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自身の経験を活かし、後継者が真の経営者になることをお手伝い

大石 幸紀(中小企業診断士)

【第3回】1人でも多くの後継者を応援したい

取材・文:大石 幸紀(中小企業診断士)

取材日:2014年4月8日

自らの苦い経験から、後継者を支援する中小企業診断士を志した高橋さん。最終回となる今回は、後継者に対してどのように事業承継支援を行うのかについて、具体的に教えていただきました。

事業承継コンサルティングの具体的方法

― 事業承継計画の策定は、具体的にどのように行うのですか。

親と子と一緒に事業計画を策定する
親と子と一緒に事業計画を策定する

現経営者と後継者の両者に参加してもらい、3ヵ月間で事業承継計画を作成します。そのときに大切なのは、親が残してほしいものを明確にすることです。すると、後継者は大切だと思っていたことが、親はどちらでもいいと思っていた、といった場合も出てきます。両者間の認識の違いが、その過程で明らかになるのです。意外と思い込みも多いものですが、本人同士では話しづらいのか、そのあたりが曖昧なまま事業承継されてしまうこともよくあります。

次に、具体的にいつバトンタッチするのかを明確にします。3年後、5年後というように事業承継の日付さえ決まれば、それまでの準備とその後のやることはある程度決まっています。「現事業のマーケティングをどうするのか」と「財務面をどうするのか」の2つが決まってから、人の問題を考えます。事業承継計画は、短くて5年、長期で10年分の計画を作ります。

計画の目的は、後継者がそれまでに何を身につけ、何を実行するか、という後継者のアクションプランを明確にすることです。そのため、会社全体の細かい部分にはさほどこだわりません。アクションプランの内容は、後継者によって決まります。「新規取引先の開拓を、後継者中心に3社取りましょう」というアクションプランになることもあれば、「新事業の立ち上げを後継者中心にしましょう」といった場合もあります。

― そのような依頼は、どのようにして高橋さんのところに来るのでしょうか。

事業承継塾で語る高橋さん
事業承継塾で語る高橋さん

事業承継計画策定支援の依頼は、たまにホームページからあるくらいで、ほとんどは紹介です。紹介してくれるのは、仲間のコンサルタントだったり、経営者の知り合いだったりすることが多いですね。「2代目がいるから、ちょっと話を聞いてあげてよ」というスタートが多いです。私は、「アシスト2代目」という屋号を用いていることもあり、「2代目の相談なら高橋」という認知をされているのでしょう。この10年で、50社以上の事業承継計画を作りました。

― 事業承継計画が完成した後の支援は、どのように行うのですか。

計画ができた後のコンサルティングの契約は、基本的に2年間です。最初の1年はバトンタッチまで、残りの1年はバトンタッチ後の支援です。事業承継の場合、バトンタッチをはさんだ前後1年間でもっとも問題が起こるので、そこに呼んでいただくのが、私の価値をもっとも発揮できるからです。

計画したバトンタッチが3年後であるなら、3ヵ月間の事業承継計画策定後、いったん支援は終了します。そして、バトンタッチを計画した時点の1年前から、再びコンサルティングを2年間のスケジュールで開始します。たとえば10年後のバトンタッチを計画したのなら、次のコンサルティングの開始は9年後、ということになります。

1人でも多くの後継者を応援したい

― 高橋さんの事業承継支援は、コンサルティングだけですか。

事務所にて
事務所にて

今年から、大阪と東京で後継者塾を始めました。これまでに事業承継を支援した経験から得たエッセンスを塾で伝え、後継者自身で実践してもらう、というスタンスです。私も、塾の中で後継者に伝えるために、過去の成功事例からポイントをまとめたりする中で、さらにノウハウが洗練されていくのを感じています。また時間が経つにつれて、塾生の後継者さんの気持ちがだんだんと入ってくる手応えも伝わってきます。

今後は後継者塾を通じて、もっと多くの後継者に、事象承継にはやり方があることを知ってもらいたいと考えています。事業承継をうまく乗り切るノウハウとして、使っていただきたいですね。コンサルティングはやりがいはありますが、体は1つしかありません。困っている後継者はたくさんいますが、ちょっとしたノウハウでうまくいくこともたくさんあります。「このノウハウでやってみたら、問題の半分くらいはクリアになった」、「努力する期間が短くて済んだ」、「改革のスピードが上がった」といった経験を、より多くの後継者に届けたいですね。

私の経験上、現経営者と後継者の関係がうまくいっていないと、会社の業績は上がりません。問題をクリアにして、現経営者と後継者の双方が本来やるべき仕事に集中できるようになれば、中小企業全体の業績がよくなるのではないでしょうか。

― 最後に、今後の構想をお聞かせください。

私が培ってきた事業承継支援のノウハウを、今度は中小企業診断士が使えるコンサルティングツールにしようと開発中です。そうなったら、多くの中小企業診断士の方に活用していただきたいですね。そして、事業承継の際には、後継者のそばに常に中小企業診断士がいる、という存在にしたいのです。中小企業診断士同士なら、ノウハウを隠すよりオープンにしたほうが、それらは磨かれます。最終的に、日本中の困っている後継者にフィードバックできるようになり、かつ今後、中小企業診断士を目指す方の一助になればと思います。

税理士さんには、事業承継を税金面でサポートする方はいますが、経営面でサポートできる方はまだまだ少ない。相続面は税理士、経営面は中小企業診断士、という両面からのサポートが理想だと思っています。

― 本日は、ありがとうございました。

【お役立ち情報】

(おわり)

【関連情報】

高橋 秀仁(たかはし しゅうじん)
(株)高橋代表取締役。アシスト2代目代表、事業承継・後継者育成コンサルタント。昭和47(1972)年兵庫県芦屋市生まれ。自らの事業承継時の親子間軋轢や社内外失敗などの苦い経験から、後継者に共通の悩みを知り、後継者ならではの問題や潜在ニーズに合ったコンサルティングを行う。承継後に、後継者が真の経営者になるための総合的な経営支援と後継者育成を実践し、後継者は良い経営者になる「DNA」を必ず持っているという信念の下、多くの後継者を育成、幸せな後継経営者を多数、世の中に輩出している。これまでに300名の後継者と面談し、その悩みを解決してきた。

商号 アシスト2代目
代表 高橋 秀仁
所在地 兵庫県西宮市和上町6-22-1105
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FAX 0798-34-0761