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事業承継支援のために中小企業診断士4名が手を組んだ「事業承継センター株式会社」

取材・文:大石 幸紀(中小企業診断士)

【第3回】事業承継センター株式会社の今後[1]

取材日:2013年1月12日

4人の中小企業診断士が手を組んで設立した事業承継センターの、設立の経緯や活動内容をお伝えする本シリーズ。最終回の今回は、まだ30代の取締役の山口亨さんに、事業承継センターでの役割をうかがうとともに、代表の内藤博さんから、事業承継センターの今後についてお聞きしました。

創業支援のノウハウを事業承継支援に活かす

― 今回は、もう1人の取締役・山口亨さんにお話をうかがいます。山口さんが中小企業診断士になられた経緯を教えてください。

山口亨さん
30代の取締役・山口亨さん

私は社会人になってから、ずっとIT系の仕事をしてきました。最初はサーバーやネットワークの構築、ユーザーサポートなどを担当しました。その後、アプリケーションやシステムの立ち上げなど、システムエンジニアとしての経験を積みました。ハード、ソフトの両面から現場に携わってきました。

25歳のときに1年弱、オーストラリアにワーキングホリデーに行ってきました。現地では、オーストラリアに進出した日系企業のITサポートを行う日本人社長の下で働いたりしながら、ワーキングホリデーを過ごしました。

日本に戻ってきてからは、シカゴに本社のある電子部品メーカーに就職し、そこで8年間、IT部門のマネジャーを担当しました。その日本法人に入社したのは、基幹系システムをパッケージシステムから自社開発システムに入れ替えようというタイミングでした。ITベンダーの協力を得て、自社開発システムを立ち上げたのですが、そのまた数年後、全世界のグループ企業を統合するシステムの導入が決まり、自社開発システムをクローズしました。システムの立ち上げを担当した過程で、システムの稼働にはさまざまな部門と調整する力が求められることを実感しました。ITの知識だけではうまくいかないのです。経営全般的なことを勉強して、自分の発言に説得力を持たせたい。その思いにぴったりの勉強が、診断士資格でした。

試験に合格したのは、ちょうどサブプライム問題で米国経済の先行きが懸念されていた頃でした。日本法人の規模縮小が進み、その後、リーマン・ショックが訪れました。「これは、自分が独立するタイミングなのかな」と捉えて独立しました。独立する直前にいた会社は規模縮小により、100名近くいた従業員が20人弱になっていました。そのくらいの規模の企業のITを担当するのが、自分には一番合っているように感じましたので、中小企業のIT支援ができる中小企業診断士になろう、という思いで独立しました。

― 独立してからは、どのような分野で中小企業を支援されているのでしょうか。

いまの仕事は、中小企業のWEBマーケティングや業務のIT化支援がメインです。また、独立してから、東京商工会議所が東京都から委託を受けている「経営力向上TOKYOプロジェクト」の事務局の仕事もさせていただいています。この事業は、「企業の健康診断をしましょう」という事業です。私は、ホームページ上の質問に答えるほか、数値を入力すると、経営診断ができるシステムを中心に担当しています。このシステム構築を通して、企業診断のひと通りのスキームにも強くなりました。

そのほか、東京都世田谷区では創業支援の窓口相談を担当し、創業のための事業計画書作成支援などを行っています。IT化支援と創業支援の2つを軸に、中小企業診断士として活動しています。

― その2軸に、事業承継支援が加わったのですね。

東京商工会議所でご一緒させていただいていた内藤さんから、IT化支援の側面から事業承継支援に参加してほしいと、声をかけてもらいました。それまでは、事業承継支援を自分の活動フィールドとして考えたことはありませんでした。

実は、事業承継はプライベートにおいて、身近な問題でしたが、家族間のさまざまな問題から避けている自分がいました。内藤さんから、自分と同じように多くの中小企業が、事業承継や家族間の問題に直面している実情を聞き、事業承継支援は避けて通れない自身のミッションだと思うようになりました。

事業承継センターでの役割は、後継者目線での事業承継支援です。事業承継は、自分で事業を一から立ち上げる創業とは大きく異なりますが、後継者にも創業者と共通してやるべきことがあります。理念は受け継ぎますが、自分がこれから経営する承継企業の事業計画を作らなければいけませんし、仕事の新たなやり方も作っていかなければなりません。事業承継支援の分野においても、創業支援で培ってきたノウハウが活かせるケースが多いことを実感しています。

事業承継はIT化のチャンス

― 事業承継とIT化支援は、どのようにかかわり合うのでしょうか。

山口亨さん
後継者塾で講師を務める山口さん

承継してから企業を成長させるには、経営の効率化と販売促進の視点が欠かせませんが、両方とも自分が得意とするITの活用が有効な課題です。そして、まだまだ多くの中小企業のIT化が進んでいない現状では、IT化は後継者が旗を振りやすい分野です。

しかし、ITを導入することは、業務のフローを変えることでもあります。従業員の立場から言えば、慣れ親しんできた仕事のやり方を変えられてしまうことには抵抗を感じるでしょう。しかし、経営者が変わる事業承継は、仕事のやり方を変えることを受け入れてもらえやすいタイミングでもあります。新しいやり方や仕組みを作っていくという大義名分があるからです。そのために、従業員の皆さんも説得しやすいのです。

事業承継をIT化推進のタイミングと捉え、支援企業の体力に合わせた提案をしていくことで、当社ならではの強みを発揮しています。

― 山口さんは、面白いタイトルの書籍を出版されていますよね。

『ガンダムに学ぶ経営学』『ドラクエができれば経営がわかる』

『ガンダムに学ぶ経営学』と、『ドラクエができれば経営がわかる』の2冊です。ガンダムとドラクエと言えば、後継者の多いアラフォー世代の多くの方々が夢中になったアニメとゲームですね。この2冊は、取っつきにくい経営の用語や仕組みを、この世界観に登場する事件や人物に置き換えることで、わかりやすく解説しています。

わかりづらいものを、誰にもわかりやすく説明することが、私の使命だと思っています。事業承継支援の分野でも、この使命を果たしていきたいと思っています。

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【参考】

※中小企業の円滑な事業承継を支援するための施策等が案内されています。

山口 亨(やまぐち すすむ)
愛知県一宮市出身。中小企業診断士。システム開発会社でネットワーク管理者、プログラマ、SEと技術現場を経験し、ワーキングホリデーで渡豪。帰国後は、外資系企業でITマネジャーとして日本法人のIT化全般をマネジメント。2009年4月に独立し、東京商工会議所を中心に、中小企業の経営改善現場で活躍。特に、無料ツールを活用したITインフラ構築や販売促進支援(Web制作やFacebook、Twitter活用など)に定評がある。検索エンジン対策・Webマーケティングを通じ、開業支援からホームページ制作までを支援している。得意のIT化支援のコンサルティングのほか、創業支援ではクライアントの潜在ニーズを引出し、思いを事業計画書という形にすることを得意とする。創業支援相談員として、2年間で100件以上の商店、企業の事業計画書作成を支援している。2011年より事業承継センター株式会社の立ち上げに参画し、取締役CIOとして、事業承継の分野に自身の社会的使命を見出す。そのほか、講演(インターネット関連、販売促進、創業関連など)、執筆(「ガンダムに学ぶ経営学」、「ドラクエができれば経営がわかる」)など幅広く活動している。

E-MAIL syamaguchi@jigyousyoukei.co.jp

会社名 事業承継センター株式会社
設立 2011年12月
所在地 東京都豊島区北大塚2-3-12-702
ホームページ http://www.jigyousyoukei.co.jp
E-MAIL info@jigyousyoukei.co.jp
TEL 03-6903-7186
FAX 03-6903-7271