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私たちが中小企業診断士を目指した理由[製造業編]

取材・文:福島 正人(中小企業診断士)

【第2回】理論を実践につなげる―鍜治田 良さん

取材日:2015年11月3日

私たちが中小企業診断士を目指した理由の製造業編第2回は、大学卒業後、建材メーカーに勤務し、現在は日本生産性本部主任経営コンサルタントとして活躍する鍜治田 良さんにお話を伺います。

努力する才能さえあれば合格できる

―もともと理系のご出身だそうですね。

はい。大学時代は物質を溶かして成分分析をするなど、よく実験をやっていました。卒業後、埼玉県にある中小の建材メーカーに就職し、最初の1年間は商品改良の研究をしていました。建材の変色について研究をしたり、床材の滑りやすさをテストしたりといった仕事です。

入社2年目からは、品質管理やコスト改善をするスタッフ業務になりました。最初は生産ラインの1工程を任されましたが、だんだん増えてきて最後は7工程ほどを任されるようになりました。その頃の仕事が現在の製造業コンサルタントとしての土台になったと思います。

―中小企業診断士を目指されたのはいつ頃でしょうか。

26歳くらいの頃です。目的は転職でした。先輩社員が自動車メーカーに転職するのを見て、自分も外の世界を見たいと思いました。少し転職活動をしてみたのですが、口下手で自分をアピールできない。「転職を有利にするために資格を取ろう!」と資格スクールをのぞいてみたのです。

さまざまなパンフレットを見ている中に診断士資格がありました。講座説明会に行ってみると、「努力する才能さえあれば合格できる」と担当講師から言われ、その言葉でやる気になって中小企業診断士を目指すことにしました。

抽象的なものを具体化し、具体化したものを抽象化する

―診断士試験はストレート合格だったそうですね。

中小企業に勤務していたことが診断士試験の学習に役立ちました。なにせ2次試験の事例問題に出てくる内容が、目の前に現実としてあるわけです。例えば、事例Ⅰの組織人事事例を自分の会社に置き換えて考えてみたりしました。「与件文に書かれている部長は○○部長だな」という感じです。いったん自分の会社に置き換えて考え、事例問題に戻して解答を出す。抽象的なものを具体化して考え、具体化したものを抽象化するようなプロセスです。

財務・会計の問題がわからなかったときは、勤務先の経理担当に尋ねに行きました。そうすると「こういうことだよ」と教えてくれる。単なる教科書での勉強ではなく、理論と実践がつながっていくようなイメージでとても面白く感じました。

―なるほど。理論と実践がつながる、と。

中小企業診断士の学習をしている中で、自社の業務改善のアイデアもひらめきました。「標準部品をコンペ形式にすることで、調達コストを下げることができるな」と。当たり前と言えば当たり前の方法ですが、結果として2億円のコスト削減につながり、勤務先の人からは「斬新だ」と驚かれました。

何のために診断士試験を受けるのか

―現在はどのような活動をされているのですか。

建材メーカーを退職し、日本生産性本部のコンサルタントとして活動しています。仕事の9割がコンサルティングで、残りの1割が研修業務です。コンサルティングは事業再生案件が多いですね。地方のメーカーを中心に現在も6社の再生にかかわっています。
研修は、現場改善や経営戦略をテーマにしたものが多いです。国内だけではなくベトナムや台湾などでのセミナーも行っています。

―製造業の支援をしている中小企業診断士は多いのでしょうか。

製造業支援ができる診断士はまだまだ足りていないと感じています。私自身も仕事の依頼を受けきれない状況ですし、「製造業支援が得意なコンサルタントを紹介してほしい」と依頼を受けても、なかなか見つからなかったりもします。

そこで今年から、製造業向けのプロコンサルタント養成講座を立ち上げました。今後、製造業支援ができる中小企業診断士を少しずつ増やしていきたいと思っています。

―書籍も執筆されているそうですね。

はい。昨年、「現場改善」という書籍を出しました。日本生産性本部のメンバーが執筆した「経営コンサルティング・ノウハウ」シリーズの中の1冊です。製造業などの現場改善の具体的な手法を盛り込みました。

―最後に、中小企業診断士受験生へのメッセージをお願いします。

「何のために診断士試験を受けるのか」を考えることが大切です。資格取得は手段であり、目的ではありません。単なる勉強ではもったいない。「中小企業診断士の学習によって仕事の改善につながった」など、実践につなげることが大切だと思います。そうなれば仕事も学習も面白くなってきます。

特に製造業で働いている方は、中小企業診断士の学習をするとよいと思います。製造業で働いている方は一般的にモノの思考が強い。どのようにしてよいモノを作るか、という思考です。

一方で、中小企業診断士の学習をしていくうちにマーケティングの視点が出てくる。どのようにしてよいものをお客様に伝えていくか、というこれまでにない視点が出てくるわけです。
このように中小企業診断士の学習をすることで視野が広がります。製造業で働いている方はぜひチャレンジしてほしいですね。

<取材を終えて>

2回にわたり製造業出身の中小企業診断士にお話を伺いました。お二人とも中小企業診断士の学習で得た学びを現場での実践につなげていることがわかりました。また、製造業支援ができる中小企業診断士が足りているとは言えず、もっと製造業出身の方が増えてほしいと思っていらっしゃることもわかりました。
IT業界編金融業界編もぜひお読みください。

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プロフィール

鍜治田 良(かじた りょう)

1977年埼玉県生まれ。2000年青山学院大学理工学部卒業後、建材メーカーに入社。2007年中小企業診断士登録。2009年「公益財団法人日本生産性本部経営コンサルタント養成講座」修了後、同本部経営コンサルタントとして各種事業体の診断指導、教育にあたり、現在に至る。主に生産・小売現場のオペレーション改善、メーカーの事業再生に携わる。