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書を持って、会いに行こう(2) 高橋 美紀さん

取材・文:小寺 暁子(中小企業診断士)

【第1回】自分の問題意識を世の中に伝えたい

2017年4月18日更新(取材日:2017年2月12日)

書籍を執筆された中小企業診断士に会いに行き、お話を伺う「書を持って、会いに行こう」。
今回取材をさせていただいたのは、中小企業診断士と社会保険労務士のダブルライセンスを活かしながら、人事労務分野の専門家として活動中の高橋美紀さんです。1回目は、どのような思いで単著出版に挑戦したのかを伺いました。

「こんなの、おかしいじゃないか!」と向き合うために

―まずは、これまでのご経歴と現在の業務内容を教えてください。

1992年に新卒で某農業団体に就職し、8年間勤務していたのですが、うち5年間は教育や人事の仕事をしていました。その後、出産退職をし、しばらく専業主婦として過ごした後に、再就職でパート勤務をしたものの、2人目の出産で再び退職し…。その前後で中小企業診断士と社会保険労務士の資格を取得しました。
現在は人事労務を専門に、ワーク・ライフ・バランスをメインとした組織活性化や業務効率化の支援をしています。

―2013年2月に単著『「コマギレ勤務」が社会を変える~多様な働き方を目指して』(労働調査会)を出版されています。どのようなきっかけだったのですか?

中小企業診断士の仲間2人とともに、定期刊行誌に社員教育関連の連載を持ったことが、発行元の労働調査会様とのお付き合いの始まりでした。その連載をまとめて2010年に共著『中小企業でもすぐに始められる! 組織と人材の育ち合いプログラム』を出版したのですが、そこでの経験が「単著も面白そう」と考えるきっかけになったのです。
ちょうどその頃、同じ出版社の非常に熱意を持った編集者の方から、「これを機に、広く人事や働くことを考える書籍を出版したい」という話が持ち上がり、そのチャンスに乗っかったというのが直接的なきっかけです。タイミングがすごく良かったのだと思います。

―当初からワーク・ライフ・バランスをテーマにした何かを発信したかったとのことですが、その問題意識はどのようにふくらんでいったのですか?

前職では、いろいろと自身のキャリアを考えた末に出産退職をしてしまったのですが、周りにも同じ悩みを抱えている人がたくさんいました。それを見て、優秀で頑張り屋の女性が、本人の希望に反して専業主婦になる、あるいは心折れて働き続けることができなくなることを、ものすごく残念に思ったのです。「こんなの、おかしいじゃないか!」と。
前職は、すごくやりがいはあったんです。人間関係に恵まれ、仕事も大好きで。だからこそ、自身の持つ制約によって居場所がなくなってしまうことを、身を切られるほどつらく感じました。そしてこの先、自分のように悔しい思いをする人がたくさんいてはいけないだろうと強く思うようになったのです。

専門家として書くということ

―ワーク・ライフ・バランスを論じるうえで、差別化のポイントはどこでしたか?

「コマギレ勤務」と題した短時間勤務制度ですね。「1日8時間働かなくてもよいのでは?」に問題提言の力点を置くことで、それを差別化のポイントにしたいと思いました。
当時、さほど多くはなかったものの、類書はすでにありましたので、後追いで総花的なものを書いてもあまり意味はないだろうということで、編集者の方からも「他の書籍とは違う何かを大事にしてほしい」と言われました。

―中小企業診断士になってから、日々メモを書き留めているそうですね。

電車に乗っているとき、家事をしているとき、子どもと遊んでいるときなどに意外とひらめくことがあるので、その都度メモを取るようにしています。講演会に参加したときは、心に刺さるものを自分で要約していました。執筆のためというよりは、講演でも使えるようなちょっとしたネタ帳です。書籍は、金額を計算したくないくらい買っていますね(笑)。

―中小企業診断士・社会保険労務士という専門家としての知識や経験は、どのように活かせましたか?

法律は何かしらのニーズがあって変わるものですから、社会保険労務士という専門家の立場で国の方針を聞きつつ、現場の話にも耳を傾けていました。その際、どのような事情で法改正がされたのか、法律の変わり目で企業はどのような受け止め方をしたのかといったことを自分の中に落とし込んでいく作業は、非常に役に立ったと思います。
また、中小企業診断士として実際に企業支援をする過程では、本当にさまざまな声を聞きますので、そのような生の声をストックノートに書きながら、頭の整理をしていました。

―専門家の肩書きを背負って執筆をするにあたって、気をつけていたことはありますか?

働くことに関しては、実は働いている人は誰でも専門家だと思うんですね。働いたことがある人、働こうと思った経験がある人は、働くことに対して自分なりのポリシーが必ずあるはずなので、書籍を執筆する際は、大衆の意見に迎合しすぎないように、専門家としての論を固めることが絶対条件だと考えていました。

(つづく)

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プロフィール

高橋 美紀さん

高橋 美紀(たかはし みき)
中小企業診断士・社会保険労務士。横浜市立大学商学部経営学科卒業後、農業団体、食品卸売会社、社会保険労務士事務所を経て独立。現在は人事制度構築や組織活性化支援を中心に活動中。当面の目標は、「2人の娘の就職までに、ライフイベントに合わせた働き方が許容される社会を作ること」。
【ホームページ】http://www.mikitakahashi.biz/