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活躍中の独立診断士へインタビュー

最前線の診断士

有限会社ネットワーク経営研究所代表取締役 山本哲史さん/経営コンサルタントを脱皮し、事業家としてチャレンジする

取材・文:鈴木 佳文(中小企業診断士)

【第1回】 誤算がメリハリにつながった2拠点体制

取材日:2012年2月10日

5年ほど前から、山口県と東京都の両方に拠点を置いて活動している山本哲史さん。2011年の中小企業経営診断シンポジウムの論文発表では、「障がい者授産施設の元気化事例~プロジェクト推進による工賃向上の実現」で日刊工業新聞社賞を受賞しました。順風満帆にも見えますが、仕事量は東京都だけを拠点にしていたときの半分以下に。それでも、現在の2拠点体制を楽しむ「中小企業診断士としての働き方」についてうかがいました。

拠点を山口県に移した際の誤算

― 山口県と東京都、2つの拠点で活動されていますが、現状を教えてください。

山本哲史さん
シンポジウムでの発表

私は、5年ほど前に山口県に移り住みました。知的障がいのある息子の将来を考え、自然環境のよい場所を選んだのですが、自分のことはあまり深く検討したわけではありません。山口県に行っても、問題なく仕事は続くだろうと楽観的に考えていたんですね。でも、現実は甘くなかった。確実に仕事量は減りましたね。

― 具体的にどれくらい減ったか、教えていただいてもよろしいですか。

年収ベースで半分以下、いやさらに下回る程度です。過去に経験したことのない、役員無報酬の時期も多々ありましたが、そうした中でも、6次産業化に興味があったので、実際に農業研修を受け、畑を耕して自給自足の生活を目指したりしていました(笑)。

― 自給自足もいいですね。

ただ、さすがにこれではいけないと感じ始め、東京都と山口県の両方で活動することにしました。

― やはり、地方だと仕事は少ないのですか。

地方だからということではなく、人脈がつくれていないことが大きな要因です。仕事は人が運んでくるもの、と私は考えています。東京都で実績を積んできたというつまらないプライドも、邪魔をしていたのでしょうね。地域でのネットワークがなかなか築けなかった。最近になってようやく、自分から殻を破って地域とお付き合いする中で、少しずつ関係ができてきました。IターンなりUターンなり、地方で仕事をしようとする方のために少しお話をしておくと、新しいネットワークをつくるのには、数年という時間がかかると思っておいたほうがよいです。私も、これから方向性を考えるところですから。

― 東京都で受注して、地方で活動するという動きもありそうですが。

移動してしまうと、どうしてもこれまでのお付き合いが減ります。そうすると、自然に紹介等の声がかからなくなり、受注が減ってしまいます。だから、人にもよると思いますが、東京都から移住して地方で活動するのも簡単ではないと思います。また、その逆も同じだと思います。

2拠点になってメリハリができたワーク・ライフ・バランス

― いまは、どのような動き方をされているのですか。

講演風景
講演風景

月のうち、半分は東京都にいることにして、1週間単位で予定を埋めています。たとえば、日曜日に東京都に出て、金曜日に帰るようなスケジュールです。

最初は、仕事のあるときだけ2泊3日で出たりしていました。出張しないときは、息子の関係でボランティアをしたり、農業をしたりしていましたね。ただ、さすがにその状況が続くと苦しいので、いまの形でまとめて仕事をするようにしています。

― 最初は苦しかったのですね。

3~4年は苦しい時期が続きましたが、ようやくこれまでの5年間を棚卸しする時期がきたと思っています。お付き合いする人も出てきて、これから山口県での活動の方向性を決めるところです。いまは、ほとんどが東京都ですからね。山口県では、授産施設支援の仕事等、どちらかと言えばライフワークのようなものが主になっています。

― 中小企業診断士としての働き方というか、バランスのとり方はどうされていますか。

オン・オフで言えば、東京都がオンで「稼ぐ」、山口県がオフで「地域に貢献する」といった形です。もちろん、オフは稼がないと言っているわけではありません。東京都にいると何かと時間を気にしがちですが、地方ではまったく違います。そういう意味で、以前より活動にメリハリができたと感じています。地域によって、生活のリズムから経済のあり方まで違いがありますから、その両方を肌で感じられるのは、今後のコンサルティングにもプラスになります。東京都だけを拠点にしたままでしたら、お金を稼ぐ点ではよかったでしょうが、家族のためにも今後のライフプランのためにも、山口県に移住してよかったと思っています。

(つづく)

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プロフィール・会社概要

山本 哲史(やまもと てつし)
1960年山口県生まれ。関西学院大学経済学部卒業。製造業で営業、システム開発関係業務、金融業で営業、営業管理に従事後、経営コンサルタントとして独立開業。平成12年、有限会社ネットワーク経営研究所を東京都内に設立し、同社代表取締役に就任。中小企業診断士(平成5年情報部門登録)。IT、戦略展開による経営革新を専門に活動後、人材開発系にシフトし、人材力強化を主眼に各種の経営革新指導を行う。特定非営利活動法人社会起業ネットワーク理事長、一般社団法人グローバルリーダー協会専務理事。専門分野は、経営戦略/事業戦略構築支援、マーケティング戦略/営業・事業展開支援、戦略的IT利活用構築支援、次世代リーダー・マネジャー・後継者・起業家育成等人材育成支援。一人ひとりに親身に指導、アドバイス、育成を行うことにこだわる。平成22年からは、障がい者授産施設の現場改善に、父親としての経験を活かした「工賃向上診断士」として取り組む。また、新規事業開発や創業支援にも積極的に取り組み、コンサルタントとしてだけでなく、事業家としての活動も開始している。

会社名 有限会社ネットワーク経営研究所
設立 2000年6月1日
代表取締役 山本哲史
所在地 東京オフィス 東京都港区浜松町1-10-13福岡ビル3F
山口オフィス 山口市小郡上郷1232-45
ホームページ http://www.nwkeiei.jp/