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活躍中の独立診断士へインタビュー

最前線の診断士

地方「元気」企業ランキング第1位 (株)明屋(はるや)書店代表取締役社長 小島俊一さん

取材・文:福島 正人(中小企業診断士)

【第3回】10年前の自分へのメッセージ

2017年6月13日更新(取材日:2017年3月15日)

企業経営者・中小企業診断士としてご活躍の小島俊一さん。最終回は、2016年に出版された書籍『崖っぷち社員たちの逆襲―お金と客を引き寄せる革命「セレンディップ思考」』について伺いました。

財務やマーケティングを学べる書籍

―昨年には、書籍『崖っぷち社員たちの逆襲―お金と客を引き寄せる革命「セレンディップ思考」』を出版されました。

旧知だった出版社の社長から「本を書きなよ」と言われて、最初は決算書の読み方とマーケティングの解説本を書き始めたんです。これが、実につまらない(笑)。書いている私自身がつまらないと思うのだから、読む人はもっとつまらないだろうと。そこで、小説形式に変更することにしました。自らの経験を活かして、書店を舞台にした小説なら書けるのではないかと思ったんです。

―とはいえ、ビジネス小説を書くのは大変ではありませんでしたか。

平日は社長業がありますので、週末を中心に執筆しました。週末に1章分を書いて、出版社に送ります。担当は、30歳代の若い編集者でしたが、「小島さん、ここがわかりません」と遠慮なくダメ出しをされ、何度も原稿を書き直しました。「こっちは書店業界の先輩で、そこそこ大きな書店チェーンの社長なのにな…」などと思いながら(笑)。
でも、編集者は最初の読者でもありますからね。財務の知識がない編集担当者でも理解できるよう、徹底的にわかりやすくしました。

―書籍を読ませていただきましたが、財務やマーケティング、マネジメントの知識が身について、とてもわかりやすいですね。どのような人に読んでもらいたいとお考えですか?

一番は、中小企業の経営者ですね。書店経営者はもちろん、中小企業の経営者には、決算書が読めない人が多い。収益とキャッシュフローの違いもわからないのでは、銀行との交渉などできません。
でも、この書籍を読めば、貸借対照表と損益計算書の基礎を理解することができます。中小企業の経営者が財務の基礎を学ぶのに役立つと思います。

―中小企業診断士の受験生にも役立ちそうですね。中小企業診断士試験のテキストで学ぶのと違って、物語形式で経営の知識が身につきますし。

テキストで学ぶことも必要ですが、この小説を読むことで、よりリアルにマネジメントや財務の知識が身につくと思います。
実は地元の地方銀行が、新入社員の勉強用に本を購入してくれました。「なぜ、この本を選んでくれたのですか?」と尋ねたところ、理由は2つあって、1つは決算書の読み方の入門書になること、もう1つは銀行融資の借り手側の気持ちを書いてあること、だと。
物語は、石川県にある書店が舞台です。赤字続きの書店に出向した銀行マンが、社員と一丸になった書店を再生に導いていきます。そんな書店側、つまり融資の借り手側の気持ちが書いてあります。だから、この本を銀行の新入社員に読ませたいのだと言っていただきました。

本質を学ぶ

―愛媛県中小企業診断士協会にも所属されているそうですね。

はい。愛媛県中小企業診断士協会の中で、企業内診断士の勉強会を立ち上げました。恩師の野村先生から「自分が主催する勉強会を作りなさい」と言われていましたので、その教えを守った形です。メンバーには、地元の金融機関勤務の方が多いですね。

―やはり、資格を取ってからも勉強が大切なのですね。

中小企業診断士、特に企業内診断士は、もっと勉強しなければなりません。これは、亡くなった野村先生の厳しい言葉を受け継いでいると同時に、10年前の私自身へのメッセージでもあります。中小企業診断士は、資格を取るためにお金も時間も相当かかっているはずですし、そこで勉強を終わらせてはもったいない。また、それでは役立つ中小企業診断士にはなれません。

―どのような勉強をすれば良いでしょうか?

できるだけ本質を学んでいかなければなりません。たとえばピーター・ドラッカーです。私は、ドラッカーのマネジメントを何度も繰り返し読み込みました。ハウツー本を読む人も多いですが、私はそれでは本物には通用しないと考えています。本当の意味で、企業経営者の心に響くような支援はできないのではないか、と思うのです。
ですから、いまも各種セミナーに参加して勉強を続けています。自分の問題意識にひっかかったセミナーを、アンテナを張って受講していく。これまで、コーチングやアドラー心理学について学んだり、産業カウンセラーの資格を取得したりしました。自己投資は、この1年半くらいで100万円を超えていると思います。

―最近は、講演依頼が増えているそうですね。

おかげ様で、講演や研修講師のご依頼をいただくことが多くなりました。中小企業の経営再建が、自身のライフワークです。地方書店はもちろん、書店以外の中小企業の経営者の役に立つのが、人生の役割だと思っています。

―最後に、中小企業診断士へのメッセージをお願いします。

中小企業診断士の受験生時代は、合格を目指せば良い。でも合格した後、そこでとどまっていてはもったいない。
中小企業診断士の資格は入場券です。どこ行きの電車に乗るかはその人しだいで、プラットフォームでボーッと待っているだけではもったいないですよね。中小企業診断士のフィールドは広いですし、大きな可能性を持っています。
10年前に比べると、中小企業診断士の認知度は確実に上がっています。1人ひとりの中小企業診断士が付加価値を高め、もっと役立つ人材になれば、そのステージはさらにもうワンランク上がると思っています。

(おわり)

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プロフィール

小島 俊一(こじま しゅんいち)
1957年福岡県生まれ。明治大学卒業後、(株)トーハンに入社し、執行役員近畿支社長・同九州支社長等を歴任。2013年、(株)明屋書店代表取締役に就任。『週刊ダイヤモンド』2015年12月26日号「地方『元気』企業ランキング」で、300万社中第1位に輝く。2016年に初の小説『崖っぷち社員たちの逆襲―お金と客を引き寄せる革命「セレンディップ思考」』(WAVE出版)を出版。