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中小企業診断士 田淵秀樹さん 舞台は世界へ――国際派診断士への道

文:岩倉 光隆(中小企業診断士)

【第2回】海外業務のやりがいと苦労

取材日:2014年2月20日

最終回となる今回は、2回目に行ったモンゴルの案件でのエピソードと、その中で感じた海外支援業務の現状のほか、やりがいや苦労したことについてもお話しいただきました。

モンゴルの案件と、海外業務のやりがいと苦労

― モンゴルの案件について、その内容を教えてください。

モンゴルでの講義の様子
モンゴルでの講義の様子

モンゴルの案件は11月の渡航で、公示は8月にありました。カンボジアでの業務を実績として書くことができましたので、幸いにも連続で受注することができました。

滞在期間は2週間で、生産管理のテーマで5日間講義を行ったほか、企業訪問をしたり、地方でセミナーを行ったりといった内容でした。カンボジアと同じく、「そのような管理は、日本だからできることですよね」という反応もありましたが、受講生が製造業に限定されていたことと、カンボジアでの経験から、現地事情とかけ離れたことはできるだけ言わないように心がけていましたので、全般的に評価は良かったようです。また、通訳を付けてもらっての日本語での講義でしたので、英語で講義を行ったカンボジアに比べて、より思いが伝わったようです。最終日には受講生たちからプレゼントをいただき、大変感激しました。

講義以外の時間には、講義に参加した企業の個別相談を行いました。各企業の具体的な悩みを聞けて、興味深かったですね。カンボジアと同様に、「作れば作るほど売れる」、「忙しくて困っている」、「設備投資をしたい」といった話が多く、伸び盛りのパワーを感じました。

― 現地で支援を行う際のやりがいは何でしょうか。

講義の内容を理解し、実践してもらえると嬉しいですね。個別相談の際に、前日に話した内容を踏まえて自社の悩みを説明してもらったりすると、「あぁ、よく聞いてくれているな」と思います。カンボジアでも、5Sの説明をしたその週末に、さっそく職場に導入したと聞いたときには感激しました。

そのほか、まだ少数ではありますが、気の合った受講生と関係が続いていくのは嬉しいです。もしかすると、今後のビジネスパートナーに発展するかもしれません。

― 一方で、苦労話についても教えてください。

トゥクトゥク
トゥクトゥク
カンボジアでの食事
カンボジアでの食事

カンボジアでは、移動にトゥクトゥクを使用します。バイクの2人乗りもあるのですが、安全面で会社から禁止されていました。街を歩いていると、約50mおきに声がかかりますが、トゥクトゥクの運転手は英語を話さない場合も多く、金額交渉と行き先を伝えるのがなかなか大変でした。一方で食べ物は口に合い、日本で食べるよりも美味しく感じるカレーヌードルもありました。

モンゴルには11月に渡航したのですが、この時期は最高気温でも氷点下で、ホテルに戻ると外出する気にはならず、食事はホテルにある3軒のレストランをローテーションで利用していました。中華→インド→日本のローテーションですが、どこも1皿が大きく、食べ切れないときもありました。

体感するアジアの経済発展

― モンゴルやカンボジアの経済状況は、いかがでしたか。

プノンペン
プノンペン
ウランバートル
ウランバートル

両国とも経済は成長期にあり、景気の良い話を多く聞いて、こちらまで元気になります。

一方で、途上国共通の悩みもあるようで、都市部の渋滞は激しく、ビルもどんどん増えています。モンゴルはゲル(家屋)や馬のイメージがありますが、首都のウランバートルは車やビルだらけです。ほんの数キロの移動に数十分かかってしまうような状況ですので、道路や鉄道などのインフラ整備が課題ですね。

海外へ飛躍したい中小企業診断士へ

― 国際協力業務の現状と環境についてお聞かせください。

現在、国際協力業務に携わっている方には60歳以上の方が多く、40代後半の私でも若手と呼ばれます。特に、生産やカイゼンに関する分野は、製造業を定年退職した人が行う場合が多いようで、平均年齢はかなり高いです。

日本ブランドは途上国各地で人気があり、支援を必要とする国はたくさんありますので、需要は多いと思います。もっと多くの若手が、どんどん参加できるようになると良いですね。

― 今後、田淵さんご自身はどのような計画をお持ちですか。

次は、平成26年3月~5月まで、エチオピアに行く予定です。エチオピアでは、カイゼンがブームになっているようです。初のアフリカですので、楽しみにしています。

最近は、何とか案件を取れるようになってきましたので、目標は「1年の半分を海外で過ごす国際派診断士」です。独立2年目の今年は、かなり目標に近づきそうですが、海外と言えば私を思い出してもらえるような存在になりたいですね。

― 最後に、海外での活躍を目指す中小企業診断士へのメッセージをお願いします。

中小企業診断士の資格更新要件にも、国際協力のための海外における業務が認められています。日本はこの先、高齢化や人口減少で国内市場が縮んでいくでしょう。国内に限った業務を考えていたとしても、国境の垣根はどんどん低くなっていくと思います。一方でそれは、海外にはたくさんのチャンスが残っているということでもあります。自分で限界を決めるのではなく、広く世界に目を向けると、これまでとは違ったものが見えてくるかもしれません。

【お役立ちコンテンツ】

(おわり)

【関連情報】

田淵 秀樹(たぶち ひでき)
田淵コンサルティングオフィス代表、中小企業診断士。1965年兵庫県生まれ。明石工業高等専門学校卒業後、総合電機メーカーに入社して品質保証業務に従事。2013年に独立・開業し、現在は途上国での産業振興支援を中心に、受験校講師、執筆も行う。カンボジア、モンゴル、エチオピアでは、製造業経営者向けに生産管理などの講義と実地支援に従事。

会社名 田淵コンサルティングオフィス
設立 2013年5月
所在地 神奈川県横浜市戸塚区
ホームページ http://tabuchi-smec.com/
TEL 080-7012-5437