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2次試験突破に必要なコンピテンシーとは――「目指せ!中小企業診断士」×月刊『企業診断』連載「伝説の合格者たち」コラボレーション座談会

司会・文:堀切 研一((株)プロデューサー・ハウス代表取締役、中小企業診断士)宮脇 幹太(中小企業診断士)

【第1回】2次試験に求められる「技」

取材日:2013年7月24日

今回は、月刊『企業診断』(同友館)の人気連載「伝説の合格者たち」に登場した3名の合格者にお集まりいただきました。2次試験に焦点を絞り、直前期の学習方法や注意すべきポイントなど、さまざまなお話をうかがいました。

私の受験歴と学習スタイル

司会:2次試験まで1ヵ月を切り、不安や焦りを感じている受験生の方へ、本日はご経験を踏まえたアドバイスなどをうかがいたいと思います。最初に、皆さんの受験歴や学習スタイルなどをお聞かせください。

座談会風景_全体

南雲:南雲智子です。食品メーカーで現在、マーケティング調査を担当しています。受験歴は1次2回、2次4回で、4年目の2012年度に合格しました。2年目までは大手受験校、3・4年目は2次対策専門校に通学しました。

西川:西川忠信です。私は、小学校卒業後にブラジルへサッカー留学をし、ポルトガルでプロチームに所属していました。現在は、鉄鋼専門商社で営業を担当しています。受験歴は1次4回、2次4回で、6年目の2010年度に合格しました。主に2次対策専門校に通学していました。

山口:山口大樹です。IT系商社の営業職に従事しています。受験歴は1次2回、2次4回で、4年目の2012年度に合格しました。1年目は通信、2年目は通学、3・4年目は独学で勉強しました。

2次試験で最優先される「技」

司会:ここでは、受験生の皆さんが本試験までの時間をどのように過ごし、何を優先すべきかを中心にお聞かせください。2次試験に臨む際の「心・技・体」について、合格した年に一番大切だと思ったものは何でしょうか。

南雲:私は「技」です。

山口:私も「技」ですね。

西川:私は「体」でした。

司会:「心」が一番の方はいらっしゃいませんね。

南雲:技が磨かれて積み重なれば、自然と自信が生まれて、心は後からついてきます。まずは、2次試験がどのような試験かを知ること、そして技を磨くことが何より大事だと思います。

司会:2次試験において「技」を定義すると、どのようになりますか。

南雲:2次試験特有の問題傾向や形式を理解し、自分なりの安定した解き方ができることですね。どのような精神状態でも、聞かれたことに対してシンプルに素直に返せるのが「技」だと思います。私は、複雑に考えてこんがらがってしまい、合格まで4年かかりました。最後の年は、聞かれたことにそのまま素直に返せればよいと悟りました。でも、なかなかそれができないんですよね。

山口大樹さん
山口 大樹さん

司会:山口さんも「技」とのことですが。

山口:体と心をいかに最高レベルに持っていっても、最低限、常に一定以上の解答を書ける技術を持っていないと、合格できません。やはり技術が大事です。私も最終的には、聞かれたことに対して、問われたとおりに答えるだけでよいと意識するようにしていました。社会人としての経験や1次試験の知識は、解答に一切持ち込まないようにしましたね。

司会:それは、知識を忘れるということでしょうか。

山口:真っ白な状態で、与件文と設問文に接するということです。知識や自分の経験を織り込むと、ピント外れな答えになってしまう。

南雲・西川:そのとおりですね。

「体」と「心」の重要性

司会:西川さんは「体」ですか。元サッカー選手ですから、体力は十分だと思いますが(笑)。

西川:体を一番にしたのは、体調を崩すと、技も心もうまく働かなくなるからです。健康体でないと勉強もできませんので、体調管理が一番重要だと思います。特に睡眠が重要で、私は少なくとも6時間は寝るようにしていました。それから、食べること。サッカーをやっていた頃もそうですが、風邪をひかないように必ず食事をきちんととる。それでもひいてしまったら、いつもの2倍、3倍食べるようにしていました。12歳の頃から1人で海外生活をしていましたので、病気になると食べて寝るしかなかったんです。そこで食べることの大切さに気づいて、いまでもそうしています。だから、試験1ヵ月前には必ず太っていました(笑)。

司会:「心」についてはいかがでしょうか。

西川:「こだわりを捨てる」心が大切だと思っています。長い勉強期間、自分の方法にこだわりすぎて失敗したこともあると思うんですね。聞かれたことに素直に返すというのはそのとおりで、変なこだわりを持ってはいけない。積み上げてきたものは、自分の血となり肉となっていますので、当日は意識しなくても出せるものです。

山口:与件文と設問文が最優先ですので、そこから解答要素を引っ張ってきて、どうしても解答に肉付けが必要なら、1次知識を持ってくる。自分の経験は、絶対に入れてはいけません。

具体的な「技」とは

司会:では、「技」とは具体的には何でしょうか。

南雲智子さん
南雲 智子さん

南雲:たとえば解答を書くときに、主語と述語をきちんと対照させるような「書く」技術ですね。「読む、考える、書く」が必要な能力と言われますが、基本に忠実に、与件文から解答要素を持ってきて、理由を聞かれたら、「理由は~のためである」といった基本的な文章が書けることです。結局は、聞かれたことに素直に答えることなのですが、意外とできていませんでしたね。

司会:与件文の丸写しでよいのでしょうか。

南雲:いえ、言い換えます。指定字数内に、解答要素を複数入れなければいけませんから。事例企業の戦略の方向性を見出して、強み、弱みや外部環境を理解し、与件文の要素をあてはめていけば、ある程度、解答の流れができるようになっていると思います。

山口:たしかにそうですね。戦略フレームワークをイメージして、設問で求められていることを与件文から探して割り振る感じです。その際、この設問は戦略を聞いているのか、管理を聞いているのかなどと、設問要求のレイヤーを意識していました。

自分のやってきた方法を信じる

司会:中には、戦略や方向性、設問のレイヤーなどを意識せず、テクニックだけで合格した人もいらっしゃるようですが。

山口:どの受験校にも一定の合格者がいるということは、どのようなやり方でも、解答の精度を高めれば合格できる試験なのではないでしょうか。論理矛盾がなく、わかりやすい文章であれば、合格できる。自分が習った方法をあまり変えず、突き詰めていくことが一番の近道と言えるかもしれません。

南雲:最初は悩んで、さまざまな方法を試してみましたが、情報を集めすぎてしまって結局、何が正しいのかがわからなくなってしまいました。4年目に、「聞かれたことにそのまま答えればよい」と教えられ、ゴールデンウィーク明け頃にひらめきました。具体的には、たとえば100字の中に収めていくような技術が必要だと思います。

司会:西川さんは、どのようにして合格した年の技術にたどり着きましたか。

西川:文章の型、フレームに忠実であることですね。でも、それにこだわりすぎない。フレームは重要ですが、同時に柔軟性も持たなければならないと気づいたときです。

全員:難しいですよね(笑)。

解釈が割れないわかりやすい解答を心がける

西川忠信さん
西川 忠信さん

山口:模試や答練の直後は、自分でも「いいことを書けた」と思うのですが、後から見直すと、模範解答とはまったく違う。解答の精度を上げて、解釈が割れない文章を書かなければいけないと思います。

西川:時間を置いて、自分の解答を見るのはいいですよね。

司会:たとえば新聞の要約とか、国語の勉強をしたほうがよいのでしょうか。

山口:要約は、たしかに力にはなったと思います。文章力は必須ですね。

南雲:私は、事例IVの経営分析問題を使って、因果関係が明確な文章を書く練習をくり返しました。事例Ⅳの問題は、与件文に根拠がきちんと埋めてありますし、構成がきっちりとしていますから。

西川:事例企業の社長の思いに応える気持ちで読むのが大前提だと思います。問題を解決するためのアドバイスをする、そして社長の背中を押すといった気持ちで与件文を読んでみてはどうでしょうか。それが中小企業診断士の仕事で、スタートラインですから。その次に、書く技術がくると思います。

南雲:そうですね。たとえば、事例Ⅲでは現状の問題点が書かれていますので、まずはそれをつかむことが大事です。与件文には、社長のやりたいと考えていることが何となく匂っています。現状とやりたいこと、そのギャップを埋めてあげるイメージです。

山口:アイデアを求める、いわゆる想起問題もたまにありますが、解答に必要な内容はほとんど与件文に書いてあります。その行間から解答を絞り出す感じで、自分のアイデアを入れてはいけませんね。

司会:徹底して与件文に「因」を求めること、つまり基本に忠実であることに尽きるのですね。

(つづく)