経営コンサルタントの国家資格”中小企業診断士”の情報が満載です。 中小企業診断士の広場

中小企業診断士の広場

活躍中の独立診断士へインタビュー

最前線の診断士

事業承継のトップランナーを追う(1)内藤 博さん

取材・文:森本 哲哉(中小企業診断士)錦織 芳樹(中小企業診断士)

【第2回】経営者、後継者のための事業承継支援を広げていく

2018年1月18日(取材日:2017年10月6日)

本シリーズでは、事業承継の最前線で活躍されている専門家の方々が、現在の活動に至った経緯や、その活動内容をお伝えしています。今回も引き続き、事業承継センター株式会社(以下、事業承継センター)の代表取締役CEOである内藤博さんにお話を伺いました。

経営者、後継者それぞれの立場に立った支援が大切

―事業承継センターで行っている事業承継支援には、どのような特徴があるのでしょうか?

事業承継には、2つの支援が必要です。辞めていくほうの経営者と、引き継ぐほうの後継者の支援とを明確に分け、それぞれを支援しなければいけません。経営者は退職金を会社からもらう、後継者は会社の運転資金をしっかりと確保する、といったバランスを取り、最適な事業承継のゴールを作ってあげるのが我々の役割です。会社の経営がうまくいき、経営者と後継者、さらに従業員や取引先も喜ぶというゴールに向けて、関係者すべてがハッピーな計画を作るのが事業承継計画なのです。
さらに、2020年に東京オリンピック・パラリンピックを控えるなど、時代の切れ目、社会が変化する時代の断層で、企業の経営を次の時代に着地させてあげる仕事は、経営の将来を描くことができる中小企業診断士のリーダーシップでやるべきことだと思っています。
しかし、中小企業診断士だけではできないこともあります。たとえば、税務関連の業務など、税理士の協力がないとできないこともありますので、他の士業の方たちと上手にやることも、大切なノウハウの1つです。

―前回取材したとき(2013年1月)と比べて、事業承継センターにはどのような変化がありましたか?

事業承継の専門家である事業承継士は、事業承継について徹底的に学ぶ必要があるのですが、その教育を受け、事業承継士の資格を取得した人材は現在、全国で280名にまでなりました。関東を中心に全国的なネットワークができて対応力が強化され、彼らの中から、各都道府県の事業引継ぎ支援センターで相談員を担当する事業承継士も出てきました。
自治体対応の大切さに気づいたのは、中小企業庁の事業承継に関する調査を担当した際に、自治体での相談対応の受け皿が少ないと感じたことでした。そこで、自治体や政府などに、状況の改善に向けてさまざまな働きかけも行ってきました。

事業承継を支援する人や環境を整えていきたい

―一般社団法人事業承継協会(以下、事業承継協会)は、どのような団体なのでしょうか?

事業承継センターは株式会社であり、事業承継の支援を受託する営利団体です。行政から受託をするためには法人格が必要なのです。
一方、事業承継協会は、非営利の団体として運営しています。事業承継士の資格取得者の共通財産として資格を維持運営していくための団体であり、事業承継センターとは明確にすみ分けをしています。事業承継協会は、専門家を作りブランド化をするという意味では、一般社団法人中小企業診断協会と近いかもしれません。
事業承継センターを作って丸6年が経ち、私も65歳になります。代表取締役という肩書きを担っていますが、この肩書きには賞味期限があり、将来的には譲っていかなければいけないと思っています。いずれは、次世代の若くてエネルギーを持った後継者がやったほうが良い。
その代わりに、自分もどこかに着地する場所がないとダメだと思っています。それが事業承継協会なのです。そのため、事業承継のコンサルティングの際も、クライアントには、経営者の次の活躍の場としてNPOか一般社団法人を作ることをお勧めしています。
現在、事業承継センターと事業承継協会の両方の仕事をしていますが、将来的には、事業承継協会に軸足を置いてやっていくつもりです。事業承継について教えられる人を1,000名育成する目標を掲げていますが、いまはまだ300名ほどです。自分で作ったノウハウですから、何とか自分で教えていきつつ、数年以内には目標を達成したいと思っています。

(おわり)

【お役立ち情報】

【関連情報】

プロフィール

内藤 博(ないとう ひろし)

1996年、中小企業診断士登録。2011年、事業承継センター株式会社を創業。実家の廃業清算を目の当たりにし、事業承継支援を天職と考え、自身の獲得したノウハウと知識を後進に伝えることをミッションとする。全国での事業承継士講演会や出張事業承継相談会にも積極的に取り組んでいる。著書は、「3人の事業承継士が現場で見つけた秘訣集 これから事業承継に取り組むためのABC」(税務経理協会)、「会社の“終活”読本―社長のリタイア<売却・廃業>ガイド」(日刊工業新聞社)など。