経営コンサルタントの国家資格”中小企業診断士”の情報が満載です。 中小企業診断士の広場

中小企業診断士の広場

活躍中の独立診断士へインタビュー

最前線の診断士

東ティモールで活躍する女性診断士

文:原 千津(中小企業診断士)

【第2回】東ティモールでの調査活動

2012~2013年にかけて、国際協力機構(JICA)の委託を受けた調査チームのメンバーとして東ティモールに赴いた中で、その中心となる現地での調査活動の模様をレポートします。今回は、その前半です。

東ティモールへ行く前に

JICAの業務は、現地に赴く前に、国内で業務方針や入念な計画を立て、JICAの合意を得てから出発します。

私に与えられた作業日数は2日間。まずは、ASEAN経済共同体に関する合意文書や活動内容に関する情報を収集・整理するところから始めました。その中でも特に重要と思われるのが、ASEAN経済共同体の目標を記した"ブループリント"でした。

この"ブループリント"は、以下の4つの柱で構成されています。

  • 第1の柱 ASEANを単一の市場と生産拠点にする。
  • 第2の柱 ASEANを競争力のある経済地域にする。
  • 第3の柱 ASEAN内で公平な経済発展を図る。
  • 第4の柱 ASEANと世界経済を統合する。

この"ブループリント"の4つの柱を達成するための、2015年までのASEAN並びにASEAN加盟各国の行動計画が、「AEC戦略的行動表」です。私たちのチームは、この「AEC戦略的行動表」がASEAN加盟の準備をする東ティモールにも重要であり、この行動表に沿って加盟のための計画を立てることがもっとも適していると考え、準備を進めました。

現地調査の概要

日参した外務省の建物
日参した外務省の建物

チームの現地調査は、2012~2013年にかけて、計3回行いました。

  • 第1回 10月21日(日)~11月14日(水) 25日間
  • 第2回 12月9日(日)~12月16日(日) 8日間
  • 第3回 1月13日(日)~1月26日(土) 14日間

私はそのうち、第1回と第3回の全日程において、現地で調査活動を行いました。

私たちは、調査期間の大半は、首都ディリを中心に活動しました。今回の調査は、カウンターパートと言われる現地での担当機関は明確にはなかったものの、ASEANの加盟活動の中心は、外務省にあるASEAN国内事務局でした。そのため、外務省にほぼ日参し、事務局との打ち合わせを日々重ね、東ティモールの関連省庁と政府関連機関のASEAN担当者を対象にしたヒアリング調査や、会議への参加を行いました。

東ティモールの政府関係者

観光の目玉の1つであるキリスト像
観光の目玉の1つであるキリスト像

東ティモールのASEAN加盟活動は、外務省のほかには、"フォーカルポイント"と呼ばれる関連省庁の担当者を中心に行っています。私は「投資」、「産業開発」を担当していたため、特にお会いしていた方は財務省、商業・産業・環境省、観光貿易・観光産業省、私企業支援・促進庁の担当者でした。

担当者の年齢は、20代後半~50代くらいまで幅広く、その多くは英語を話せます。そのため現地では、ティトゥン語、インドネシア語および英語を話せるマルチ通訳を帯同しましたが、コミュニケーションにはほとんど苦労しませんでした。しかし、私たち日本人の発音が時としておぼつかないように、現地の方特有の発音は時に理解しがたく、慣れるのには時間がかかりました。

担当者のうち、何人かは女性でした。特に商業・産業・環境省は、女性が中心となっている省庁で、元はホテルだった建物を利用しているため、一層華やかな印象を受け、東ティモールの観光の計画と将来性を雄弁に語る担当者からは、明るい未来を感じることができました。

「AEC戦略的行動表」のとりまとめ

観光貿易・観光産業省での会議の様子
観光貿易・観光産業省での会議の様子

今回の調査活動の中で、私たちが重視していたのが、東ティモール版「AEC戦略的行動表」のとりまとめでした。ASEAN加盟に向けた取組み項目がすでにリストアップされている中で、どの省庁がどのように、その項目に主体的に取り組むべきか、事前の準備段階で想定はしていたものの、調査を進めるにしたがい、日々修正を余儀なくされました。

折しも、現地調査の直前に政府組織の改編がなされて、正式な組織図の入手も困難な中、地道に関係者へのヒアリングと、ASEAN国内事務局との打ち合わせを重ねて、少しずつ東ティモール版「AEC戦略的行動表」が形を現してきたのです。

関係省庁がまたがるような輸出入の絡む項目は、2省庁の関係者を集めて、20人超規模の合同会議を開催しました。立場の違う参加者が集まるため、時間内に結論までたどりつくのかという懸念もありましたが、各省庁のとりまとめ役が意見を集約して会議を進めたおかげで、関係者の合意を得ることができました。

その結果、A3用紙22ページにわたる、東ティモール版「AEC戦略的行動表」が、ついに完成しました。

(つづく)

【こちらもオススメ!】

※マーケティング会社を経営する中小企業診断士の活動を紹介しています。

※中小企業施策を、ストーリー形式でわかりやすくお伝えしています。

原 千津(はら ちづ)

コンサルティングオフィスBrands代表。2001年中小企業診断士登録。会計業務、経営戦略、経営企画などを経て、2010年独立。現在は資金調達・財務戦略立案全般の支援、経営計画策定支援など、中小企業の将来を社長とともに考えるコンサル活動を行う。一方で、技術士とともに、一般社団法人ソーシャルテクニカを設立し、環境問題や省エネにも取り組む。(株)ワールド・ビジネス・アソシエイツ理事。
【ホームページ】:http://brands-jewelry.com/pg149.html