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活躍中の独立診断士へインタビュー

最前線の診断士

東ティモールで活躍する女性診断士

文:原 千津(中小企業診断士)

【第1回】中小企業診断士が携わる国際協力活動

私は、2012~2013年にかけて、国際協力機構(JICA)の委託を受けた調査団のメンバーとして東ティモールに赴き、ASEAN加盟支援に係る情報収集・確認調査活動を行ってまいりました。今回は、中小企業診断士としてどのように活動に携わってきたのかをレポートします。

「国際派診断士」を漠然と目指して

私は、専門性を持って生涯できる仕事を持つことを目指し、2001年に中小企業診断士資格を取得しました。会計や財務の学習と、それを活かした職種を経て経験を積んできましたので、独立する際は、その「得意分野の強み」と、「女性ならではの視点での支援」ができる中小企業診断士を目指すべく、準備をしてまいりました。

そしてもう1つ、「国際的に活躍する」という漠然とした思いを持って、並行して準備をする中、縁あって(株)ワールド・ビジネス・アソシエイツの一員となったことで、その思いが実現性を増しました。

(株)ワールド・ビジネス・アソシエイツの一員として

(株)ワールド・ビジネス・アソシエイツは、主として国際的に活躍する中小企業診断士が所属する会社で、近年は、世界各地でJICAでの派遣実績を積み、業容を拡大しています。その中で、2012年度内のほぼ同時期に、JICAの東ティモールの案件を2件受託し、私はうち1件に参加することとなりました。

1件目の「新規産業開発可能性情報収集・確認調査」案件は、東ティモールの新しい産業の可能性を探る調査であり、中小企業診断士の強みを活かせる案件として、中小企業診断士を中心としたチームで臨みました。一方、私の担当した「東ティモールのASEAN加盟支援に係る情報収集・確認調査」のほうは、通関士、農業専門家、中小企業診断士の異職種チームで臨みました。

プロジェクト概要

東ティモールの豊かな自然
東ティモールの豊かな自然

「東ティモールのASEAN加盟支援に係る情報収集・確認調査」は、独立10年を迎えた東ティモールが、ASEAN(東南アジア諸国連合)の11番目の国を目指して加盟活動を行う中で、日本が東ティモールからの要請を受けて、ASEAN加盟を支援する活動でした。すでにJICAは、通商貿易アドバイザーの派遣など、政府・公共セクターの能力向上を目標とした活動をしてきた中で、いよいよ東ティモールが具体的なASEAN加盟を見据えた準備を整える時期がやってきました。

一方で、変革の時を迎えたASEANは、来る2015年に共同体を創設しますが、そのベースとなるのがASEAN経済共同体です。現加盟国である10ヵ国も、その共同体への転換に向けて準備を整えている時期でした。

当調査は、ASEAN 経済共同体の「貿易」、「投資」、「産業開発」、「食料・農林業」の4分野について、東ティモールがASEANに加盟した場合の経済的インパクトを分析したうえで、その課題についてリストアップし、東ティモールの加盟支援に向けた日本の協力を検討するための短期的な調査活動でした。また、その調査内容を東ティモールのASEAN加盟にかかわる人々に知らしめ、加盟に向けたベクトルを合わせるためのセミナーを無事に成功させることも、重要な要素でした。

中小企業診断士と国際協力活動

今回の調査チームの中で私は、中小企業診断士として「投資」、「産業開発」を担当しました。私の中ではこれまで、国際協力活動と言えば、農業や製造業の技術支援など、1次・2次産業中心のイメージがありました。事実、国の発展を見れば、多くの国がそのような産業推移をたどっていることでしょう。

今回、私のような製造業の現場経験のない中小企業診断士が、この国際協力活動に携わることができたのは、開発途上国が、2次産業から3次産業への推移をたどる時期に来ていることを意味するのかもしれません。国際支援活動の中で、中小企業診断士がかかわる国際協力活動の可能性が広がっていく確率は、今後も高いと言えます。

東ティモールとは

特産品のコーヒー粉を売る市場の店
特産品のコーヒー粉を売る市場の店

東ティモールは、2002年にインドネシアから独立を果たして10年を迎えた国で、国名は"ティモール島の東"を意味しています。"ティモール"とはそもそも"東"を意味しており、現地の人々はポルトガル語で"Timor Leste"と言っています。公用語は、ポルトガル語とティトゥン語の2つですが、インドネシア語を話す方も多くいます。

独立10年の道のりは順調とは言えず、国内での暴動を経て、国際連合が治安維持のために展開している状態でした。その国際連合による治安活動は、2012年12月で終了し、今後は東ティモール国による自治が行われることになるタイミングで、私たちは東ティモールに赴きました。国際連合による支援体制から、東ティモール自身による自治へと向かう過渡期であり、東ティモールは、ASEAN加盟に向けた対外的な転換期だけでなく、国内でも転換期を迎えていました。国内情勢の転換はむしろ、対外的な転換の実現に向けて、不可欠な要素であるとも考えられます。

(つづく)

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※カメルーンで活躍する診断士の活動レポートです。

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原 千津(はら ちづ)

コンサルティングオフィスBrands代表。2001年中小企業診断士登録。会計業務、経営戦略、経営企画などを経て、2010年独立。現在は資金調達・財務戦略立案全般の支援、経営計画策定支援など、中小企業の将来を社長とともに考えるコンサル活動を行う。一方で、技術士とともに、一般社団法人ソーシャルテクニカを設立し、環境問題や省エネにも取り組む。(株)ワールド・ビジネス・アソシエイツ理事。
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