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中小企業診断士の広場

活躍中の独立診断士へインタビュー

最前線の診断士

開発途上国の中小企業振興支援に挑む

文:吉村 守(中小企業診断士)

【第3回】中小企業診断士の役割は、海外でも日本でも「触媒」[2]

MINPMEESA職員の変化

ラウンドトリップ以降に起きたKey Manの変化

前述のラウンドトリップでは、まずパイロット拠点の構想についてMINPMEESAのKey Man(若手職員)から説明してもらい、質問や意見に答えるというスタイルをとりました。私も参考になりそうな日本の事例や考え方を適宜説明し、彼をサポートしました。

このラウンドトリップを通して、彼は明らかに高いモチベーションを示すようになりました。例を挙げると、このトリップの後に行ったMINPMEESAのタスクチーム全体ミーティングで、「私は、自分のプロフェッショナリズムから自発的にこのトリップに参加した」と、精神的に他の人たちをリードする発言をしたり、ヤウンデの中小企業支援トライアル(経営診断と改善支援)の切り盛りを一手に引き受けたり、「中小企業支援トライアルに、英語圏で起業家スピリットの強いバメンダも追加したい」という私の意見に私以上の意欲で同意し、バメンダの支所長との調整を一気に進めるなど、目に見える変化が起きています。これは私見ですが、中小企業診断士の一番大切な役割は、日本でも海外でも人や組織を活性化させる「触媒」の機能だと思います。

最近、さらに嬉しいことが起きつつあります。カウンターパートのトップ(中小企業局長)が、「私もヤウンデやバメンダの中小企業支援トライアルに行きたい」と言い始めたのです。これは、日本的なボトムアップの変化で、とても良い兆候です。

今後の課題

モチベーションの維持・発展と、関係機関との連携強化

中小企業、MINPMEESA支所の皆さんと(バメンダ)
中小企業、MINPMEESA
支所の皆さんと(バメンダ)

こうした、カウンターパートの目に見える変化に感動しながら、私はMINPMEESAの皆とともに、経営診断・改善支援を1社あたり4~5回の日程で実施しています。支援トライアルの対象に選定した企業からは、「2週間おきでは足りない。毎週来てほしい」といった要望や、「自社のコア部分をすべて見せるから、改善のアドバイスをしてほしい」といったコメントをいただいています。時間の限られた中での活動ですので、満足のいく内容を提供できるかどうか不安もありますが、120%頑張るつもりです。

また、一緒に現場で経営診断を学んでいるMINPMEESAの人からは、「スタディセッションで教えてもらったことが現場で体験でき、とても良くわかる」といった感想をもらっています。この支援トライアルを通じての成果は、オープンセミナーの形で、関連機関の人たちや、できればMINPMEESAの大臣にもプレゼンしたいと考えています。

私はこのセミナーが、関連機関や中小企業自身が、カメルーンの中小企業振興に果たす役割を考える場になることを願っており、MINPMEESAの仲間たちとこの計画を確実に実現できるよう、挑戦を続けていきます。また、日本的な経営改善の手法・精神の移転を試行しながら、カメルーンに適した中小企業振興支援のあり方を分析し、将来への布石を打っていきたいと思っています。

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(おわり)

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吉村 守(よしむら まもる)
1980年京都大学工学部卒業。大手メーカーで複写機用現像剤の開発・生産技術・製造・工場立上げ等、ものづくりを実践し、技術開発部門で戦略策定、予算管理、組織向上活動の企画等を経験する一方、在職中の1994年に診断士資格を取得。その後、プラスチック部品製造会社の製造部長、建設機械部品製造会社の営業部長等を経て、2009年に中小企業診断士として独立。国内中小企業の事業再生、新製品開発、経営革新等の各種支援・診断実績を持つ。アジア・東欧・南米・アフリカ等、開発途上国の中小企業振興支援活動に従事。著書に『ものづくり式経営革新の手法―企業が元気になるヒントを再点検』(労働調査会)。一般社団法人群馬県中小企業診断士協会、(株)ワールド・ビジネス・アソシエイツ所属。趣味は、NHKのど自慢の予選挑戦。