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活躍中の独立診断士へインタビュー

最前線の診断士

再生支援の現場で活躍する診断士 寺嶋直史さん

文:伊藤 隆光(中小企業診断士)岩本 英二(中小企業診断士)

【第2回】事業再生に取り組むうえで大切なこと

取材日:2016年1月27日

前回は、寺嶋さんの診断士取得の動機から企業で働きながら得たこと、そして独立からその後の活動をお伺いしました。第2回は、現在取り組まれている事業再生についてお聞きします。

事業再生と事業デューデリジェンス(以下、事業DD)

―事業再生はどのように進めていくのでしょうか。

全体的には事業DD(事業調査報告書作成)からアクションプランと経営改善計画書の作成、そして現場の支援という流れになります。デューデリジェンスには財務DDや事業DDといったものがありますが、私は事業DDについて専門としています。作成期間は1カ月程度、短い時は1週間で作成することもあります。事業DDの作成により、目に見えないより多くの問題点や強みを抽出できます。

―事業DDに関わるようになったきっかけについて教えてください。

寺嶋さんの著書「事業デューデリジェンスの実務入門」
寺嶋さんの著書
「事業デューデリジェンスの実務入門」

CRC(企業再建・承継コンサルタント協同組合)で仕事をご一緒させていただいた中小企業診断士の先生との出会いがきっかけでした。その方は、デューデリジェンスについてすでに約100件の実績をお持ちでした。そしてその方からお誘いを受け、約1年間、その方の案件をご一緒させていただき、事業DDの基礎を学びました。 その後、税理士業界最大手の1つである辻・本郷税理士法人から大量の事業DDを請負う機会に恵まれました。当時、東日本大震災の関係で大量の案件が発生していたので、1年間で28件の事業DDを実施した年もありました。

このような中で、自分なりに事業DDの手法を発展させていきました。そして、事業DDにおいて、いわゆる従来の「仮設検証型」ではない、中小零細企業に適合した「問題発見型」という手法を確立しました。この手法の具体的な内容は、昨年出版した本(「事業デューデリジェンスの実務入門」)にまとめています。

―それ以外に、事業DDで何か気をつけていることはありますか。

難解なものではなく、企業の現場の社長や社員が即座に理解できること、そして、現場ですぐ改善行動に移せるよう、ゴールとその道筋、そして具体的な改善策まで提案することを心がけています。 一般的に事業DDは、分析止まりのケースが多く、改善の具体策までは明記されていません。しかし、実際の事業の中身を診断したコンサルタントが、再生に向けての具体的な改善策を見いだせなかったら、その企業は再生することは困難です。だから、具体策の提案にはこだわっています。

医者と患者の関係

―事業再生を行う企業の業種は多種多様だと思いますが、どのように対応されたのでしょうか。

最初はヒアリングの前に徹底的にその業種について勉強しました。業界の本を数冊読んでから開始する時期もありました。何も知らないでヒアリングに入るのが怖かったからです。当初は慣れていなかったので、まったく知らない業界の調査報告書を短期間で作成するなんて考えられませんでした。今は、知らない業種の報告書作成が当たり前になっているので、事前に業種別審査辞典やネットで調べる程度で済ませています。

―再生に取り組む際に重要視していることはありますか。

事業DDを実施することは、医者が患者の症状を診断し、改善方法を助言することと同じだと思っています。診断もしないのに思いつきで治療したり、やみくもに薬を出すなんてことはあり得ないですよね。だから事業DDが必要なのです。診断した結果に基づいて、適切な施策を提案するということが重要になるのです。

そしてその次は、現場に入ってしっかりと仕組みを構築することです。かかった病気が一時的に治ったとしても、また病気になってしまう可能性があります。そうならないように、しっかりと仕組みを作り、その企業が自立できる体制を構築して、その上で、モニタリングやその他の施策の実行支援を行います。

(つづく)

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