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活躍中の独立診断士へインタビュー

最前線の診断士

診断士×社会活動 信州アルプス大学学長 中村 剣さん

文:福島 正人(中小企業診断士)

【第2回】俺の旗のもとに集まれ!

2016年4月28日更新(取材日:2016年3月11日)

中小企業診断士を目指しながら、地元でのボランティア活動をスタートした中村剣さん。地域での活動はさらに活発になっていきます。

机上の勉強ではなく、生きた勉強に

―地元でのボランティア活動をしながら、中小企業診断士の勉強を続けたのですね。

はい。Web講座と東京でのスクーリングを併用して勉強するようになりました。また、長野県内の中小企業診断士受験生の勉強会「信州勉強会」も立ち上げました。そして、受験2年目に1次試験に合格、さらに翌年に2次試験に合格し、診断士登録をすることができました。

―なるほど。

診断士登録をしてからは、地域活動がさらに活発になりました。まず始めたのは、地元の会社のインタビューです。地域の中小企業を知ろうと思い、電話をかけて「お話を聞きたいんですけれど......」とアポイントを取りました。半年間で3社にインタビューして、紹介記事をWebに掲載しました。もちろん、まだ企業内診断士だった頃です。

中小企業と接してみると、中小企業診断士のテキストに載っていた内容を「こういうことだったのか!」と理解することができました。知識と実態とがつながった感じで、机上の勉強ではなく生きた勉強になったと思います。

―地元の中小企業で、生きた学びがあったのですね。

講師

地元でのボランティア活動についても、新しい形を意識するようになりました。キーワードは、プロボノーー社会人が自らの専門性を活かして取り組む社会活動です。ボランティア活動は、お金と時間に余裕があるシニア層がどうしても中心になりますが、もう少し若い世代が地域で活動できたほうがいいと感じました。

そこで、塩尻市の街づくりチャレンジ事業の一環として、プロボノチームを作りました。インターネットで告知したところ、30~40歳代くらいの人が集まってきましたが、私と同じように「自分はこのままで良いのか?」と問題意識を持っていた人も多かったようです。会社でも家でもないサードプレイスで自分の力を発揮することを求めていた人たちです。このチームが、後の信州アルプス大学立ち上げの中心メンバーになりました。

中小企業診断士試験で学ぶマーケティングと同じ

―それが、市民大学構想につながっていったのですね。

シブヤ大学学長の講演を聞いたのが、市民大学を作ろうと思ったきっかけでした。いわゆる学校法人の大学ではなくNPO法人が行っている活動で、東京・渋谷の街を舞台にさまざまな講座が開かれているというお話でした。自分が住んでいる塩尻市でも同じような活動をしてみたい。ソーシャル系市民大学というプラットフォームを作って、その中でいろいろな人がサードプレイスとして活動できるようにしたいと考えました。

しかし、シブヤ大学を視察するとかなり本格的で、同じことを塩尻でやるのは難しいと感じました。ほかのモデルはないかと思い、見つけたのが、お隣の群馬県で活動しているジョウモウ大学です。

―群馬県のジョウモウ大学を参考にされたのですね。

講師

視察をさせてもらって、アドバイスをいただきました。たとえば「会員リストは大事」ということです。ボランティア活動時代は、セミナー・イベントを開催するたびに、一から参加者を募集する形でしたが、それではなかなか人が集まらずに苦労します。しかし、ソーシャル系大学というプラットフォームを作って登録学生を集めれば、そこからセミナー参加者を集めることができるわけです。学生証を作り、学生番号も発行する。その人たちに「講座に参加しませんか?」と案内を出す。中小企業診断士的な視点で言えば、会員カードを作ってそこにDMを出すビジネスモデルと似ているわけです。

―会員カードでお客様を囲い込むのに似ていますね。

ジョウモウ大学さんからは、「デザインが大事」というアドバイスもいただきました。30~40歳くらいの参加者を集めるには、「参加したい」と思ってもらえるデザインが大切です。少し緩めのデザイン、ハードルが低くなるイメージです。

これは、中小企業の商品販売と一緒だと思います。どんなに美味しい商品でも、パッケージが悪ければ手に取ってもらえない。だから、パッケージを良くして手に取ってもらおうという考え方です。「食べてもらったらわかるのだけれど...」ではダメで、中小企業診断士試験で学ぶマーケティングと同じです。

そこで早速、知り合いのデザイナーに頼んで、大学のロゴを作ってもらいました。実は私自身は最初、緑色のイメージを持っていました。何となく信州のイメージはグリーンだと。しかしデザイナーは、黄色をベースにしたデザインを持ってきました。理由を聞くと、「黄色のほうが敷居が低い」という回答でしたが、たしかにひよこも黄色ですし、ピカチュウも黄色です。そこで、黄色でいこうとなったんです。

―ロゴマークが完成しましたね。

講師

ロゴマークをもとにして、信州アルプス大学の旗を作りました。これが開校に向けて加速するきっかけになりました。キャプテンハーロックのような「俺の旗のもとに集まれ!」というイメージです。目に見えるものがあると加速がついて、メンバーの意識も変わります。「私も同じような市民大学を作りたい!」という人は、どこかのタイミングで旗を作ることをお勧めします。

(つづく)

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プロフィール

中村 剣さん

中村 剣(なかむら けん)
1967年生まれ。西日本銀行・セイコーエプソン勤務を経て、2015年に ちえてらすコンサルティングを創業。2016年1月に信州アルプス大学を立ち上げ、学長に就任。