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WEBサイト「診断士受験502教室」クローズに寄せて

文:廣澤 東(中小企業診断士)

【第3回】502教室に学ぶ受験生コミュニティのあり方

502教室は、受験日や合格発表日のアクセスが多すぎて、プロバイダーからアクセス制限を受けたことがあるそうです。裏を返せば、それほど多くの受験生に支持されていたサイトと言えるでしょう。
 ではなぜ、502教室は成功を収めることができたのでしょうか。最終回では、その要因を探ります。今後、同様のコミュニティを開設・運営しようと思っている方の参考になれば幸いです。

502教室の特徴と成功要因

・ゆるい運営

「来る者は拒まず、去る者は追わず」というのが、502教室の方針です。管理人の及川勝永さんにメールを送るだけで、診断士受験に関連する方であれば、誰でも登録OK。多いときは、最大で150名を超えるブログリンクがありました。

きめ細かな運営ルールはなく、誰もがフラットな関係。自由闊達な雰囲気とゆるい運営は、利益を求める会社組織ではないコミュニティにとって重要な要素です。

・主役は受験生

主役は受験生であることを明確にし、管理人は黒子に徹していました。時折書く記事も、中小企業診断士に関連したコンテンツに絞り、リンクされているブログの中で、「これは」と思った記事をトップページで紹介してくれていたのですが、書く側にとってはそれが大きなモチベーションになりました。

・モチベーションを維持・向上する仕掛け

先述の合格宣言や階層構造の仕掛けは、一種のゲーミフィケーション(ゲームの要素を、ゲームが本来の目的ではないサービスやシステムなどに応用し、ユーザーのモチベーションやロイヤルティーの向上に資する取組みのこと)を先取りしたものでした。名前が掲載されることで退路を断たれ、必死さが跳ね上がります。また「受験生」、「もうすぐ診断士」、「診断士」の階層構造の仕掛けは向上心をあおるもので、受験生の前向きなモチベーションにつながりました。

・受験生が集まり、知り合うプラットフォーム

興味を持ったブロガーに対してコメントを入れると、双方向のコミュニケーションが可能となります。こうして、知り合いがどんどん増え、多くの良質な刺激や有益な情報を仕入れることができるようになりました。

・リアルドラマのライブラリー

リンクされているブログには、受験生の生々しい勉強の日々が綴られています。そこには数々のドラマが存在し、現在進行形のドラマも過去のチャレンジドラマも読むことができます。自分の考えに合致したドラマと出会うことができれば、勉強を進めるうえで大いに参考になると思います。

・タイムリーな情報の開示

502教室では、アンケート機能を活用して、旬なテーマの情報収集とリアルタイムの開示を行っていました。たとえば、試験が終わった日に、科目別難易度のアンケートを募り、結果をリアルタイムで見る、といった具合です。サイトに行けば、何かしら新しい情報や有益な情報を得られることを多くの受験生に知らしめたことで、訪問者数が増えていったものと考えられます。

・オフラインイベントの開催

ブロガー同士でバーチャルの関係を作り、その人の考えや活動を知ると、相手との距離は縮まります。さらに、オフラインイベントに参加することで、その距離はグッと縮まるものです。リアルで会うワクワク感やドキドキ感、金メダル授与式や感動のムービーによるモチベーションアップは、オフラインイベントならではのものでしょう。関東と関西の人が、それぞれのイベントに相互に参加することもありました。

502教室と他の受験生コミュニティの違い

他のSNSの登場・進展とともに、ブログの位置づけは後退しつつあります。502教室の勢いも徐々に減じてきた一方で、タキプロをはじめとする他の受験生コミュニティの勢いが増してきました。ここでは、502教室とタキプロの両者を知る中小企業診断士・日景聡さんへのインタビューをもとに、その違いを整理してみたいと思います。

「タキプロは、受験生支援を軸としながらも、若手診断士のスキルアップとネットワークづくりにも力を入れています。メンバー同士で、実務従事や執筆活動にも取り組んでいます。また特徴的なのは、中小企業診断士1年目のメンバーが主軸となって活動し、毎年代替わりしていることでしょう。先輩からセミナー開催ノウハウやブログ執筆テクニックなどを受け継ぎながらも、新たな取組みにチャレンジしています。この春で結成5年目に入り、歴代参加メンバーは全国で100名を超えました。

一方で502教室は、受験生ブログを中心とした結びつき、合格を目指して頑張る受験生とそれを応援する中小企業診断士たちの集まりです。タキプロは、(1)ブログだけでなく、メルマガ、電子書籍、勉強会やセミナーなど、多方面から受験生支援を行っている点、(2)東京だけでなく大阪、名古屋など各地で勉強会、セミナーなどを行っている点、(3)合格したばかりの新しいメンバーが中心となって、さまざまなイベントや企画に取り組んでいる点、(4)合格後も同じ中小企業診断士として、一緒にさまざまな活動をできる点、が特徴と言えそうです」

タキプロの特徴を改めて整理すると、以下のようになります。

1.マルチチャネルを活用した受験生支援

2.全国レベルの勉強会・セミナーの開催

3.運営スタッフの新陳代謝を促す仕掛け

4.診断士試験合格後のアフターフォローの充実

また及川さんからも、502教室の運営を振り返って、コミュニティの長期運営のためのアドバイスをいただきました。

1.1人で管理するのは気楽な一方で、運営のモチベーションを保ちにくい

2.WEBサービスなど利用型のシステムを活用する。自前でシステムを構築すると、更新が難しい

3.ドメインを絞り込みすぎない。絞り込みすぎると、新規コンテンツが枯渇してしまう

今後、同様のコミュニティを開設・運営しようと思っている方に参考にしていただければ幸いです。

おわりに

一般的に、受験生同士は競い争う「競争」の関係です。これに対し、502教室のメンバーの関係は、「協創」だったように思います。皆で協力し、中小企業診断士としての自身の像を創造していく活動。仲間たちはいまや、独立診断士として、売れっ子講師として、企業内診断士として、多方面で活躍中です。

及川さんは、502教室という皆が集える場所を作り、私たちに良質の刺激を与えてくれました。そしていつも、温かい目で眺めてくれていました。私を中小企業診断士にしてくれた502教室と及川さんに、お世話になった皆を代表して―。

「10年間、お疲れ様でした。そして、ありがとうございました」

【受験生に役立つ情報】

(おわり)

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