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活躍中の独立診断士へインタビュー

最前線の診断士

銀行員からプロ経営者へ マークテック株式会社 代表取締役社長 西本 圭吾さん

取材・文:福島 正人(中小企業診断士)

【第2回】15年越しで中小企業診断士資格を取得

取材日:2015年12月10日

ソフトバンクグループで約8年間を過ごした西本さん。ヘッドハンティングをされてUSENに転職します。

ヘッドハンティングでUSENへ

―ソフトバンクグループからUSENに転職されたそうですね。

2006年にヘッドハンティングをされて、USENに転職しました。ライブドア事件があってUSENが救済する側になり、人材を求めていた時期でした。経営企画部門に所属し、デューデリジェンス(投資先評価)業務に携わりました。さらに、USENが当時投資していたギャガ・コミュニケーションズという映画配給会社のCFO業務も兼務しました。

それから3年ほど経ち、ある程度仕事の目途がついてきた段階で、やり残していた“中小企業診断士資格取得”に向けて動き出すことにしました。当時はさまざまな中小企業診断士登録養成機関ができていました。一次試験合格の権利は持っていましたので、日本マンパワーの中小企業診断士登録養成課程に行くことにしました。平日と土日を中心に1年間学ぶコースです。

―実際に養成課程に通ってみて、いかがでしたか。

平日と土日に通うコースですので仕事と両立できると思っていたのですが、そんなに甘くはありませんでした。USENでの仕事は平日夜の打ち合わせも多かったのです。入学して2カ月くらい経った頃に、「これ以上遅刻や欠席があると、養成課程を卒業できませんよ」と日本マンパワーから注意されてしまいました。

「中小企業診断士資格を取ろう」と決めて養成課程に通い始めましたので、途中であきらめるわけにはいきません。結局USENを辞めて、養成課程に集中することにしました。

―仕事を辞めるとは、大きな決断でしたね。

養成課程での学習は大変ですがとても勉強になりました。講義だけではなく、1年間で5社の経営診断実習をやります。そのうち4社が自動車関連企業でした。

自動車部品の製造会社や金属表面処理(メッキ)をする会社、自動車解体や中古自動車・部品の販売をする会社もありました。私自身、製造業の経験が少なかったため勉強になりましたし、「製造業って面白い」と感じるようになりました。

マークテック(株)へ

―それでは無事、中小企業診断士養成課程を卒業できたのですね。

2010年3月に中小企業診断士養成課程を卒業して中小企業診断士に登録することができました。最初に一次試験に合格したのが1995年ですので15年越しの診断士登録です。

中小企業診断士に登録できた頃、大学時代の友人から「経営企画ができるCFOを探しているのだけど、西本さんはいかがですか?」と声をかけられました。当時ジャスダックに上場していたマークテック株式会社について、オーナーと投資ファンドでMBO(経営陣による株式の買収)をすると。その経営企画・CFOの役割です。

―実力があると誰かから声がかかるものですね。

友人の誘いを受け、2010年7月にマークテックに入社し、8月に取締役に就任しました。マークテックは非破壊検査と印字・マーキング装置の総合メーカーです。非破壊検査の表面探傷分野における国内シェアは約40%、印字・マーキング装置の国内シェアは約60%あり、自動車業界や鉄鋼業界、重工・プラント業界と取引をしています。養成課程で自動車関連企業の診断実習をした後でしたので、マークテックでの業務と何か重なるものを感じました。

―入社してどのようなことをされたのですか。

まずはCFOの立場で資金調達方法の変更、金利コストの削減を行いました。MBOをした時にLBOローンというのを活用したのですが、これは制約条件が多いローンです。重要事項に関しては、金融機関に書面で事前にお伺いを立てて承認を得なければなりません。

そこでLBOローンを通常のコーポレートローンに切り替えるように取り組みました。結果として経営の自由度が格段に高まり、金利コストを5年間で1億5000万円くらい減らすことができました。

―1億5000万円のコスト削減は大きいですね。

仕事の“見える化”にも取り組みました。たとえば新製品の開発です。場当たり的に行っていた新製品開発業務を“見える化”しました。さまざまな開発テーマを並べ、市場性・開発費用・難易度などでランクづけして優先順位をつけます。これを短期・中期・長期の視点で整理していきました。

原価の“見える化”も行いました。これは、中小企業診断士試験で学ぶような内容です。直接費と間接費で整理し、さらに工場の操業度と組み合わせて“見える化”していきます。そうすることで、適切な人の配置・組織の組み換えを行うことができるのです。

(つづく)

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西本 圭吾(にしもと けいご)
1968年生まれ。1990年慶應義塾大学法学部卒業後、三井信託銀行に入社。国内外の事業会社向け融資業務に従事する。ソフトバンクグループ等を経て、2010年マークテック(株)取締役に就任。2015年マークテック(株)代表取締役社長就任。