者BC研究所を設立。キャリアとビジネスの両面から体系を作り上げ、本質を突いた後継者支援・事業承継支援に全身全霊を捧げる。