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一般社団法人エコ食品健究会代表理事・中小企業診断士 久保正英さん エコと健康を切り口に、三陸地方や全国の中小企業を元気にする

文:岩倉 光隆(中小企業診断士)

【第2回】企業間連携で中小企業の力を引き出す

取材日:2013年11月20日

(一社)中小企業診断協会主催の平成25年度「中小企業経営診断シンポジウム」で久保さんは、中小企業診断協会会長賞を受賞されました。その論文「大手量販店への販路開拓に苦戦する中小・小規模食品企業~20社連携によるエコを切り口とした『3つの取引阻害要因解消』の事例と提言~」には、中小食品事業者が大手と対抗する販路拡大手法が記されています。
 その極意について久保さんは、企業間連携を挙げられています。今回は、企業間連携の持つ力と可能性について伺いました。

連携をまとめるリーダーシップ

― 受賞論文の取組みでは、参加各社をどのようにまとめていかれたのですか。

企業間連携で実現した売場
企業間連携で実現した売場

今回の取組みで声をかけたのは26社で、最終的には20社になりました。最初は、総論でまとめます。たとえば、エコ食品健究会のホームページにもありますが、「添加物だらけの食べ物を子どもに食べさせない」とか、「ゴミだらけの川は片付けよう」といったように、あるべき姿を土俵に乗せてそこに集わせ、細部に落としていく。そこで皆の総意を取り付けながら、具体的にしていくやり方です。まったく異なる組織文化をまとめていくわけですから、難しいですけれどね。

― それを、企業間連携で実現するのですね。

シンポジウムでの発表風景
シンポジウムでの発表風景

企業間連携しか方法がないのです。今回のように、小売業に対して食品メーカー同士が企業間連携を成功させるためには、小売業が喜ぶ視点を共通目的に設定しなければなりません。それが、相乗積(単品売上構成比x単品利益率)だったということです。

相乗積を高めることに貢献すると、結局、企業間連携の食品メーカーのみならず、かかわる小売業などともWin-Winの関係が作られていきます。企業間連携では、まとめる人のスキルが重要です。真面目すぎるとまとまりませんので、緩いくらいでいいのだと思います。

― 自主性を尊重することにも通じますね。

私がリーダーシップをとっているところでは、「無理だったら来なくてもいいよ」と言っていますが、そう伝えると、結局は自発的に来るようになります。

たとえばサッカーでも、調子の悪い人がいることがありますよね? それを調子の良い人がカバーするわけですが、相手のプレッシャーがキツくて、ゴール前に味方のプレーヤーが入れないときは、中盤からカバーするか、ドリブルで突破を狙うか、いずれにしても周囲がカバーして全体の調子を上げていきます。企業間連携も同じで、元気な会社はマーケットに攻めていき、それが模範となって連携体を盛り上げていければ、調子の悪い人たちをフォローする動きになるのです。

また、ある大手小売業に20社の連携から8社の商品が入ったことがありましたが、あまり乗り気でない会社は、最初はその中に入ってきません。でも、当該企業から「ほかの商品も入れていいよ」と言われたら、乗り気でなかった会社も作るようになる。そういった波及効果もあります。

企業間連携によって増すチーム力

― カバーすることで、沈んでいるところを上げる効果もあるのですね。

それが、企業間連携の良いところです。調子の良し悪しだけでなく、エリアの強弱などもすべてカバーできます。企業間連携をすれば、マーケット面でもカバーできるのです。

受賞論文の取組みの中でも、販路やチャネル、地域の強弱を、連携企業間でフォローし合っています。カーボンオフセットという仕組みへの取組みを紹介しましたが、CO2の算定も、各企業の中だけでは難しいですからね。それを持続的な活動にするために、グループで教え合うという形です。

― その連携が、これだけの活動につながってきています。

炊き出しグランプリ
炊き出しグランプリ

連携のテーマはたくさんありますが、根幹は一緒です。たとえば連携体の中に、焼き菓子を作っている企業と、チョコレートメーカーが存在すると、「焼き菓子にチョコをかけてみましょう」という話が自然発生的に出てきます。このようにして仕事や製品が生まれるのも、企業間連携です。目的を達成するために、チームが動くわけです。

企業間連携とはチームだということに、改めて気づきました。チームは時間を経過し、ともに戦えば戦うほど強くなります。そして新しい戦力が入ってくると、さらに活性化します。企業間連携にはスパイラルな動きが必要で、そのメンバーだけでずっと行くのが良いとは限りません。私が現在進めている企業間連携には、ウォーターフットプリント(※)実践塾や、炊き出しグランプリなどがあります。

※原材料調達から生産、廃棄、リサイクルまでの商品一生分の水使用量を算出し、水資源への負荷を定量化する手法。

【関連情報】

(つづく)

【参考ホームページ】

久保 正英(くぼ まさひで)
中小企業診断士。KUBO経営コンサルティングオフィス代表。マーケティング実行支援コンサルタント。山崎製パン等大手食品メーカーの経営企画、大手コンサルティング会社を経て2006年より現職。2010年より中小食関連企業252社の会員組織一般社団法人エコ食品健究会代表理事。
2006年~2013年の主な公表可能支援先実績:ロッテ・湖池屋・カルビー・大阪前田製菓・イトーヨーカ堂・明治製菓・三河屋製菓、東海氷糖・パイン・カネフク製菓・三幸食品・尾崎食品・フクイ・富士屋あられ・カネタツーワン・ユニバース・ヤマザワ・平和堂・天満屋ストア・サミット・日生協・新潟ゆのたに 等

団体名 一般社団法人エコ食品健究会
創業 2006年(2004年からはじまった食品企業の勉強会(52社)を定期開催とし本格的に始動)
設立 2010年4月法人化
所在地 神奈川県相模原市緑区日蓮101-5
ホームページ http://ecoken-consulting.org/