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私たちが中小企業診断士を目指した理由[IT業界編]

取材・文:福島 正人(中小企業診断士)

【第2回】経営者を下から支える-小早川渡さん

取材日:2015年5月7日

「私たちが中小企業診断士を目指した理由[IT業界編]」の第2回は、業務パッケージソフトメーカーに12年間勤務した後に独立した小早川渡さん(中小企業診断士)にお話を伺います。

自分は何のプロか

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―大学卒業後、業務パッケージソフトメーカーに就職したそうですね。

はい。大学を卒業し、会計の専門学校へ通った後、業務パッケージソフトメーカーに就職しました。会計や給与計算、販売管理などの業務ソフトを開発、販売している会社です。入社して間もない頃、お客様である中小企業の社長さま方は、商品知識も社会経験も少なかった私に、"ITのプロ"として接してくださいました、それが、私の仕事観を形成した原体験となっています。年齢や経験に関係なく、信頼を寄せてくれた中小企業の社長さま方に恩返しをするために、「この人たちの役に立ちたい! そのために努力しよう!」と決意しました。

―なぜ、中小企業診断士になろうと思ったのですか。

30歳になろうかという頃、あるプロジェクトを任されていた際に、プロとして雇われている経営者やIT技術者の方々と出会い、自分は何のプロとして生きていくのかを真剣に考えさせられる時期がありました。そのときに、中小企業支援をライフワークにすることを、口に出して腹の底から決断したことを覚えています。中小企業から信頼されるプロになるために、業務で身につけたITの分野を越えた経営の知識・経験が必要と考え、診断士資格を取得することにしました。

中小企業診断士を目指して

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―診断士受験勉強は、どのようにされましたか。

1次試験は独学で、市販されている診断士テキストなどを読んで勉強しました。中間目標として、中小企業診断士と試験内容が重なる資格に挑戦し、勉強のペースを作りました。具体的には、経営法務と重なる「ビジネス実務法務検定試験」を受験しました。これは、東京商工会議所が主催している試験です。IT系の資格では、上級システムアドミニストレーターとITコーディネータを取得しました。これは、1次試験の経営情報システムにつながります。

―なるほど。

1次試験合格後は、名古屋商科大学大学院の中小企業診断士登録養成講座に通うことにしました。土日を中心にカリキュラムが組まれていて、MBA(経営学修士)も取得できる2年間のコースです。「平日に会社に行き、土日に勉強すれば良い」と思っていたのですが、実際に通ってみると、予想以上にハードでした。事前にケーススタディが渡されて、授業の前にしっかり予習をしなければならない。基本的な知識習得・事前準備は授業前に終わらせておく必要があるのです。

授業の時間には、グループディスカッション・クラスディスカッションを行います。事前に予習して検討した内容をもとに活発に議論をし、学びを深めていきます。意識の高いメンバーとのディスカッションは、とても大きな学びになりました。

システムを提案するだけの人材では生き残れない

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―2年間大学院に通って、診断士資格を取得したわけですね。中小企業診断士になってから感じることは、どのようなことですか。

"経営者を上から指導する"のではなく、"経営者を下から支える"のが中小企業診断士の役割だと思っています。中小企業診断士になったからといって、経営者の先生になれたわけではありません。経営の実体験を積み上げてきた経営者の方が先生であると、私は思っています。経営者の夢や理念、ビジョンを引き出して、実現の可能性を高めていくことが、私たち中小企業診断士の使命だと思っています。

―昨年、仲間3人でSKIcom株式会社を設立しましたね。なぜ、独立・起業を目指したのですか。

自分の実力を社会に向けて試してみたかったこと、メンバーが「仕事が楽しくて仕方がない」という組織を自ら作りたかったこと、そして、ともに歩んでいける仲間がそのタイミングにそばにいたからです。パッケージソフトメーカーで一緒に働いていた3人で起業し、刺激し合い、協力し合って事業を進めています。

―現在は、どのようなことを行っているのですか。

IT支援と経営コンサルティングを組み合わせて活動しています。これまで、システムを活用した月次決算の早期化、Excelと会計ソフトを連動した自計化支援、事業計画立案支援、各種補助金申請なども行ってきました。ありがたいことに、勤務していたパッケージソフトメーカーからもセミナーなどのお仕事をいただいています。

―IT業界にいて、中小企業診断士を目指している人も多いと思います。メッセージをお願いします。

IT業界で働いている人は、プロジェクト型の業務を遂行することが多く、チームでの仕事の進め方を理解しています。これは、中小企業診断士の実務補習やコンサルティング活動に似ています。また、IT業界にいる人は、製造業や流通業など多くの業種とかかわっていて、業務に対する普遍的なポイントを押さえています。そこに、IT業界で働く人の優位性があるわけです。

IT業界は、変化の激しい業界です。これまでのように、単なる業務効率化のためにシステムを導入する時代は終わりに近づいています。これからのIT業界には、経営の視点・ビジネスの視点が欠かせません。それを学べるのが中小企業診断士資格です。お客様の経営課題をしっかりと捉え、解決の道具としてITを活用していくわけです。

逆に言えば、単にシステムを提案するだけの人材では生き残れないと思います。企業の経営課題を明確にし、解決していくスキルが欠かせなくなってきているわけです。中小企業診断士資格を勉強することで、本当に企業に役立つ人材・付加価値を提供できる人材になれると思います。

―どうもありがとうございました。

取材を終えて

中村秀剛さん、小早川渡さんと2回にわたり、IT業界出身の中小企業診断士にお話を伺いました。ITの知識を活かしながら、中小企業診断士としての知見を加えてお客様に役立っていることがわかりました。

次回は、金融業界(銀行業界)出身の2名の中小企業診断士がその資格を目指したお話を伺います。お楽しみに。



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プロフィール

小早川渡(こばやかわわたり)

1975年生まれ。立教大学経済学部卒業後、中小企業向け業務パッケージソフトメーカーに12年間勤務。2012年に名古屋商科大学大学院マネジメント研究科 中小企業診断士コースを修了し、中小企業診断士に登録。2014年1月、3名の仲間とともにSKIcom(株)を設立。中小企業をITと経営面から支援している。