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2次試験突破に必要なコンピテンシーとは――「目指せ!中小企業診断士」×月刊『企業診断』連載「伝説の合格者たち」コラボレーション座談会

司会・文:堀切 研一((株)プロデューサー・ハウス代表取締役、中小企業診断士)宮脇 幹太(中小企業診断士)

【第3回】直前期にやっておきたいこと

取材日:2013年7月24日

最終回は、試験直前期に何に注力していたかについてうかがいます。

「振り返り」の重要性

司会:答練や模試の振り返りの際に、自分の型を見つけるヒントはあるのでしょうか。

座談会風景_全体

西川:時間を空けて自分の解答を見直すと、型にとらわれていたりとか、型を押しつけていたりといったことが明らかにわかります。

司会:陥りやすい失敗のパターンは、人それぞれにあるのでしょうか。

西川:そうですね。自分の失敗を知るのはとても大事で、私は「ここは間違いやすいから、気をつけよう」と心がけていました。

南雲:振り返りは大事ですね。試験直前でも、振り返ることから逃げてはダメだと思います。気を抜くと、型はすぐに崩れてしまいますから。

気負わず平常心で臨む

司会:試験直前期や前日に気をつけていたことはありますか。

山口:試験会場は自宅から遠くありませんでしたが、前日はホテルに泊まりました。ホテルを出たらすぐ試験会場だと、時間に余裕を持てますよね。私は普段と違わない生活スタイルを貫き、平常心で受けられる環境を意識して作りました。

西川:私は、「本番でいつもどおりの力を出せると思うな」と、自分に言い聞かせていました。サッカーも、練習より本番の調子が良いことなど、まずありません。うまくいかない前提、たとえば前日眠れない状態で受けるくらいのつもりでいれば、怖いものがなくなる。

山口:私は3年間落ち続けて、最後の年は「もういいや」とリラックスして受けたのが良かったのかもしれません。意気込みすぎると、普段の実力を出せませんからね。1年目はほとんどの人が、持っている能力を最大限発揮して、やっと合格できるかどうかというレベルでしょうし、気負ったりいらついたり焦ったりせず、模試と同じ気持ちで受けることが大切です。

南雲:自分なりにマインドを落ち着ける方法があるといいかな、と思います。私の場合は甲子園のテーマ曲で、折れそうな心を奮い立たせていました。

西川:合格者の再現答案と比較して、自分のほうが良い解答だと思うことって、誰しもありますよね。でも、それで落ちてしまうと、「なぜ落ちたのだろう」と悩み、負のスパイラルに入ってしまう。それを断ち切るには、開き直りも必要だと思います。淡々と、自分のやってきたことを信じて受ける。この試験を、自分ですごい試験に仕立て上げてはいけない。

あと1ヵ月、何をやるか

司会:あと1ヵ月、初見の事例をどんどんやるのが良いのか、これまでやってきた模試や答練をやり直すのが良いのか、アドバイスをお願いします。

南雲:私は、自分の型を確認するために、初見の事例をおすすめします。それから過去問で、設問の問われ方を分析することも大事だと思います。

西川:私の場合は、新しい事例には手を出さないほうがよいと思っています。

山口:特に1年目は、過去問を徹底的にやったほうがよいと思いますね。もちろん、模試や答練の振り返りも重要です。2年目以降は、過去問ばかりやっても伸びないように思うので、私は初見の問題をかき集めてやっていました。4年目になると、何度もやって覚えてしまったので、過去問とは手を切ろうと(笑)。

西川:私は4年間、ひたすら過去問ばかりやっていたんですよね。敵を知り、自分を知るために、過去問に勝るものはないと思っています。

南雲:たしかに、模試よりも過去問のほうが深く、何度やっても新しい発見があります。本試験の雰囲気やニュアンスを知るために、過去問は大切です。そのうえで直前には、取っておいた初見の問題もやるとよいのかな、と。

山口:過去問は模試とは精度が違いますし、一番重要ですね。ただ、間違った思い込みをしないよう、初見の問題にも取り組んで思考プロセスを鍛え上げることも、必要ではないでしょうか。

過去問を徹底的に分析する

西川:聞かれていることは毎年、一緒だと思います。過去問は、5年分をやれば十分ではないでしょうか。過去問の与件文と設問文をよく読み、何を聞かれているのかを何度も考え、分析していましたが、ある共通点に気づいたんです。必ず軸があって、それに沿って作問しているのではないか、と。

南雲:軸というのは、戦略のフレームワークですね。

西川:難しいかもしれませんが、過去問分析が一番の近道ではないでしょうか。

2次試験の本質とは

西川:私は2次試験を、「経営者の背中を押してあげられる人になる試験」だと思っています。与件文には、登場する経営者のニーズと作問者のニーズがあって、その2つに応えなければいけない。それを極めるとやはり、「聞かれたことにきちんと返すこと」となる。

南雲:当たり前ですが、それがなかなかできないんですよね。

山口:周りからも言われるんですけれどね。余計なことは考えるな、と。

司会:では、もしも口述試験を先に受けられたら、筆記試験にも合格しやすいと思われますか。

山口:口述試験を受けた際、口述の勉強を筆記試験前にやれば良かったと思ったのは事実です。口頭で事例問題を説明するのは、効果的かもしれません。

南雲:戦略のフレームワークがベースにある点で、実務補習と2次試験の関係は深いと思いましたね。企業の現状をしっかり押さえることと、社長のニーズを理解することが共通している。

西川:たしかに、筆記試験を受けたからこそ、実務補習にも生きてくるのだと思います。

司会:1次試験と実務補習の間に2次試験というステップがあるわけですが、そこにこの試験の本質が見えてきませんか。

山口:「2次試験は、診断報告書を書くつもりで受けなさい」とよく言われましたが、診断プロセスとは違う設問もありますしね。でも、結局はそうなのかなあ...。

南雲:2次試験では、事例企業と向き合う姿勢を問われていると思います。社長の思いを方向性として認識し、抱えている問題点や課題をきちんと把握する整理力、情報収集力を見ているのかもしれません。

西川:1次試験と実務補習の間に2次試験があるのは、コミュニケーション力を試すためかな、と。1次試験で知識を蓄えたうえで、読んで理解し、伝える力を養うための試験だと思います。ですから、何を聞いているのかを理解することが先で、つまり与件文や設問文を正しく読む訓練が大事ですね。

ファイナルペーパーの作り方と目的

司会:2次試験の位置づけがクリアになってきましたね。皆さんは、ファイナルペーパーを作りましたか。

西川:試験当日はあまり必要ありませんが、考えながら作るプロセスが大事ですね。当日は、お守りがてら持って行きました。解答の金型を作ったほか、キーワードもまとめました。

南雲:私も同じようなものに、過去問の解答をあてはめたペーパーを事例ごとに作りました。それから、失敗ノートとキーワードまとめノートも。また、当日のスケジュールも書いておきました。

山口:私が作ったのは、切り口集です。3CやSWOTなどをいつでも引き出せるよう、単語帳にまとめて眺めていました。

南雲:私は、2次事例で使う1次知識をまとめていました。

西川:いずれにしても、全員にあてはまる絶対的な方法はありませんよね。

山口:日頃の素振りの仕方が違いますからね。自分のやり方を信じるしかない。ゴルフも結局は、ボールがまっすぐ安定的に飛べばいいんです。絶対にこの型、というものはありません。

南雲:やはり過去問ですかね。過去問から学べることは、たくさんあります。

あきらめなければ必ず受かる試験

司会:では最後に、これから受験を迎える皆さんへのメッセージをお願いします。

山口:正解が公表されない試験ですので、なぜ落ちたのかがわからず、つらい思いをした人も多いと思います。ただ、この資格を目指すプロセスで、ビジネスの戦闘力は間違いなく上がっていますので、結果はどうあれ、ポジティブに行きましょう。

西川:また真逆のことを言ってしまいますが(笑)、私は受からなければ意味がないと考えています。この資格があるのとないのとでは、雲泥の差があります。やるんだったら、勝たなければ意味がありません。

山口:あきらめず、勝つまで続けよう、ということですね。

西川:プロセスが大事で、結果にはこだわらないという人もいますが、勝とうと思っていても簡単には勝てないのに、勝たなくてもいいと思っていて勝てるはずがない。受かろうと思って勉強しないと、とても受かりませんよね。

南雲:受けると決めたからには、ゴールテープを切ってほしいと思います。途中であきらめてほしくないですね。やり続ければ、必ず受かる試験だと思いますから。

司会:2次試験の本質や合格の秘訣はなかなか捉えにくいと再認識した一方、数々の金言をうかがうことができました。合格を目指す受験生の方には、響くことが多いと思います。本日は、ありがとうございました。

(おわり)