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事業承継支援のために中小企業診断士4名が手を組んだ「事業承継センター株式会社」

取材・文:大石 幸紀(中小企業診断士)

【第2回】事業承継センター株式会社設立の経緯と活動内容[1]

取材日:2013年1月12日

このシリーズでは、4人の中小企業診断士が手を組んで設立した事業承継センターの、設立の経緯や活動内容をお伝えしています。第2回は、副社長の金子一徳さんと、取締役で後継者塾塾頭を務める東條裕一さんにお話をうかがいます。

15年前から事業承継の研究を

― 続いて、副社長の金子一徳さんにうかがいます。金子さんが中小企業診断士になられた経緯を教えてください。

金子一徳さん
副社長の金子一徳さん

私は学生の頃、医者になる夢を持っていました。ところが、大学受験に失敗し、浪人時代を過ごすことを余儀なくされます。しかし、この頃に、中小企業診断士の存在を知ったことが私の進路を変えました。大学を卒業してコンサルティング会社に入り、診断士資格を取得してから30歳で独立、40歳で事業を始め、50歳で引退しよう、そんなライフプランを立てたのです。

それからは、理系から文系に変更して大学に入学し、就職先には東京中小企業投資育成株式会社というベンチャーキャピタルを選びました。この会社で中小企業経営者と接するうちに、彼らの多くが事業承継や相続について悩みを抱えていることを知ります。事業承継を支援するコンサルタントになれば、きっと多くの方から必要とされるだろうと気づき、15年以上も前から税制や法律を勉強してきました。

― では、独立してすぐに事業承継の支援に取り組まれたのですね。

独立してすぐに事業承継支援をやりたかったのですが、世の中はまだ、事業承継よりも、いかに売上を拡大するか、経営を改善するかというテーマが主題で、ニーズがほとんどなかったのです。そこで、依頼が多かった企業の財務強化やファイナンス、株式公開支援を中心にコンサルティングをしていました。そんな中、独立して5年くらい経った頃でしたか、内藤さんと東京商工会議所で出会います。初めて会ったときに、「何て懐が深くて、あったかい人なんだろう」と思ったのを記憶しています。意気投合して、この人となら自分の15年来の事業構想を実現できると確信しました。こうして、内藤さんとの出会いが事業承継センター設立のきっかけになるのですが、出会いから会社を立ち上げるまでには、さらに2年ほどを要することになります。

― それはなぜでしょうか。

独立して以来、専門家が共同で事業を立ち上げるのを数多く見てきました。しかし、ほとんどは個人の集まりで、ネットワークを使って仕事をするというレベルにとどまっており、いつの間にか消滅したり、仕事の進め方やお金の問題で揉めたり、という話をよく聞きました。私たちは、そのようなことは避けたかったのです。事業を一緒にやるなら、メンバーの思いや理念を統一し、会社としてどうするのがベストか、というスタンスで皆が行動できる、そんな組織にしたかった。常にワンフォアオール、オールフォアワンで、メインになることもあればサブにもなる、といった会社にしたかったため、メンバーの選定と話し合いにとことん時間を要し、気づいたら2年経っていたというのが実態です。でも振り返ってみると、時間をかけて良かったと思います。いまのメンバーは、それぞれがお互いの持っていないところを持っている、最高のメンバーです。

ある統計によると、現在は年間29万社程度が廃業していて、7万社は、後継者がいないなど事業承継に失敗したことが理由と言われています。その7万社のうち、私たちの力で5千社でも1万社でも廃業を避け、社会の経済的な損失を減らすことに貢献したいというのが、事業承継センターの経営理念です。

真の意味での事業承継支援のエキスパートは、まだ存在しない

― 金子さんが15年間描いてきた、事業承継支援のエキスパートになる夢は実現したのでしょうか。

金子一徳さん
塾生に戦略の大切さを説く金子さん

この国には、まだ真の意味での事業承継支援のエキスパートは、存在しないのではないかと思っています。事業承継支援の領域はこれまで、ほぼ会計士や税理士の方々が担ってきました。しかし、この方々の事業承継に対するアプローチは、節税と納税資金対策が中心だったのではないのでしょうか。

私たちは、ブランド、儲かる仕組み、ビジネスモデル、会社の歴史など、文字どおり会社そのものを、次の世代に引き継ぐことに焦点を定めます。私は、企業の中には2種類の人間しか存在しないと思っています。経営者か、そうでないかの2種類です。両者の責任感、リスク、影響の大きさ、言動の重みはまったく違います。経営者のすごみはそこからきていて、事業承継とは、そのすごみを引き継ぐことです。このすごみの引き継ぎの支援は、まだ誰もできていないのではないでしょうか。

経営を後継者に引き継がせる。その過程にはもちろん、税務や資金対策、法務などが出てきます。しかし、それはあくまで手段にすぎません。私たちの事業承継支援はもちろん、税理士や弁護士の協力を得て進めることもありますが、中小企業診断士が支援の先頭に立ち、全体プランを作ってから、部分部分で各専門家の力をすり合わせてつなげていきます。これこそが、中小企業に本当に求められている事業承継支援だと思います。私は、事業承継支援はどうあるべきかを、15年間追い求めてきましたし、これからも追い続けることでしょう。この事業承継センターで、事業承継支援のエキスパートのあるべき真の姿を完成させたいのです。

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【参考】

※中小企業の円滑な事業承継を支援するための施策等が案内されています。

金子 一徳(かねこ かずのり)
青森県弘前市出身。大学卒業後、ベンチャーキャピタル、コンサルティング会社に在職中、中小企業診断士/FP技能士1級を取得し、2003年(株)プリンシパル・ステアを開業。財務ファイナンス専門のコンサルティング支援を行うかたわら、横浜企業経営支援財団でマネジャー、川崎市産業振興財団でマネジャー/理事を歴任し、現在は東京商工会議所でコーディネーターおよび経済産業省の中小企業支援ネットワークアドバイザーとして活躍。そのほか、ベンチャー企業の社外取締役、社外監査役を兼務する。2011年事業承継センター株式会社を設立し、取締役副社長に就任。事業承継専門のコンサルティング活動を開始し、年間200件以上の経営相談に乗っている。

執筆・講演 日刊工業新聞「貸し渋りに勝つ資金調達」、「公的機関をフル活用せよ」など連載多数。関東学院大学/横浜市立大学/産業能率大学講師を歴任し、「株式公開塾」(横浜市)の企画運営で全28回、延べ1,000人以上の経営者を輩出、「後継者塾」では後継者向けのディスカション形式の勉強会を月1回開催し、今年3期目を迎える。「いちばん優しい事業承継の本」を共同で執筆。
E-MAIL kkaneko@jigyousyoukei.co.jp

東條 裕一(とうじょう ゆういち)
明治学院大学経済学部経済学科卒業後、損害保険会社に入社。在籍16年中14年が営業職で、日本全国を転々とする。平成14年中小企業大学校に入学。平成15年に卒業し、同年4月独立。現在は主に、営業力強化、営業の見える化を中心とした中小企業のコンサルティングに従事。東京商工会議所の中小企業相談センターでコーディネーターを務める。事業承継センター株式会社では、事業の見える化をテーマに、事業承継のソフトの部分に関する課題解決を支援。同社主催の後継者塾では塾頭を任され、「とことん自社を知る」をミッションとして、後継者である塾生が、先代の考えや会社の歴史、自社の顧客や競合などを見える化する研修を提供している。

執筆・講演 日刊工業新聞「売れ残りより品切れが損失大」、「「サービス業にもセル生産方式」など。多摩信用金庫BOBセミナー「自社の強みを探せ」、「営業の仕組化」、「ファックスDMとトークスクリプト」と営業3ツールを定期講演。
E-MAIL ytojyo@jigyousyoukei.co.jp

会社名 事業承継センター株式会社
設立 2011年12月
所在地 東京都豊島区北大塚2-3-12-702
ホームページ http://www.jigyousyoukei.co.jp
E-MAIL info@jigyousyoukei.co.jp
TEL 03-6903-7186
FAX 03-6903-7271