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困難を乗り越えての2次試験合格

取材・文:山田 晃裕(中小企業診断士) 安藤 準(中小企業診断士)

【第1回】10年間の受験期間を経て試験合格——伊藤孝一さん

2次試験に合格するには、試験当日に心・技・体を最高の状態に持っていくことが必要とされます。しかし、それ自体が難しいことが、受験生に共通する悩みとなっています。そこで今回は、3名の方にご自身の成功体験や失敗談をお話しいただき、最終的にどのようにして2次試験合格を果たしたのかをご紹介します。
 第1回にご登場いただくのは、10年間の受験期間を経て2013年度試験に合格された伊藤孝一さんです。初受験は2003年度。2次試験模試では常に上位に入る実力者でしたが、本試験では不合格が続き、試行錯誤をくり返しながら手にした念願の合格までの過程を振り返っていただきました。

合格までの道のり

― まずは受験歴を教えてください。

伊藤孝一さん

初受験の2003年度は、1次試験に合格するも、2次試験は不合格でした。1次試験は8回受験して7回合格しましたが、2次試験は勉強を中断した2012年度以外、毎年受験するも合格できず、最終的に10回目の挑戦で合格できました。

― 10年間勉強を継続できた理由は何でしょうか。

中小企業診断士を目指した理由は自己啓発で、「会社以外に自分のポジションを持ちたかった」、「定年後も年齢的に子どもがまだ学生であるため、働かなければならない」といった理由もあります。1年目こそ2次試験模試は平均点に満たない得点でしたが、3年目からは勉強の成果が出始め、1位を含めて、安定的に10位以内という成績でした。しかし、1次試験は合格できるのに、2次試験は合格できない。けれど模試では最上位をキープ、という状態が数年間続きました。箸にも棒にもかからないわけではないので、やめるにやめられない状況でした(笑)。

合格・不合格の分岐点

― 合格年度に何か変えたことはありますか。

合格年度に一番意識したのは、「80分間で60点を取れればよい」ということです。受験年数を重ねていくうちに知識やテクニックが増え、高得点を狙うようになっていました。また、不合格が続くともっと勉強しなければと思うようになり、さらに知識量が増えていきました。

しかし、解答が公表されない試験でピンポイントに正解しにいくと、的を外すことも増え、かえって合格が遠ざかると思います。80分間では膨大な知識は使いこなせませんので、もっとシンプルに考えようと気づいたのですが、一度築き上げた知識ややり方を崩すには勇気が必要で、難しいことでした。意識を変えたうえで、さらに行動も変えるという強い意志が必要でした。

シンプルで身軽になることの良さに気づいた陰には、妻の存在がありました。私が中小企業診断士に合格した年、妻はライフオーガナイザーという試験の勉強をしていました。ライフオーガナイザーとは思考や空間を整理するプロフェッショナルで、「思考を整理する」という妻のひと言が、勉強に対する考え方に大きな影響を与えてくれました。重装備で試験に向かっても、80分間では柔軟に使いこなせない。だったら、もっとシンプルに取り組もうと思うようになったのです。

それまでは、事例ごとに40ページ程度のサブノートと10ページ程度のノウハウ集を作成していましたが、80分間でできることは限られていますので、合格年度には各事例のまとめを手書きでA4サイズ1枚に収めるようにしました。適宜加筆修正をして、紙がいっぱいになったら再度一からまとめ直すことを何度もくり返しました。A4サイズ1枚にまとまらないこと=余分なものがまだ含まれているという証拠だからです。

受験生に伝えたい2つのこと

― 2次試験直前の受験生、特に多年度生へのメッセージをお願いします。

伊藤孝一さん

「80分間で60点を取れればよい」、「わかりやすく伝わりやすい答案を心がける」という2点に尽きます。

くり返しになりますが、80分間でできることは限られていますので、リスクを冒してまで高得点を狙わず、60点を確実に取る勉強を心掛けてください。また、わかりやすく伝わりやすい答案作成が大切です。正否はともかく、読んで意味のわからない答案、キーワードだらけの答案では採点者に伝わりません。特に多年度生は、さまざまな知識やテクニックを身につけているでしょうから、不要なものを捨てる勇気を持つことが大切だと感じています。苦しんでいる多年度生はぜひ、自分を変えて継続してほしいです。

意識を変えたうえで行動も変えていく。試験直前になって、何らかのヒントに気づくこともあるでしょう。最後まであきらめず、そして勉強のやり方を間違えなければ受かる試験だと思います。

取材を終えて

「10年間の勉強で学んだことが多かった。1年で合格していたら、いまの自分はない。結果的に良かったのかもしれない」という言葉を聞けてホッとしました。それにふさわしい努力や苦労をされた伊藤さんだからこその言葉であると感じました。今回の取材で、「あきらめないことの大切さ」を再認識させられました。

【受験生に役立つ支援事例】

(つづく)

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