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活躍中の独立診断士へインタビュー

最前線の診断士

有限会社ネットワーク経営研究所代表取締役 山本哲史さん/経営コンサルタントを脱皮し、事業家としてチャレンジする

取材・文:鈴木 佳文(中小企業診断士)

【第3回】事業家としてライフプランを設計する

取材日:2012年2月10日

経営コンサルタントとしての旬を過ぎるまでに、新たなステージに移行したいという山本さん。これまでの活動で培った経験をもとに、事業家としての道を歩もうとしています。最前線で活躍する中小企業診断士の皆さんから、「事業をしたい」という話を聞くことも多いのですが、何か通ずるところがあるのかもしれません。山本さんが事業家になろうと考えたきっかけや、困難に立ち向かう原動力をお聞きしました。

経営者としての実感がほしい

― 今後の展望をお聞かせください。


指導風景

中小企業経営診断シンポジウムで発表した「障がい者授産施設の元気化事例~プロジェクト推進による工賃向上の実現」にかかわる中で、これまでのコンサルティング経験がすべて活用できるだけでなく、実際に組織を動かす醍醐味や苦労も味わいました。過去の仕事の場面でも同じような経験はしてきましたが、不思議と今回だけは違った印象があったんです。経営コンサルタントとしてサポートするのはもちろんですが、これまで、ある部分では実体験なしでアドバイスしていたことに物足りなさを感じています。今後は、自分自身が事業家として活動していきたいと考えています。10年後くらいまでに、事業家としての自分を見据えたライフプランを描き切りたいですね。

― どのような事業を立ち上げられる予定なのですか。

1つは、墓掃除代行の仕事を全国の障がい者の方々に担っていただく事業です。これまでは、新しい事業をやるにしても授産施設単位が多かったのですが、私たちでやりがいのある仕事、稼げる仕組みそのものをつくって提供することで、全国的なネットワークとして広げていきたいと考えています。まずは、手を挙げてくれる授産施設から成功事例をどんどん生み出し、最終的にはブランド化までしていきたいですね。

― 面白そうですね。中小企業診断士としては、どのような点にかかわるのですか。

とにかく仕事の仕組みと働く場をつくれば、障がい者の方たちはとても丁寧に、熱心に仕事をしてくださいます。もともと清掃をしている授産施設はありましたが、「墓掃除」というジャンルはあまりなかった。こうしたやりがいのある、稼げる領域を見つけていくのは、私たちの仕事です。また、集客や顧客管理といった考え方を導入して仕組みをつくっていくのも、私たちの役割でしょう。

― ほかには、どのような事業を立ち上げられるのですか。

大学生向けの就職支援の一貫として、「グローバルリーダー検定」を実施し、真の国際人として通用する人材を送り出す事業を行う予定で、現在、友人とともに着々と準備を進めています。いまのグローバル教育は、英語等の語学に偏りがちなので、言語だけでなく、さまざまな国の文化や教養、さらにはビジネスリーダースキル等にも目を向けたプログラムをつくり、サービスを提供していく予定です。

また、自身の経験をベースとして、社会起業家育成のための事業化も企画しています。これまで取り組んでこなかった社会的課題をビジネスとして捉え、どのように解決していくのか、NPOを代表とする新しい思想や手法を取り入れた「起業」の姿を追求していきたいと考えています。

家族と地域の幸せのために

― すごいパワーですね。経営コンサルタントや講師としての活動も行いながら、ここまで取り組める原動力は何なのでしょうか。

山本哲史さん
墓掃除代行の模様

ひと言で言えば、「息子のため」ですね。障がい者の息子のために、働く場をつくっておきたい。最終的には、息子が役員を務めるような組織をつくりたいというのが夢です。

障がい者のためのサービスを行う組織の経営陣に、当事者として障がい者がかかわっていないのはおかしいですよね。単に雇用関係ではなく、障がい者の運営する組織がもっとたくさんあってよいと思います。

― それは強い動機ですね。事業家としての地位を確立されたら、経営コンサルタントとしてはどうされますか。

経営コンサルタントは、一生続けたいと思っています。しかし、年をとれば頭の回転は悪くなるし、体の無理も利かなくなる。活動できる範囲が狭まってしまいますから、それまでに事業をいくつか起こして、少しずつでも収益が入ってくる仕組みをつくっておきたいですね。そうなれば、経営コンサルタントとしても、事業を立ち上げたノウハウにこれまでの経験を加えて、より深みのあるアドバイスができるようになっていると思います。

― まずは、墓掃除代行事業の成功でしょうか。

そうですね。やはり、東京都から来た私たちを受け入れてくれた地域に恩返しがしたいし、元気になってほしい。墓掃除代行事業が全国ネットワークになっても、発祥地は山口県です。そのためにも、この事業の成功例をたくさんつくっていきたいですね。あと、近い将来には、東京都と山口県の両方にきちんとしたオフィスを構えたいと思います。

― 墓掃除代行事業の全国展開が楽しみですね。私もぜひ、利用したいと思います。本日はありがとうございました。

取材を終えて

授産施設の工賃アップを支援している中小企業診断士は多くいますが、自身で事業の仕組みをつくり、立ち上げていく方は、まだまだ少数です。文字数の都合上、記事からは省いた会話も多いのですが、お話を聞いているだけで事業の収益構造や運営の仕組みが見えてきて、これでいけそうだと感じました。ご子息の活躍する場をつくっていきたいという熱い思いはもちろんですが、これまでのコンサル経験で培った「仕組みづくり」のノウハウが活きているのでしょう。さすがに、資格登録20年のベテランだけあり、「運」を語るにも重みがあります。「紹介を断らない」、「自分のできることに全力を尽くす」ということは、自分自身もあらためて振り返りたいと思いました。

(おわり)

【執筆者おススメのJ-Net21コンテンツ】

中小企業診断士の大切な役割として、公的な支援制度を中小企業に利用していただく橋渡しをすることがあります。ここをチェックしていると、タイムリーに支援情報を入手可能です。たとえば、今回の記事に出てきた「6次産業」で検索すると、次のような調査データが見つかります。

プロフィール・会社概要

山本 哲史(やまもと てつし)
1960年山口県生まれ。関西学院大学経済学部卒業。製造業で営業、システム開発関係業務、金融業で営業、営業管理に従事後、経営コンサルタントとして独立開業。平成12年、有限会社ネットワーク経営研究所を東京都内に設立し、同社代表取締役に就任。中小企業診断士(平成5年情報部門登録)。IT、戦略展開による経営革新を専門に活動後、人材開発系にシフトし、人材力強化を主眼に各種の経営革新指導を行う。特定非営利活動法人社会起業ネットワーク理事長、一般社団法人グローバルリーダー協会専務理事。専門分野は、経営戦略/事業戦略構築支援、マーケティング戦略/営業・事業展開支援、戦略的IT利活用構築支援、次世代リーダー・マネジャー・後継者・起業家育成等人材育成支援。一人ひとりに親身に指導、アドバイス、育成を行うことにこだわる。平成22年からは、障がい者授産施設の現場改善に、父親としての経験を活かした「工賃向上診断士」として取り組む。また、新規事業開発や創業支援にも積極的に取り組み、コンサルタントとしてだけでなく、事業家としての活動も開始している。

一般社団法人グローバルリーダー協会

墓掃除代行全国ネットワーク事業「まもり隊」
(平成24年5月11日 ホームページ(http://www.hakasouji.jp/) オープン予定)
(平成24年6月21日 お披露目会イベント開催予定)

会社名 有限会社ネットワーク経営研究所
設立 2000年6月1日
代表取締役 山本哲史
所在地 東京オフィス 東京都港区浜松町1-10-13福岡ビル3F
山口オフィス 山口市小郡上郷1232-45
ホームページ http://www.nwkeiei.jp/