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活躍中の独立診断士へインタビュー

最前線の診断士

事業承継支援のために中小企業診断士4名が手を組んだ「事業承継センター株式会社」

取材・文:大石 幸紀(中小企業診断士)

【第2回】事業承継センター株式会社設立の経緯と活動内容[2]

取材日:2013年1月12日

見える化の力で事業承継に貢献

― 続いて、取締役の東條裕一さんにお話をうかがいます。東條さんが中小企業診断士になられた経緯を教えてください。

東條裕一さん
取締役の東條裕一さん

独立する前は、損害保険会社の営業職でした。金融業界の一員ではありましたが、当時の私は、世の中の一部しか知らない会社員でした。もう少し、世の中や企業のことを知らないと将来も不安だなぁ、といった思いで、診断士資格の勉強を始めました。

勉強をしていた当時は鹿児島にいて、一番近い資格の学校が福岡でしたので、土曜日の夜行バスで福岡に向かい、1日勉強しては鹿児島に戻ってくる、といった生活を送っていました。そんな中、当時の勉強仲間の何気ないひと言が、私の人生に大きな影響を与えます。「君なら、独立してもやっていけるかもね」。何の根拠があったのかはわかりませんが、そのひと言で私は、すっかりその気になってしまいました。

試験勉強をしながら、中小企業大学校も受験して合格し、大学校に入るために退社します。東京の大学校でしたので、小学4年生と1年生の子どもを連れて引っ越し、大学校に通い始めます。もちろん、1年間は無収入ですから、貯金を切り崩して家族4人で食いつなぎました。ある意味、無謀だったかもしれませんが、「中小企業診断士として独立する」という思いがありましたから、大学校で企業診断を学べば、独立したときにスタートダッシュをかけられるのでは、という計算もありました。

― 大学校卒業後、すぐに中小企業診断士として活動されたそうですが、どのようなコンサルティングを提供されているのですか。

現在は、中小企業の営業力強化支援を提供しています。成果の出る営業プロセスを見える化し、個人の経験や勘、センスに頼るのでなく、一定の手法を踏めば、新人でも一定レベルまで成果を出せる。そんな営業の仕組みづくりを、支援企業の事業モデルに合わせて行います。さまざまな形のツールを作り、営業力強化のコンサルティングを提供しています。

― 営業支援を行っている東條さんが、事業承継センターに参加された理由を教えてください。

内藤さんに事業承継センターに誘われたときには、自分の事業領域の中に事業承継はありませんでした。私が普段行っている営業プロセスの見える化や仕組みづくり支援と事業承継とでは、乖離を感じていました。ただ、内藤さんと話をしていると、自分が得意とする見える化、仕組み化のノウハウが、事業承継を円滑に進めるうえで貢献できるのではないかと思えてきました。経営の承継において、会社の状況や儲けの仕組み、組織の仕組みを見える化し、ビジネスモデルを明確化しておくことで、経営者から後継者への引き継ぎが容易になるのではないか。そこが、自分の貢献できることではないかと気づいたのです。

後継者塾の塾頭として

― 事業承継センターでは、どのような役割を担っているのでしょうか。

東條裕一さん
後継者塾の塾頭を務める東條さん

現在、後継者塾の塾頭を任されています。後継者塾のカリキュラムの設計も、私が担当しています。1期目の後継者塾は、それぞれのメンバーが持っていた研修コンテンツをつなぎ合わせたものでした。それを毎回、皆で意見を出し合って改善し、2期目はその改善点を反映してコンテンツを作成しました。

2期目のテーマの中心には、私が貢献できる「事業の見える化」を置きました。「1年間かけて、自分の会社を見える化しましょう」というのが塾のコンセプトです。10回の講義で、このテーマに沿った課題を、受講生である後継者に実践してもらいます。

― 後継者塾は、どのように進められていくのでしょうか。

毎回、最初に講義をしてから、ケーススタディに取り組んでもらいます。ケーススタディを読み込み、個人ではなく、グループで話し合いながら答えを導き出してもらい、グループごとに発表してアウトプットしてもらいます。最後に、必ず宿題を出します。「今日学んだ手法を使って、自分の会社を見える化してきましょう」という課題です。

ある回では、自社の考え方や、これから代表取締役としてどのような役割を担わなければならないのかを見える化してもらいました。またある回では、自社で管理している数値にはどのようなものがあるのか、またなぜ、その数値を大切にしているのか、さらには、これから押さえないといけない数値は何かを見える化してもらいました。

課題を出した翌月の回では、グループでその課題を発表し合い、ディスカッションをしてもらいます。後継者が自分たちで考え、アウトプットして、仲間から評価され、自分たちで気づきを得て、自社に持ち帰る。私たち講師もコメントしますが、同じ後継者からの反応を得ることが、より重要だと思っています。このサイクルは、こだわりを持ってやっています。

また毎回、課題図書を出し、月に1冊のペースで読んできてもらっています。さらに年に1回、合宿も行います。ビジネスゲームなどを行いますが、それよりも皆、夜を徹して語り合うことに価値があるように思います。

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(つづく)

【参考】

※中小企業の円滑な事業承継を支援するための施策等が案内されています。

金子 一徳(かねこ かずのり)
青森県弘前市出身。大学卒業後、ベンチャーキャピタル、コンサルティング会社に在職中、中小企業診断士/FP技能士1級を取得し、2003年(株)プリンシパル・ステアを開業。財務ファイナンス専門のコンサルティング支援を行うかたわら、横浜企業経営支援財団でマネジャー、川崎市産業振興財団でマネジャー/理事を歴任し、現在は東京商工会議所でコーディネーターおよび経済産業省の中小企業支援ネットワークアドバイザーとして活躍。そのほか、ベンチャー企業の社外取締役、社外監査役を兼務する。2011年事業承継センター株式会社を設立し、取締役副社長に就任。事業承継専門のコンサルティング活動を開始し、年間200件以上の経営相談に乗っている。

執筆・講演 日刊工業新聞「貸し渋りに勝つ資金調達」、「公的機関をフル活用せよ」など連載多数。関東学院大学/横浜市立大学/産業能率大学講師を歴任し、「株式公開塾」(横浜市)の企画運営で全28回、延べ1,000人以上の経営者を輩出、「後継者塾」では後継者向けのディスカション形式の勉強会を月1回開催し、今年3期目を迎える。「いちばん優しい事業承継の本」を共同で執筆。
E-MAIL kkaneko@jigyousyoukei.co.jp

東條 裕一(とうじょう ゆういち)
明治学院大学経済学部経済学科卒業後、損害保険会社に入社。在籍16年中14年が営業職で、日本全国を転々とする。平成14年中小企業大学校に入学。平成15年に卒業し、同年4月独立。現在は主に、営業力強化、営業の見える化を中心とした中小企業のコンサルティングに従事。東京商工会議所の中小企業相談センターでコーディネーターを務める。事業承継センター株式会社では、事業の見える化をテーマに、事業承継のソフトの部分に関する課題解決を支援。同社主催の後継者塾では塾頭を任され、「とことん自社を知る」をミッションとして、後継者である塾生が、先代の考えや会社の歴史、自社の顧客や競合などを見える化する研修を提供している。

執筆・講演 日刊工業新聞「売れ残りより品切れが損失大」、「「サービス業にもセル生産方式」など。多摩信用金庫BOBセミナー「自社の強みを探せ」、「営業の仕組化」、「ファックスDMとトークスクリプト」と営業3ツールを定期講演。
E-MAIL ytojyo@jigyousyoukei.co.jp

会社名 事業承継センター株式会社
設立 2011年12月
所在地 東京都豊島区北大塚2-3-12-702
ホームページ http://www.jigyousyoukei.co.jp
E-MAIL info@jigyousyoukei.co.jp
TEL 03-6903-7186
FAX 03-6903-7271