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目指せ! 中小企業診断士

私たちが中小企業診断士を目指した理由[IT業界編]

取材・文:福島 正人(中小企業診断士)

【第1回】IT×中小企業診断士で企業に役立つ-中村秀剛さん

取材日:2015年5月3日

中小企業診断士には、さまざまな業界の人が登録しています。特に近年増えていると感じるのがIT業界出身の中小企業診断士です。そこで今回は、IT業界出身の2名の中小企業診断士にお話を伺います。

お客様に役立つために

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―IT業界での経験年数は、どのくらいですか。

延べ15年くらいです。システム開発のプロジェクトでは、お客様の話を聞いて要件定義をするところから、システムがリリースされてお客様が活用するところまで、ひととおりやっていました。経験を積んでからは、マネジメント側の仕事もするようになりました。いわゆるPMO(Project Management Office:企業などにおいて、組織全体のプロジェクトマネジメントの能力や品質を向上させることにより、個々のプロジェクトが円滑に展開されるよう支援することを目的に設置された専門の部署)の役割ですね。

―システム開発に関する書籍も出しているそうですね。

はい。「ストーリーで考える『見積り』の勘所」(翔泳社)という本を執筆しました。システム開発に欠かせない「見積り」を、開発現場のストーリーを追いながら学ぶことができる本です。もともと雑誌の連載記事だったものに、加筆修正を加えて書籍化しました。

―なぜ、中小企業診断士を目指したのですか。

 システムを導入しても、業務が改善されるわけではありません。「システムを導入したけれど、かえって面倒になった」という現場の声もよく聞きます。そこで目指したのが、中小企業診断士です。中小企業診断士の勉強をすれば、業務改善などでもっとお客様に役立てるのではないかと思いました。

中小企業診断士を目指して

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―診断士資格はどのように勉強したのですか。

資格スクールに通い、講義をペースメーカーにして学習を進めました。予習をし、講義でわからないところを質問して理解する。結果として、最初の受験で1次試験に合格することができました。

―1次試験に一発合格とは素晴らしいですね。

診断士試験では、満点を取る必要はありません。6割を取ることができれば合格できます。IT業界にいれば、経営情報システムで得点を稼ぐことができますので、他の科目で6割を下回っても、経営情報システムでカバーすればいいのです。

でも、2次試験は苦労しました。合格のためには、与件文に書かれた内容から解答を記述する必要があるのですが、ついつい自身の業務経験から余計なことを書いてしまいました。不合格になり、「中小企業診断士になるのをあきらめよう」と考えたこともありました。

―そのとき、どうされたのですか。

家族と相談して、東洋大学大学院の中小企業診断士登録養成課程に進みました。2年間のコースで、卒業すればMBA(経営学修士)と中小企業診断士の両方の資格を取ることができます。養成課程では、特に診断実習が印象に残っています。生身の経営者と本気でぶつかっていく経験は、ITコンサルではなかなか体験できません。診断実習を通して、「経営者相手のコンサルティングを仕事にできたら、どんなにいいだろう」と感じるようになりました。

新しい世界が広がる

―2年間大学院に通い、診断士資格を取得したのですね。

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中小企業診断士になれたことは、とてもうれしかったですね。中小企業診断士を目指してから実際になるまでに4年ほどかかりましたから。中小企業診断士になるまでとなってからでは、まったく違う世界です。

中小企業診断士になる前に、さまざまな先生から「中小企業診断士になってからがスタート」と聞かされていましたが、そのことを実感しましたね。中小企業診断士になっても特定の業務があるわけではない。自分の強みを組み合わせて、診断士資格を活用していくことが大切なわけです。言い換えれば、「何のために資格を取るのか?」ということですね。私自身は、お客様に役立つコンサルになるために、資格を取りました。その後、縁あって監査法人トーマツに転職しました。

―現在の業務内容を教えてください。

ITに関する監査の仕事・ベンチャー企業の支援・経営コンサルの仕事などをやっています。コンサルテーマは、内部統制、マーケティング、販路開拓、人事制度構築などさまざまです。もちろん、IT業界での経験も役立ちますし、中小企業診断士としての知見も活用できます。経営者の役に立ちながら、支援した企業が大きくなっていく。仕事は大変ですが、とても大きなやりがいを感じています。

―中村さんは、IT業界出身の中小企業診断士をどのように感じていますか。

 ITと中小企業診断士のシナジーは大きいと思います。実際に、中小企業診断協会のイベントなどで名刺を交換すると、IT業界に勤務している中小企業診断士が多いと感じますしね。だいたい3割くらいが、IT系の中小企業診断士ではないでしょうか。

なぜIT業界の中小企業診断士が多いのかというと、ITの知識だけでは限界があるということです。"経営の視点"や"ビジネスの視点"

がないと、お客様に役立つことができません。特に、要件定義で悩んでいる人や、社長と会話してもなかなか話が噛み合わない人、業務改善のやり方がわからず、悶々とシステムを開発している人はぜひ中小企業診断士の勉強をしてほしいと思います。

ITはあくまで手段であって、目的ではありません。本当の目的は、経営者に役立つことだったり、現

場に役立つことだったりする。そんな意識がある人には、診断士資格が向いていると思います。

―最後に、診断士受験生へのメッセージをお願いします。

「中小企業診断士の勉強が辛い、あきらめよう」と思うことがあるかもしれません。でも、中小企業診断士になれば世界は広がりますし、中小企業診断士になってみないとわからない世界があります。だから、辛くても診断士資格を取るまであきらめないでほしいと思います。





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プロフィール

中村秀剛(なかむらひでのり)

1972年新潟県生まれ。システム開発の現場で業務経験を重ね、2013年中小企業診断士登録。その後、有限責任監査法人トーマツ(横浜事務所)に転職。ベンチャー企業支援・中小企業コンサルなどを行っている。