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2次試験突破に必要なコンピテンシーとは――「目指せ!中小企業診断士」×月刊『企業診断』連載「伝説の合格者たち」コラボレーション座談会

司会・文:堀切 研一((株)プロデューサー・ハウス代表取締役、中小企業診断士)宮脇 幹太(中小企業診断士)

【第2回】合格のカギは「問われたことに素直にわかりやすく答える」こと

取材日:2013年7月24日

「伝説の合格者たち」による座談会第2回は、安定して合格レベルの答案を書くために気をつけていたことを、具体的にお話しいただきます。

問われていることに素直に答える

司会:ここからは、「技」をさらに掘り下げます。合格するには「問われたことに素直に返す」という点で皆さん、共通していますが、合格した年と以前の答案の違いは何だったのでしょう。

座談会風景_全体

山口:文章の精度が上がったと思います。運もあるかもしれませんが、最後の1年間は、わかりやすい文章を書く意識だけを持っていました。

司会:わかりやすく、ロジカルな解答ということでしょうか。

山口:「解釈が割れない解答」です。言いたいことが、ピンポイントで伝わる文章とも言えます。たとえば、「A=B、B=C」のとき、Bを抜いても、「A=C」の関係が明らかに成り立つような文章です。実際に書くときは、Bを省略してはいけませんが。考え方としては、正解を導くプロセスはすでにできていると思っていましたので、最後の1年間は、採点者に自分のイメージしている答えを正しく伝えることに注力しました。

西川:合格した年は、「失敗したな」と感じた解答が少なかったですね。問われたことにより忠実に答え、リスクのない解答になっていたと思います。

南雲:私は合格した年は、まったく違いました。それまでは、点が入りやすそうなキーワードを詰め込めばよいと思っていて、いま思えば、文章として成り立っていませんでした。キーワードの数を稼ぐことが、合格の条件だと思い込んでいたんですね。中でも、「●●は~であるため。」といった文末が重要だと思っています。

採点者志向の答案を書く

西川:私は、結論を先に書くことを心がけてきました。試験勉強を始めた頃は、最後に結論を書いていましたが、まず「こうです」と言い切って、「その理由は...」という書き方に変えていきました。採点者に「わかっています」と伝えるためです。出題者として求めている回答があって、そこに導くように与件文と設問文を作っているわけですから、違う答えが返ってくると×、想定範囲の答えが返ってくると○になる。

山口:設問で書かれたことだけに素直に答えるイメージですね。勝手にイメージをふくらませて、肉付けしててんこ盛りの解答を書いてしまうと、言いたいことがぼやけてしまう。

南雲:私は勘違いしていて、キーワードだらけの濃い解答を書いていましたが、そのような解答は求められていないんですよね。

結論を先に書く

司会:答案に落とす際、意識したことはありますか。

山口:西川さんもおっしゃっていましたが、結論を先に書くことが大切だと思います。

西川:「~するべきである。その理由は...」が定番ですね。「こうだから、こうしたほうがよい」という書き方はしませんでした。

山口:「新規事業に着手するべきである。なぜならば...」といったスタイルを使える設問が多いと思います。自分の伝えたい解答を思い浮かべ、理由づけを何文字にするか、指定字数内で割り振っていました。理由から書き始めると、字数不足で、結論が尻切れトンボになってしまうことがありましたので。

南雲:私は、必ずしも結論先出しではなく、臨機応変に対応していましたね。

メソッドとフレームワーク

司会:皆さんは、いわゆる解法メソッドは持っていらっしゃいましたか。

南雲:聞かれ方には理由、改善策、環境分析などがありますので、設問タイプごとに解答パターンを作っておきました。与件文を使い、因果できちんと結ぶように心がけていましたね。

山口:私の型は、解答を書く1つ手前のフレームワークです。環境分析、事業ドメイン、成長戦略などを考えるための型で、文章の型は特にありませんでした。

司会:同じ型でも、レイヤーが違うのですね。山口さんの場合、考えるための型、フレームで与件文を読めば、特に意識しなくても書けるということでしょうか。

山口:いいえ。書くことは決まっているのですが、文字に落とすときに苦労する。合格ラインにいる人は、同じような解答をイメージすると思いますが、書き方の違いで合否の差がつくと思うんですよね。

司会:残り1ヵ月は、書くための型を磨くのが一番の近道なのでしょうか。

南雲:私は、山口さんがおっしゃった考え方のフレームワークを見つけることが先決だと思います。

山口:与件文や設問文の整理がしやすくなりますからね。ただ、1年目の人は、1次試験が終わって2ヵ月で身につけるのは、難しそうですよね。

南雲:でも、そこをやらないと結局、受かりませんよね。1年目で合格する人は、考え方の型、つまり戦略フレームワークができているのではないかと思います。

山口:フレームワークの絵を描いて、解答要素をプロットする人もいますよね。

南雲:そうですね。でも、文章はなかなか書けない。

山口:まずは、自分がどれくらいの位置にいるかを知る必要があるのではないでしょうか。ほかの人とディスカッションをして、自分だけ違うことが多ければ、まずは考え方の型を固める努力が必要かもしれません。そうでなければ、文章の精度を上げる努力をしたほうが、合格の可能性は上がると思います。

型を学び、型にとらわれない

西川:私も、やはり型は追求するべきだと考えています。トレーニングのときは型の精度を高めようとしますので、やればやるほど身につきます。ただ当日は、その型にこだわりすぎると、変な方向に走ってしまうこともある。たとえば、過去問と似たような与件文、設問文が出た場合、模範解答が頭をよぎっても、その解答をあてはめてはいけません。過去問の企業と同じ環境ということはあり得ませんから、同じ解答ではダメです。型を持ちつつも、当日の与件文にアジャストしていく感覚ですかね。

山口:ゴルフで言うと、練習場でスイングの型を固め、コースでは状況に合わせて、ボールの位置やスタンスを変える感じですかね。

西川:型づくりのトレーニングは、野球の素振りのようなものですね。きちんと素振りをしていれば、変化球が来ても、体が勝手に反応します。投げられた球に合わせずに振っても、絶対に当たりません。

南雲:よくわかります。私は本番では、「テニスのラリーを続ける」イメージを持っていました。聞かれたことにそのまま返すことを続けよう、と。

司会:西川さんがおっしゃっているのは、過去問の事例と似ていると、その解答をつい書いてしまうということでしょうか。

西川:そうです。でも、違う事例ですから、それはご法度です。実は、試験の1ヵ月くらい前にブルース・リーの映画を見て、「型を学び、型にとらわれない」という言葉にグッときて(笑)。その言葉のおかげで合格できたと思っています。

司会:サッカー、ゴルフ、野球、テニスに武芸と、練習を積み重ねて自分の型を固める点で、本質的に共通する部分があるのでしょうね。

(つづく)