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一般社団法人エコ食品健究会代表理事・中小企業診断士 久保正英さん エコと健康を切り口に、三陸地方や全国の中小企業を元気にする

文:岩倉 光隆(中小企業診断士)

【第1回】「三陸野菜」で雇用を創出し、南三陸を盛り上げる

取材日:2013年11月20日

東日本大震災後、進んでいく復興に、事業と経営コンサルタントの両面からかかわっている中小企業診断士が、久保正英さんです。
 久保さんは、252の食品関連事業者の会員を持つ一般社団法人エコ食品健究会の代表として、震災後の平成23年3月から現在まで、継続的に復興にかかわっておられます。今回は、久保さんの取組みの変遷について伺いました。

三陸地方での新たな取組み

― これまでの活動についてお聞かせください。

久保正英さん

エコ食品健究会の活動は、震災当初は食糧支援、たとえば炊き出しなど被災者の生きるための支援が中心でした。それが一段落すると、今度は精神的なケアも必要になります。震災時の恐怖や悲しみなどの精神的ダメージがある被災者の方々が、徐々に避難所から仮設住宅に移っていく中で、次にどのような支援をするか、ということです。

食べ物には、人を楽しくする「力」があります。そこで私たちは、お茶会や親子クリスマスケーキ教室など、食べ物を通じた支援をしていこうということになりました。

また、被災された企業の販路開拓や、稼働できない工場の在庫をボランティアで売るような活動も、健究会252社のうち被災した7社に対し、1年間ほど経済支援としてやってきました。

ただ、震災後1年も経過すると、支援を受ける側も、「いつまでも被災者でいるわけにはいかない」と気づき始めます。新たに起業する人も出てきて、現在では起業支援などのフェーズに移りつつある中、最近は個人や中小飲食店の起業支援も行っています。

― 従来のボランティアから、事業としての支援に移ってきているということでしょうか。

ボランティア活動の現場にて
ボランティア活動の現場にて

そうですね、完全に移ってきています。たとえばいま、仮設住宅の隅に大きなプランターで野菜を作っています。職に就けない中高年齢層の方々に、働くことの楽しみをいま一度理解していただこう、という狙いです。当初は単なるボランティアでしたが、事業化の芽があると判断され、カタール政府がスポンサーになってくれました。現在は800拠点程度ですが、来夏までに2,000拠点にすることを目標に進めています。そのプランターで作った野菜を販売するために、平成26年2月には一般社団法人三陸野菜という法人を立ち上げました。

プランターでの野菜づくり
プランターでの野菜づくり

法人の理事は地元の方々で、事務所は気仙沼に置き、エコ食品健究会で設立準備を手伝います。プランターは、仕事創出のために南三陸町で作り、その過程で間伐や塗装の仕事が生まれます。プランターで作った野菜は、都内飲食店や社員食堂などに卸す一方、加工度を上げ、たとえばトマトなら、ケチャップを缶詰などにして販売する予定です。

この時期になると、復興支援であっても、ビジネスとして儲けなくてはいけません。そうしないと雇用もできませんし、本当の意味での復興にはたどり着かない。その模範として、一般社団法人三陸野菜が認知されることを期待しています。

一般社団法人三陸野菜のロゴ
一般社団法人三陸野菜のロゴ

目の前で野菜の栽培過程を見て、やる気が湧く。それを見て、近くの人たちとコミュニケーションが交わされ、仮設住宅の住民間でも孤立せず、コミュニティが生まれる。そのコミュニティ同士が互いに切磋琢磨し、より良い関係が生まれる。そして、実際にそれを販売して収入を得れば、お小遣いにもなって、もっと儲けようという気力が出る。そういった良い循環を作りたいですね。

人は気持ち以外では動かない

― 復興支援には、投資回収まで計算せずに取り組まれているように思いますが。

そうですね。「結果的に返ってくる」と、信じてやっています。経営コンサルタントは、支援先のパートナーになるのが理想だと思いますが、それと同じ感覚です。パートナーだから、いつか私たちも彼らから恩恵を受けるときが来る。それは10年後か、あるいは自分の子どもの代になってからかもしれない。細かな計算はしていませんが、「かかわった分だけ返ってくるだろう」というくらいの気概で接しないと、遅々として進んでいきませんからね。

― 取り組む人のやる気は、どのように引き出されていますか。

結局はコミュニケーションですね。とりあえず夢や目標を共有し、賛同してもらえる人と行動する。"やらされ感"があると、人は絶対にうまく動きません。健究会の会員組織は会費無料ですが、その中で、事務局がさまざまな有益な情報を提供していく。そうすると、情報を受け続けた会員は、「それに応えよう」という気持ちになってくるのです。そこで初めて、本物の動きになっていきます。

先ほどお話しした三陸野菜の法人化についても、気持ちで動いてもらっています。相手と夢を共有し、なぜやっているかという根幹の話をする。そして、「あなたの力が必要です」と伝え、賛同を得ていく。結局は、人は気持ち以外では動かないと思います。

【関連情報】

(つづく)

【参考ホームページ】

久保 正英(くぼ まさひで)
中小企業診断士。KUBO経営コンサルティングオフィス代表。マーケティング実行支援コンサルタント。山崎製パン等大手食品メーカーの経営企画、大手コンサルティング会社を経て2006年より現職。2010年より中小食関連企業252社の会員組織一般社団法人エコ食品健究会代表理事。
2006年~2013年の主な公表可能支援先実績:ロッテ・湖池屋・カルビー・大阪前田製菓・イトーヨーカ堂・明治製菓・三河屋製菓、東海氷糖・パイン・カネフク製菓・三幸食品・尾崎食品・フクイ・富士屋あられ・カネタツーワン・ユニバース・ヤマザワ・平和堂・天満屋ストア・サミット・日生協・新潟ゆのたに 等

団体名 一般社団法人エコ食品健究会
創業 2006年(2004年からはじまった食品企業の勉強会(52社)を定期開催とし本格的に始動)
設立 2010年4月法人化
所在地 神奈川県相模原市緑区日蓮101-5
ホームページ http://ecoken-consulting.org/