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私たちが中小企業診断士を目指した理由[小売・サービス業編]

取材・文:向後 潤一松元 伸洋(中小企業診断士)

【第2回】中小企業診断士×現場嗅覚で本質的な課題を解決―金井 啓さん

2016年9月29日更新(取材日:2016年8月8日)

「私たちが中小企業診断士を目指した理由」[小売・サービス業編]の第2回は、ルイ・ヴィトンジャパン株式会社に勤務した後に法人設立をされ、独立診断士として活躍中の金井啓さんにお話を伺います。

「日本版MBA」の文字を見て、「これだ!」

―独立以前は、どのような仕事を経験されてきたのですか。

ルイ・ヴィトンジャパン株式会社に新卒で入社し、5年間勤務していました。主に、銀座並木通り店で販売、店舗運営に従事していました。

―なぜ、中小企業診断士を目指されたのでしょうか。

会社ではMBAホルダーをたくさん採用していて、私が勤務していた銀座並木通り店の当時の店長もその1人でした。そのような環境の中、良い刺激を受けると同時に、経営の知識やスキルを持つ必要性を感じたことがきっかけです。

当初は、私もMBAの取得を考えましたが、当時はいまほど国内MBAが盛んではなく、取得するとなるとやはり、海外に行かなければなりません。となると、膨大なコストがかかり、現実的ではない。そこで、代わりになるものはないかと探していたときに、ある予備校のパンフレットに載っていた「中小企業診断士 日本版MBA」という文字を見て、「これだ!」と思い、診断士資格を目指しました。

資格を取得したからこその変化

―診断士試験はストレート合格と伺いましたが、どのように勉強をされたのですか。

1次試験は独学です。予備校が出版しているテキストと問題集を使い、まずはテキストを最初から最後まで、要点にマーカーを引きながら読みました。その次は問題集で、最後に過去問。この流れを1科目ずつ、2サイクル行いました。

つまり、インプットとアウトプットの反復です。特に、インプットには力を入れていましたね。インプットができていなければ、アウトプットは出てきませんから。一方、2次試験は独学では難しいと判断し、予備校に通いました。

―独学は、自己管理やモチベーションの維持が大変だったのではありませんか。

Excelでスケジュール管理と予実管理を行い、それを忠実に実行していました。

また、自分自身のことで言うと、頭を丸坊主にしました。人と会わないためですね(笑)。丸坊主では外出したくないから、遊びにも行かない。そのような状況をあえて作って、モチベーションを高めていました。もちろん、高め方は人それぞれですので、自分なりの方法を見つけて習慣化することが大切だと思います。

あとは、自分に刺さるメッセージを書いたヴィジョンボードを作成し、目標の見える化も行っていました。

―資格を取得されて、どのような変化がありましたか。

最大の変化は、コンサルティングの仕事ができていることですね。私は元々、診断士試験の合否にかかわらず、独立を考えていました。ルイ・ヴィトンジャパンのトップセラーという実績を強みに、販売員研修というコンテンツで起業することが最初のプランでした。当時は、販売のことしか知りませんでしたからね。

しかし、中小企業診断士になったことで、知識やスキルが増えただけでなく、それ以上に人脈に大きな変化がありました。普通の会社員では出会えない方々とのつながりができ、さまざまなチャンスを与えていただきました。そのことが、現在のコンサルティングの仕事にプラスになっていると思います。

ビジネスパーソン必須の"ソフトウェア"

―現在の事業内容を教えてください。

小売・飲食・美容業を対象としたコンサルティングと企業研修が約4割ずつで、そのほかに覆面調査と美容サロンの経営という構成です。コンサルティングにおいては、私がブランドの会社の出身ということもあり、「ブランド価値の向上」をコンセプトとし、店舗経営全般をトータルでサポートしています。

―美容サロンの経営もされているのですね。

コンサルタントは、経営者に対して経営のアドバイスをする職業ですが、「人にアドバイスをしているのだから、自分でもできる」というのが私の考え方です。それを証明したいという思いもあり、美容サロンの経営を始めました。

また、美容関係のコンサルティングも行っていますので、顧客をサポートする際のテストケースとして活用できるという面もあります。

―小売・サービス業界の方は、診断士資格をどのように活かせるとお思いですか。

診断士資格を取得することで、思考の切り口が増えます。たとえば、店舗運営一つをとっても、財務的視点や生産管理的視点など、その過程で学んださまざまな視点から、ロジカルに考える力が身につき、意思決定の幅が広がります。また、モレなくダブりなく、課題を抽出することもできるようになります。

しかし、これだけではただの分析屋です。コンサルタントにはさらに、「本質的課題を見つけること」と「そこに的確な処方箋を打つこと」が求められます。そこで活きてくるのが、業界で培った現場経験による嗅覚です。この嗅覚をかけ合わせることで、抽出した課題の中から本質的に顧客に必要なものを選択し、それに合った的確な処方箋を打つことができるのです。これができるのはその業界出身者だからこそで、畑違いではやはり難しいのではないかと思います。

―最後に、診断士受験生にメッセージをお願いします。

診断士資格取得を「決定」ではなく、「決断」事項にしてほしいですね。「受かったらいいな」ではなく、「受かるまでやる」という覚悟が大事だと思います。

これからは創造性が求められる時代です。創造的な発想は、さまざまな思考の切り口がなければできません。その意味では、診断士資格はこれからのビジネスパーソンにとって必須の"ソフトウェア"とも言えます。これは、自分しだいでいくらでも使い倒すことができる、非常に有効なツールです。ですからぜひ、診断士資格取得を「決断」事項にして試験に取り組み、合格してほしいと思います。

―貴重なお話をありがとうございました。

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プロフィール・会社概要

金井 啓(かない けい)

早稲田大学大学院商学研究科(MBA)修了。ルイ・ヴィトンジャパン株式会社に入社し、銀座並木通り店にて販売および店舗運営に従事する。また、ルイ・ヴィトンジャパン販売コンテスト(SS部門)において全国1位の実績を持つ。2005年に退職、中小企業診断士資格取得後、2007年に店舗経営を専門とするコンサルティング会社・コンセージュジャパン株式会社を設立。店舗経営コンサルタントとして、店舗従業員のサービスレベル向上、店舗オペレーションの改善、マーケティング戦略構築など店舗経営全般をトータルにサポートする。