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開発途上国の中小企業振興支援に挑む

文:吉村 守(中小企業診断士)

【第2回】カメルーンに対する日本の中小企業振興支援の特徴[1]

現在、私は国際協力機構(JICA)の派遣専門家として、カメルーンで中小企業振興政策を支援するアドバイザー業務に従事しています。
2回目のレポートとなる今回は、本支援活動の特徴をご説明します。

目指すは、中小企業・社会経済・手工業省(MINPMEESA)職員のキャパシティ・ディベロップメント

活動の歴史

イマブル・ローゼ
MINPMEESAが入っているイマブル・
ローゼ(「ピンク色の建物」の意味)

カメルーンは、2003年に「貧困削減戦略書」、2009年には経済成長と雇用のための戦略文書を策定し、貧困削減と経済成長を促進させるための開発計画を推し進めています。中小企業・手工業セクターの発展は、産業の多様化、民間セクターの活性化、および人的資源の確保・強化の視点から、最重要課題とされています。

この中小企業振興の諸課題に対応するため、2004年に中小企業・社会経済・手工業省(MINPMEESA)が設立されました。

MINPMEESAの創成期においてJICAは、「カメルーン国中小企業振興マスタープラン策定調査」を実施し、カメルーン政府に対して同国の現状を分析したうえで、中小企業政策・施策、同政策・施策のための実施体制等を提言しました。その提言を受けてカメルーン政府は、同マスタープランの実施支援をわが国に要請し、JICAは2010年1月から、「中小企業振興政策支援アドバイザー専門家」の派遣を開始しました。派遣された(前任の)専門家は、中小企業基本法の策定支援やMINPMEESA職員の知識向上のためのワークショップ実施、中小企業振興に関連するカメルーン国内諸機関の連携促進のためのセミナー開催等を行いました。

活動の目的

前任専門家の後を引き継いだ私は、MINPMEESAに派遣され、重要課題についてMINPMEESA職員を対象とした勉強会の開催、また、それらの知識を活かした形での政策実施につながるような、職員の業務遂行能力強化等の活動を進めています。

支援の特徴

ワン・ストップ・ショップ
ワン・ストップ・ショップ(ドゥアラ)

私は渡航前に、「MINPMEESAは、ワン・ストップ・ショップ(起業の手続きを1ヵ所で短期間に行えるシステム)の設立等の中小企業振興支援活動を行ってきたが、その他さまざまな振興支援のアイデアを持ちながらも、具体的な振興支援策を実行に移せていない」という情報を得ていました。また、彼らの多くが教員から採用されており、中小企業振興に関する知識や経験も限られているといった状況も知りました。

そこで、具体的な中小企業支援の現場を、彼らが自身の目で見ていないのではないか、また具体的にどう支援したらよいのかがイメージできていないのではないかとの仮説を立てました。実際に現地に入ってみると、この仮説はほぼ当たっていました。

私が「実際に中小企業を訪ねて、経営診断や改善の支援をやってみましょう!」と提案した際、担当者の1人が、「私たちはいままで、中小企業に役立つことが十分にできていない。だから、実際に中小企業を訪ねるのはつらい」とつぶやきました。

この言葉が、彼らの現状を物語っていました。これらの体験を通じて、私はJICAカメルーン事務所の皆さんに相談する中で、MINPMEESAの皆とともに、具体的な中小企業支援活動のトライアルを行って効果を出し、中小企業振興支援の喜びや重要性を体験してもらうことが一番大切と考えました。そこで、第1次派遣期間はPDCAサイクルの「P(計画)づくり」に重点を置きましたが、第2次派遣期間からは「現場・現実を知り、具体的な支援を試行して彼らの意識を高めること」に重点を置くことにしました。

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【参考】

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吉村 守(よしむら まもる)
1980年京都大学工学部卒業。大手メーカーで複写機用現像剤の開発・生産技術・製造・工場立上げ等、ものづくりを実践し、技術開発部門で戦略策定、予算管理、組織向上活動の企画等を経験する一方、在職中の1994年に診断士資格を取得。その後、プラスチック部品製造会社の製造部長、建設機械部品製造会社の営業部長等を経て、2009年に中小企業診断士として独立。国内中小企業の事業再生、新製品開発、経営革新等の各種支援・診断実績を持つ。アジア・東欧・南米・アフリカ等、開発途上国の中小企業振興支援活動に従事。著書に『ものづくり式経営革新の手法―企業が元気になるヒントを再点検』(労働調査会)。一般社団法人群馬県中小企業診断士協会、(株)ワールド・ビジネス・アソシエイツ所属。趣味は、NHKのど自慢の予選挑戦。